花粉症患者が日常生活や仕事、家事などのさまざまなシーンで困難を感じているであろうことは想像に難くない。ティッシュやハンカチを手放せず、マスクやゴーグルで「武装」し、目薬や鼻炎薬、内服薬をひっきりなしに補充しているという状態では、普通の生活を送れという方が無理だろう。このような一人ひとりのロスが積み重なることで、「日本全体の生産性を著しく損ねているのではないか」などと余計な心配さえしたくなる。

それでは実際に花粉症の人は、日常生活にどのような支障を感じているのだろうか。今回は、花粉症に悩むマイナビニュース会員343名に「花粉症によって困ること」を テーマにアンケート調査を実施。花粉症持ちであれば思わずうなずいてしまう悲痛なコメントと共に紹介する。

  • 花粉症のせいで大事な商談が……

    花粉症のせいで大事な商談が……

Q.花粉症によって困ることを教えてください

1位: 目や鼻が気になって仕事や家事に集中できない(59.8%)

2位: 倦怠感やだるさを覚え、やる気が出なくなる(42.6%)

3位: 症状がひどくなって、外出するのをためらうようになってしまう(30.9%)

4位: 診察費や対策アイテム費など、お金がいろいろとかかる(30.0%)

5位: 夜に眠れずに寝不足になる(28.9%)

■目や鼻が気になって仕事や家事に集中できない

・「仕事の効率が悪くなる上にぼーっとして、ミスもたまにしてしまう」(50歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「仕事でパソコンを使っているのですが、目がかゆくなり涙が止まらなくなるたびに作業が中断してしまいます。仕事がはかどらなくなり、とても困ります」(52歳女性/サービス/その他・専業主婦等)
・「花粉症の症状が出てる際は頭がぼーっとしてしまい、集中力もやる気も低下してしまうので、仕事も家事も効率よくできず、しんどいと感じてしまう」(36歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「接客業なので、接客中に鼻水が出るとそのままにしておくことができず、手を止めなければならない」(44歳男性/エステティック・美容・理容/販売・サービス関連)
・「ノート書きやパソコンなどの下向きの作業は鼻水が止まらなくなり、作業効率が悪くなる」(50歳女性/専門店/販売・サービス関連)
・「取引先との商談でプレゼンテーション中に目がかゆくなり、同時に鼻水も止まらなくなり、その商談の場が気まずい雰囲気になってしまった」(58歳男性/その他金融/営業関連)

■倦怠感やだるさを覚え、やる気が出なくなる

・「朝起きたときの倦怠感が強く、やる気がでない」(36歳男性/食品/その他技術職)
・「風邪の症状などと同じで、体がだるくなる」(59歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「常に鼻に意識があるので、他のことへの集中力がなくなります。少し息苦しい状態が続く感じなので、体力の消耗も早く感じます」(50歳男性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「とにかくつらくて気になってしまい、何もできなくなる」(48歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「症状の出始めはアレルギー反応のせいかだるく、体を動かすのが億劫。1週間ぐらい何もしたくないし、動きたくない。だるさが続く」(57歳男性/サービス/その他・専業主婦等)

■症状がひどくなって、外出するのをためらうようになってしまう

・「一日中だるいのはもちろん、メイクもほとんどできないので外に出るのさえ億劫になる」(38歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「運転中に目やにが出て視界を遮り、危うく事故になりかけたことがある」(37歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「外出すると鼻水が出たり鼻がつまったりで、外食してもおいしさが半減しています」(52歳女性/サービス/その他・専業主婦等)
・「家では空気清浄機を使用したり換気を少なくしたりしてだいぶ落ち着くが、外出するとマスクをしてもひどくなるので、どうしても仕事以外では外出したくなくなります」(47歳男性/その他/その他・専業主婦等)

■診察費や対策アイテム費など、お金がいろいろとかかる

・「やはり薬代とか、病院に行く手間がかかるのが困る」(48歳男性/その他メーカー/事務・企画・経営関連)
・「職場にも自宅にも大量のティッシュ箱をストックしていますが、あっという間になくなってしまうほど、鼻水が止まりません」(58歳男性/通信機器/事務・企画・経営関連)
・「耳鼻科でお薬をもらいますが、けっこう高いです」(48歳女性/その他/その他・専業主婦等)

■夜に眠れずに寝不足になる

・「体がだるくて睡眠不足になる。体調がととのわなくなり、薬に頼ることになる」(42歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「熟睡できないと疲れがたまります。家事もペースが遅くなり、のろのろとするので、なかなか片付きません」(65歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「鼻がつまって息苦しくて目が覚めるので睡眠不足になり、体中がだるくてとてもつらい」(60歳女性/医療用機器・医療関連/専門サービス関連)

■総評

調査の結果、1位は約6割(59.8%)が支持した「目や鼻が気になって仕事や家事に集中できない」となった。コメントでは「ノート書きやパソコンなどの下向きの作業は鼻水が止まらなくなる」「接客業なので、鼻水が出ると手を止めなければならない」「目がかゆくなり、涙が止まらなくなるたびに作業が中断」「鼻水が止まらなくなり、商談の場が気まずい雰囲気に」などの声が寄せられ、大きな実害も出ている様子がうかがえる。花粉症以外の人にはなかなか症状の深刻さが理解されにくいことも、より状況をつらいものにしているようだ。

2位は、「倦怠感やだるさを覚え、やる気が出なくなる」(42.6%)。「風邪の症状などと同じで、体がだるい」「朝起きたときの倦怠感が強い」「集中力がなくなる」などのコメントがあった。こちらも周囲の花粉症への理解がないと、ただ怠けてぼーっとしているだけと思われかねず、当事者はつらいところだろう。

3位には「症状がひどくなって、外出するのをためらうようになってしまう」(30.9%)が入った。確かにマスクや防塵ゴーグルで身を固め、ティッシュやハンカチを手放せず、薬の服用でふらつく体では外出が億劫になる気持ちもわかるし、くしゃみや鼻水で他人に迷惑をかけることも気になるだろう。また花粉症の症状や寝不足、薬の服用などが運転の際のリスクになりかねないという指摘もあった。

東京都福祉保健局の平成28年度「花粉症患者実態調査報告書」によれば、都内3区市の住民を対象としたアンケート調査と花粉症検診の結果から推計した都内(島しょ地域を除く)のスギ花粉症推定有病率は48.8%で、ほぼ半数の人が花粉症に悩んでいることになる。幸いにも現在花粉症でない人も、これからは隣人の苦しみを理解し、そっと配慮してあげるだけで、職場や家庭が少しだけ和やかになるかもしれない。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2019年1月12日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 343名(男性261名 女性82名)
調査方法: インターネットログイン式アンケート