ポートレート撮影をする以上、せっかくなら被写体に喜んでもらいたいもの。カメラマン冥利に尽きるうえに、モデルさんのSNSで写真が紹介されたり、後日撮影の依頼がきたりといったチャンスを得られるかもしれません。そこで、今回から4回に分けて「被写体に喜ばれる写真を撮るコツ」についてお話しします。

  • RaMu

    今回のモデルはRaMuさん

勝負は事前リサーチで決まる!

モデルさんと対峙する前にも、実はやれることがたくさんあります。いまやほとんどの被写体の方がSNSを活用している時代。そこは、喜ばれる写真を撮るためのヒントであふれています。事前にチェックしておくと撮影にも役立つでしょう。

■「利き顔」と「得意な角度」の確認

人間の顔は完全に左右対称ではありません。そのため、右側から撮ったときと左側から撮ったときで印象が変わることがあります。

撮られ慣れているモデルさんは、自分の「利き顔」や「得意な角度」を認識していることがあります。もちろん、撮影当日に直接聞くこともできますが、事前にSNSなどをチェックしておけば、ある程度想定できるでしょう。

  • RaMu
  • RaMu
  • 少し左側からRaMuさんの「右顔」を撮った写真(左)と、少し上から「やや左顔め」に撮った写真(右)です。これだけでも印象が変わって見えますね

■「表情の範囲」の確認

もうひとつチェックしておきたいのが「表情の範囲」です。モデルさんによっては、笑顔がNGだったり、笑顔OKでも歯を見せて笑うのはNGだったりと、制限があるケースも。事前にSNSなどで、どんな表情の自撮りや他撮りがアップされているか見ておくと、撮影時のミスマッチを減らすことができます。

  • RaMu

    RaMuさんはいろいろな表情を魅せるのが上手でした

■「特徴(ストロングポイント)」の確認

そして最も重要なのは、モデルの特徴を認識しておくことです。SNSから表情、雰囲気、スタイルなどの特徴(ストロングポイント)を把握しましょう。

一番の特徴が何かを捉えておくことで、当日のカメラ機材やロケーションなどを検討しやすくなります。

また、これは書くか迷ったのですが、場合によっては、モデルさんのコンプレックスを把握しておくこともポイントのひとつ。事前に把握しておけば、それをどう避けるか、どうカバーできるかを想定しやすいためです。ただ、わからないことも多いので、注意が必要です。

  • RaMu

    「アンニュイに撮ってほしい」というリクエストをもとに撮影しました。表現の幅の広さが、彼女の特徴なのかもしれません

もちろん事前リサーチには限界がありますし、やりすぎると表現の幅が狭まってしまう可能性もあります。ですが、少しでも撮影当日に余裕を持てるようにする、打率を上げるようにするには、やっておいたほうがいいでしょう。

最後に、今回の被写体であるRaMuさんに、「事前リサーチ」についてコメントをいただきました。

▼RaMuさんのコメント
あらかじめSNSで自信のある角度を調べていただけるのは、本当にありがたいですし、同時にとてもうれしく思います。SNSの投稿をきっかけに会話も広がり、モデルさんの表情の緊張も徐々にほぐれると思うので、リサーチをして損はないと思います!

モデル:RaMu