撮影地で、鉄ちゃんの数だけ立っている三脚。立派な機材が並ぶ様子は、壮観でもある。しかし、「三脚に無頓着な鉄ちゃんが多すぎる! 」と、プロは厳しく指摘する。そこで、「鉄道撮影に向いた三脚とは何か」ということを、夜間撮影の話も交えて真島満秀写真事務所の長根広和さんにうかがった。
夜間撮影には三脚の他、レリーズも必須
「カメラとレンズにはかなりお金をかけているのに、三脚は数千円くらいっていう鉄ちゃんが多いんだよねー」。事務所メンバーの視線が筆者に集まり、笑いが起きる。実は、そのいい例が筆者なのである。せっかくプロに同行させてもらった有料撮影イベントで、三脚を使用しながらも、ほとんどの写真がブレていたのである。
夜間撮影は時間がかかるものだが、短時間に効率よくキメるコツはあるのだろうか。長根さんに質問してみると、「ないです! デジタルの場合は、とにかくカメラまかせの数値で1枚撮ってモニターで確認し、自分の好みで微調整していくしかありません。"夜景モード"におまかせでもいいですよ」とのこと。そして、シャッターに触れるだけでもブレは発生するので、「レリーズを使用すること」とのことだった。それから鉄道撮影特有の注意点としては、「列車全体にピントがくるようにある程度"絞り"を絞ることを忘れずに」。
三脚は昼間でも必要! 購入時のポイントとは
三脚は、手ぶれ防止はもちろん、しっかりとした構図を作るために昼間でも必須であるという長根さん。「鉄道の撮影には、待っている時間がとても長いですからね、構図を決めてカメラを構え続けていたら、疲れちゃいますよ。疲れて腕を降ろした瞬間に『列車が来たーー!! 』なんてことになったら悲惨でしょ」。うむ、確かにそんなミスは避けたいものだ。
では、どんな三脚を選べばいいのか。下のイラストを参照していただきたい。一番重要なのは、「重い」ということである。
重い三脚がいいとは言っても、持てる重さには限界がある。「機材、移動手段など自分の条件の中で考えることです。『この三脚を持って撮影に行けるのかな? 』ってね。でも『レンズは長玉を何本も持ちたいから、三脚は軽いもので済まそう』というようなバランスの悪い考え方は困りますよ。写真は、ブレたら終わりですから」と、長根さん。
女子、鉄道の心得
話は変わって、もうすぐ訪れるクリスマス。クリスマスシーズンは、魅力的な夜汽車が走る。「撮影デート」を計画している読者の方もいるのではないだろうか。プロの撮影に同行した経験がある筆者から女子へ、同行の注意点を一言。まず、靴はヒール厳禁。いくら歩きやすくても、男子が気を遣ってしまうのだ。そして、寒さ対策に「暖かい下着」等を着用すること。服装は、大きめの段差を飛び降りたり、よじ登ったりできるパンツスタイルがおすすめ。要するに、女の色気とは正反対のところにあるのが鉄道撮影なのだ。ならば、女子も男子のようになって楽しむのがいい。
と、思っていたら長根さんから「また行きたいなら、ちゃんとした三脚を持って来て下さいね」と釘をさされてしまった。重い三脚、つらいなあ……(笑)。
三脚をおろそかにした失敗例筆者撮影。『小型コンデジだから大丈夫だろう』と思って軽い三脚しか用意せず、レリーズももちろんなし。不安定な敷石の上での写真は全滅だった。ああ後悔……(イベント参加者に許可された線路内で撮影)。