今回から数回に分けて、「Intuos4」の様々なオプションペンの特徴と機能、その有効な使い方などを紹介していきたい。

「Intuos4」の魅力はなんといってもその拡張性にある。ペン、本体サイズを自由に組み合わせて、自分好みの環境を構築できるのは他のペンタブレットにはない大きな魅力だ。特に入力装置はスタイラスペン5種、マウス2種の計7種類がラインナップされている。交換用の芯とグリップの種類を加えれば、スタイラスペンのバリエーションは22にも及ぶのだ。オプションのペンを追加購入することで、煩わしい目的別の芯の交換が不要になったり、新しい描き味を得られたり、新たな表現が可能となる。今回から数回にわたり、これらのオプションペン、マウスの機能を紹介していこう。

オプションペンの種類

Intuos4用のペンはデザインが異なるだけでなく、機能もそれぞれ独自のものだ。まずはそれぞれの外観と大きな特徴を見ていこう。

5種類のペンはそれぞれデザインも機能も異なる。標準のグリップペンはグリップで太さが変えられるので、それも入れると6種類という選択肢だ

「グリップペン」はIntuos4に標準で付属するペン。汎用性のある、もっとも標準的なペンで、太径ラバーグリップで直径を変えられるのが大きな特徴。

「Intuos4クラッシックペン」は細身で軽量なペン。性能的にはグリップペンと同等。

「Intuos4アートペン」は、他のペンが対応していない「ペン軸の回転検出」に対応したペン。芯の形状も他にはない「彫刻刀タイプ」が使用できる。

「Intuos4インクペン」はペン先がボールペンになっており、盤面を見ながら描くことができるタイプ。ボールペンなしの入力ペンとしても使える。

「Intuos4エアブラシ」はエアブラシの形状を模したユニークなペン。ペン軸にホイールがついており、このホイールで筆圧などを調整/固定できる。

「マウス」はIntuos4の本体上で使える、ワイヤレス&電源レスの軽量ホイールマウス。

「カーソルマウス」はCADの座標入力用の特殊形状マウス。

標準の「グリップペン」とID機能

まずはIntuos4付属の標準ペン。正式な名称はグリップペンという。このペンの使い勝手やカスタマイズはこの連載で何度か述べてきたとおり。安定したバランスのよさ、太さの異なる交換グリップ、大幅に書き味が変わる交換芯と、魅力の多いペンだ。

「Intuos4」に付属するグリップペン。グリップ、芯とカスタマイズ要素が多く、どんな目的にでも使える万能選手だ

追加のペンを選ぶ時、まず候補にあがるのは、このグリップペンだろう。同じグリップペン2本を使うメリットは、芯交換のわずらわしさから解放されるという部分だ。筆者も複数のグリップペンを使っているが、フェルト芯&極太グリップをセットしたものを線画専用、ストローク芯&ノーマルグリップをセットしたものを筆塗りタッチ専用と使い分けている。これだけでも追加購入のメリットは大きいのだが、さらに良い点がある。Intuos4のペンは個別のIDを持っており、同じペンでもそれぞれに異なるドライバ設定を行うことができる。たとえば、1本目のペンでは筆圧感知を柔らかく、もう1本のペンは硬く設定するというようの、設定で使い分けることもできるのだ。

2本のグリップペンを別のペンとしてドライバが認識している様子。ペンのアイコンをダブルクリックすれば名前を自由に変えることができる。筆圧調整、マッピングなど、ペンごとに異なる設定が可能だ

ペンごとで変えられる設定は筆圧だけではない。サイドスイッチやマッピングもペン単位での変更が可能なのだ。たとえばペン1のサイドスイッチには鉛筆ツールの選択、ペン2のサイドスイッチにはブラシツールの選択を登録しておけば、ペンのサイドスイッチをクリックすることですぐに、そのペンで使うツールを呼び出すことができる。デュアルモニタ環境であれば、ペン1はモニタ1専用、ペン2はモニタ2専用、といった使い方ができる。

こういった、複数ペン同時での利用を想定し、グリップペンのペン先には交換用のカラーリングが用意されている。同じモデルの標準ペンでも用途にあわせてカラーリングをつけておくことで、すぐに選ぶことができるというわけだ。

カラーリングは4色が付属。グリップ交換と同じく、先端キャップを廻してはずすと交換できる

グリップペンは他のペンと比べて価格も安く、すでに使っているので安心感もあるがどうせ追加購入するなら他のペンも気になるところ。次回はクラッシックペンとインクペンの特徴や機能を紹介する予定だ。

Illustration:まつむらまきお