似たようなモノやサービスが溢れている現代。その中から選ばれるためには、「ブランディング」の考え方が不可欠です。そしてそれは、モノやサービスだけに限らず、個人にも同じことが言えるでしょう。
本連載では、ブランディングプロデューサーとして活躍されている後藤勇人さんに、「パーソナルブランディング」についての基本的な考え方を伺います。これからの時代に、あなたが“その他大勢”の中から抜け出し、自分らしく生きていくためのヒントが見つかるかもしれません。
「自分株式会社の社長」とは?
世の中には、大きく分けて2つの就業スタイルがあります。
1つは、会社に勤める会社員スタイル。もう1つは、自分でビジネスを立ち上げている自営業スタイルです。
この2つにおいて根本的に違うのは、誰からお金をもらうのかという点です。
会社員は、会社から与えられた業務をこなすことによって、会社から労働賃金をもらいます。一方、自営業者は、一個人や会社に対してサービスや商品を提供し、その見返りとしてお金をもらいます。
また、2つの就業スタイルには、毎月の給料が確約されているか否かという点でも圧倒的な違いがあります。
会社員は、よほどの大きなミスでもしない限り、ほぼ一定の賃金が毎月振り込まれるでしょう。それに引き換え自営業者は、毎月の給料は保証されていません。仕事が取れなければ給料はなくなりますし、倒産という憂き目にもあいます。
そう考えると自営業者のメリットは、誰からも命令されることなく、自分の考えに基づいて仕事ができることぐらいかもしれません。
さてここで、固定概念をなくして、根本的な部分からこの問題を捉えてみましょう。
会社員と自営業者は、本当に違うものなのでしょうか?
実は、会社員にも自営業者と全く同じ側面があります。 それは、仕事の質が悪ければ評価が下がり、給料が減るということです。雇っておく価値がないと判断されれば、解雇という事態が待っていることでしょう。働くスタイルは違えども、本質的な部分では会社員も自営業者も同じということです。
そこで、これからの時代を勝ち抜くには、一会社員であっても、自分を一つの会社に見立てて「自分株式会社の社長」になるという認識を持つことが重要になってきます。
つまり、「自分株式会社の社長」である自分と、大きな目的を目指してミッションを持つ会社、「ミッションカンパニー」との契約を結ぶという考えを持たなければならないのです。
自分株式会社の社員でもある自分の働きが悪く、ミッションカンパニーの要求にそぐわなければ、契約を見直されて給料が下がったり、ひどい場合は解雇になったりするわけです。
ですからこれからの時代は、一会社員においても、自分自身が「自分」という会社の個人事業主であるという考え方が必要なのです。この視点がないと、これからはどんどん立場を追われていくでしょう。
そして、この視点を持つうえで大事なことは、自分株式会社に他の会社(社員)と差別化できる大きな特徴を持たせることです。この特徴が、ミッションカンパニーにおけるあなたの評価を上げてくれます。
自分株式会社にキャッチコピーを付けてみると、よりわかりやすくなるでしょう。「プレゼンがうまい〇〇株式会社」や、「英語が堪能で海外クライアントにも対応できる〇〇会社」というようなイメージです。
このキャッチコピーの部分が、あなたが自分を株式会社として捉えた時の魅力となります。
その魅力が強く価値があればあるほど、あなたの給料も上がり、ポジションも上がっていきます。他社からのヘッドハンティングの候補にも挙がってくるでしょう。逆に、思い当たらないという場合は、今すぐ自分の魅力を作り出すべきです。
それでは、今日から自分自身を「自分株式会社の社長」だと思って、ミッションカンパニーからの評価が上がるような自分をつくり上げてください。
これを実現できる会社員が、これからの時代に勝ち抜いていくのです。
一般社団法人「日本女性ビジネスブランディング協会」代表理事。
専門学校卒業後、24歳で最初のヘアサロンを開業。32歳までに、ヘアサロン、日焼けサロン、ショットバーなど、グループ4店舗を展開し、年収2,000万円達成。1億円の自社ビルを建設する。
その後、「グレコ」で有名な世界のギターファクトリー「フジゲン」創業者・横内祐一郎氏の総合プロデューサー、元ミスワールド日本代表のビジネスブランディングプロデュースを経て、一個人や会社のブランドをつくるブランディングプロデューサーとして活躍。
著書に『成果を出す人、出せない人との大きな違い その「1分」を変えなさい!』(実業之日本社)、『世界一の会社をつくった男』(中経出版)、『最強の社員マネジメント』(総合法令)など。
オフィシャルブログ、オンラインサロン・メルマガも運営中。