この春社会人になった方、新しい業務を任された方、さらなるステップアップを目指したい方におすすめしたいのが、伝わる資料の作りかたをしっかり身に付けること。しかし、PowerPointを使った資料作成に苦手意識があるビジネスパーソンは少なくありません。
こうした資料作りに苦手意識がある方に共通するのが、知っておくべき「暗黙のルール」を知らないこと。本連載では、『この1冊で伝わる資料を作る! PowerPoint暗黙のルール』(著:中川拓也・大塚雄之・丸尾武司・渡邉浩良、監修:松上純一郎(株式会社Rubato)、マイナビ出版発行)から、必ず知っておいて欲しい、資料作りに必要な暗黙のルールを抜粋していくつかご紹介します。
今回は資料作成で使用する「色」についてお話します。
資料に使用する色はベースとアクセントの2色に制限する
資料作成時、内容を目立たせたいばかりに多くの色を使用してしまうことはないでしょうか。何色も使って作成された資料はたしかに派手ですが、読みやすい資料が作れるとは限りません。以下の画像を確認してみましょう。
並んだ2つの資料、見やすいのはどっち?
左の資料は色が多用されていて、どこに注目してよいかがわかりにくく、散漫な印象を読み手に与えてしまいます。それに対し右の資料は統一感があり、注目ポイントが自然にわかるように作られています。このように、資料で使う色のトーンは統一することが重要です。また、警戒色である「黄色」と「赤」を多用するのもNGと覚えましょう。
背景色は白が基本
配色を決める前のファーストステップとして、まず背景色を選びます。背景色とはスライドの最も大きな面積を占める基本となる色で、その名の通り背景や余白に用います。ベースカラーやアクセントカラーの引き立て役となる色になるため、プレゼン資料では白を使うのが基本です。
色相環に基づいて使う色を決める
資料作成では背景色のほか、ベースカラーとアクセントカラーの2色を使用します。色を選ぶにはデザインセンスが必要と思われがちですが、色相環と呼ばれる色の配列図を利用することで洗練された配色ができるようになります。
ベースカラー・アクセントカラーは、色相環の左右両輪の色までは類似色として利用できます。色相環上でアクセントカラーに該当する色が黄色や黄緑のように目立ちにくい場合は、その隣に位置するオレンジや緑を使用することも検討しましょう。
ベースカラーを選ぶ
資料のテーマカラーとなるベースとなる色を決めましょう。ベースカラーは資料の中で一貫して使う色のことです。色相環の中から1つ選びますが、会社のコーポレートカラーがある場合は、その色をベースカラーとして利用するとよいでしょう。
アクセントカラーを選ぶ
ベースカラーが決まったら、次にアクセントカラーを選びます。アクセントカラーは資料の中で強調したい部分に用いる色です。色相環を見てベースカラーの反対側に位置する色を選びましょう。例えば赤をベースカラーとして選んだ場合、赤の反対側に位置する青緑をアクセントカラーとして選びます。
ベースカラーとアクセントカラーとは?
ベースカラー
- 資料の中でテーマカラーとして一貫して使う
- 色相環で1色を決定する
- 類似色として左右両隣の色までは使ってもよい
アクセントカラー
- 強調したい部分に使う
- 色相環上でベースカラーの反対側に位置する色
- 色相環で1色を決定する
- 類似色として左右両輪の色まで使ってもよい
使用する色は3色に限定する
資料の色は読み手の印象を左右します。読みにくい、伝わりづらい印象となる資料の多くは、過度に色を使ったり、警戒色と言われる赤や黄色を多用していることが原因です。
1枚のスライドで用いる色は、背景や余白で用いる背景色、資料のデザインを印象づけるベースカラー、読み手の目を引くために用いるアクセントカラーの3色に限定しましょう。なお、アクセントカラーを用いた強調表現以外にも、以下のようにベースカラーのグラデーションを利用して、内容の細かな違いを表現することが可能です。