この連載でも何度か取り上げてきたが、セルシスの「ComicStudio」や「IllustStudio」は「Intuos4」の高機能をフルサポートし続けてくれる、手描き派にとっては心強い存在だ。そのセルシスから、次世代イラストレーションアプリのベータ版「clip paint lab」がリリースされた。clip paint labは、セルシスの次世代描画エンジン「TRIGLAV(トリグラフ)」のデモンストレーションとして、セルシスが運営する、創作活動応援サイト「CLIP」会員に対して公開されている。便宜上ベータ版と書いたが、この名称も含めてそのまま製品化されるかどうかは発表されていない。とはいえ、その完成度は高く、無償の会員登録さえ行えば、だれでも無償で試すことができる。今回から、この「clip paint lab」を、ペンタブレットに最適化された仕様を紹介しよう。
なお、「clip paint lab」は開発途上であり、頻繁にアップデートされている。この記事は開発途上の「ver.0.70」を元に書いており、機能、性能は変更される場合がある。
創作活動応援サイト「CLIP」
次世代描画エンジン「TRIGLAV(トリグラフ)」は64bitOS、マルチコアCPUに対応。IllustStudioやComicStudioよりも軽快な動作が特徴とされている。特筆すべきは、Windows版、Mac版が同時にリリースされている点。IllustStudioがWindowsのみでのリリースで、Macユーザーは悔しい思いをしてきたが、今回は、製品化にも期待が持てる。
アプリケーションの入手には、セルシスの「CLIP」にユーザー登録(無償)が必要。セルシス製品のユーザーでなくても、メールアドレスだけで登録できる。インストールしたアプリケーションは2011年10月31日まで動作する。
手描きのためのイラストレーションツール
clip paint labの全体のインタフェースデザインは、パネルの配置こそ異なるが、IllustStudioと似た印象だ。機能的にはIllustStudioと比べると、「ベクターレイヤーがない」、「定規、製図機能がない」、「3D機能がない」など、非常にシンプルで、手描き機能に絞り込まれているのがわかる。これに対し、ブラシ、ペンのカスタマイズ項目はIllustStudioよりも設定項目が多くなっており、多彩な描き味が魅力だ。起動して驚いたのは、新規書類。50,000×50,000ピクセルという、広大な書類が扱える(実際にはさすがに重たくて、描くのが困難)。そこまで巨大な画像を扱うことはまずないだろうが、相当パワフルなエンジンをめざして開発されていることが伺える。
次回から、「clip paint lab」の機能を実際に試していきたい。