30歳過ぎてゼロから始めた後発カメラマンが、「どうしたら最短で上手くなるか」をテーマに撮影術をご紹介。最初にお伝えしたのは、撮影に必要な認識力について。次に「認識した情報をどう整理するか」をお話ししました。今回から、2回に分けて具体的な「認識、整理するポイント」を解説します。
まずはレンズや設定をしっかりと認識しよう
カメラを認識して、整理する
持っているカメラやレンズによって、撮れる写真は変わります。それらを認識して、どんな写真が撮れるのか整理しましょう。
1枚めの写真は標準と呼ばれる「85ミリのレンズ」で撮ったものです。歪みが少なく、目に映った光景に近い写真が撮れます。2枚めは広角と呼ばれる「24ミリのレンズ」。遠近感が出て臨場感を演出できました。最近のコスプレ撮影では、アニメっぽい感じを演出するために広角レンズがよく使われます。
設定を認識する
いわゆる、露出、F値、ISO感度などを認識することです。撮りたい写真を撮るための第一歩かもしれません。
1枚めはF値を8.0と高めに設定(絞る)しているので、背景までくっきり写っています。逆にもう1枚は、F値が2.0と、開放で撮影しました。窓越しに撮っているので少しわかりにくいかもしれませんが、背景がボケて、ピントの合っている被写体に視線が集中するようになっています。
光を認識する
「光を読む」なんて言葉を聞いたことはありませんか? 読むかどうかは別として、「フォトグラフ」が「光で描かれたもの」の意味であることからも、光こそが写真の本質なのは確かです。光をどう認識するかは、写真の醍醐味のひとつでしょう。
1枚めの写真はいわゆる逆光で撮影したものです。腕の間に光を通すことで、顔に入る光をコントロールしながらシャッターを切りました(光をレンズに入れすぎると人物が暗くなってしまうため)。もう1枚は被写体の正面から光が当たっている順光の写真。カメラを始めたばかりのころは、順光を避けがちですが、陰影をつけやすいので、おもしろみのある写真を撮ることができます。こちらはフェンスの影をアクセントにしてみました。
環境を認識する
当然のことながら、朝・昼・晩といった時刻、季節、天気によって撮れる写真は異なります。野外のポートレートでは、どんな写真を撮りたいかイメージして、適切な時間や場所を考えましょう。
左は午前中に撮ったもの、右は夕方に撮ったものです。同じ場所、ポーズでも光の方向や色が変わっているので、写真の印象も違います。
ちなみに、「ポートレートは曇りがいい」なんて言われることが多いですが、光を認識するための練習には晴れの日がオススメです。
次回は、残り4つの認識すべきポイントを紹介します。
文章・写真:関根康人(ねっしー)
モデル:火将ロシエル