これから社会人になる方、新しい業務を任された方、さらなるステップアップを目指したい方におすすめしたいのが、伝わる資料の作りかたをしっかり身に付けること。しかし、PowerPointを使った資料作成に苦手意識があるビジネスパーソンは少なくありません。

こうした資料作りに苦手意識がある方に共通するのが、知っておくべき「暗黙のルール」を知らないこと。本連載では、『この1冊で伝わる資料を作る! PowerPoint暗黙のルール』(著:中川拓也・大塚雄之・丸尾武司・渡邉浩良、監修:松上純一郎(株式会社Rubato)、マイナビ出版発行)から、必ず知っておいて欲しい、資料作りに必要な暗黙のルールを抜粋していくつかご紹介します。

資料作成に取り掛かる前に、まずは考えていることを書き出してみましょう。事前準備をすることで、資料作成を効率的に進めることができます。

まずはノートとペンを持とう

資料を作成する際に、とりあえずPowerPointを開いてみる、という方も多いのではないでしょうか。内容が決まっていなくても、PowerPointを開いて図を作り始めてみると、何となく作業が進んでいくように思えるかもしれません。

しかし、PowerPointでの資料作成は本来、頭の中のアイデアをパソコン上で表現するものです。作成したい内容が固まっていない段階で直接PowerPointをいじるのは非効率といえます。資料作成に取り掛かる前に、まずはノートとペンを使って内容を整理することを意識しましょう。PowerPointの出番は、内容をしっかりと固めたあとです。

資料作成の5つのステップ

資料作成には5つのステップがあります。

1.目的を設定する

資料作成で最初に行うことは、作成する資料の目的を設定することです。自社を紹介する資料を作るにしても、就活生向けの資料と投資家向けの資料では載せるべき内容がまったく異なります。まずは目的を明らかにすることが資料作成の第一歩です。

2. 情報を整理する

相手に伝えたい情報を多く持っていることは素晴らしいことですが、あれもこれも……と手持ちの情報をすべて資料で伝えてしまうと、読み手にとっては理解しづらい資料になってしまいます。資料を作成するときには、「相手が知りたいことは何か」を考えて内容を精査しましょう。

3. ストーリーを作成する

「目的」と「伝えるべき情報」が決まったら、今度は資料全体のストーリーを作成します。

ストーリーが作成されていない資料は、一部の情報しか印象に残らず、相手が次のアクションを読み取れない「人を動かせない」資料になってしまいます。相手が自然と行動したくなるような流れができているかがストーリー作成のポイントです。

4. 内容を確認・修正する

資料作成を自分だけで完結させてしまうと、どうしても内容の抜け漏れが生まれてしまいます。整理した内容を第三者に見てもらい、伝わりやすい内容になっているかを確認しましょう。また、ビジネスにおいては上司の意向によって、資料の方向性が大きく変わることもあります。PowerPointで資料を作成する前に確認をしておくことで、作業が二度手間になることを防げます。

5. 資料を作成する

このステップで初めてPowerPointによる資料作成を開始します。つまり、作成するスライドの内容がすべて決まった状態になるまで、PowerPointは開かないということです。

PowerPointを開いてから、「なんて書こうかな?」と頭を悩ませるのではなく、5つの手順に沿って内容を固めてから、資料を作成すると効率的に作業ができます。

いかがでしょうか。PowerPointを開く前に資料の内容を整理してしっかりとかためておくことが、一人歩きする資料を作るための第一歩です。おおよその内容がまとまったあとは必ず「4. 内容を確認・修正する」で周囲とすり合わせておくことも大切なポイントです。資料作成前に作成後の修正可能性をできるだけ排除しておくことで、結果的に仕事を効率的に進めることができます。