キーボードでPCを操作するとき、キーボードから手を離さずに特定の機能を実行できれば便利だ。いくつかの方法があるが、ポピュラーなのは、キーボードのユーティリティプログラムを使う方法だ。たとえば、Windows PowerToysには、「キーボードマネージャー」と呼ばれる機能があり、キートップの再割り当て(俗に言うキーリマップ)や押したキーのの変換などが行える。その他にもAutokeyのような高性能なキーボードユーティリティがあり、複雑な操作(キーマクロ)を実行できるものもある。
しかし、キーボードユーティリティプログラムは、PCのキーボードを使うため、必然的に修飾キー(Ctrl/Shift/Alt/Winキー)とファイナルキー(キートップに対応)の組み合わせになる。こうした修飾キーとファイナルキーの組み合わせをWindowsでは「キーボードショートカット」と呼ぶ。
キーボードショートカットに使えるキーの組み合わせは有限であり、これをWindowsとアプリケーションが奪い合う状態だ。アプリケーションごとに固有のキーボードショートカットがあるわけで、これはアクティブになっているウィンドウにより利用できるキーボードショートカットが異なるということだ。もし、キーボードユーティリティなどで定義したキーボードショートカットとアプリケーションが持つキーボードショートカットが衝突してしまうと、アプリケーション側の機能が使えなくなる。Windowsには、キーボードショートカットに複数の方法があり優先度が異なる(表01)。しかし、優先度が厳密に守られるのかというとそうでもなく、Windowsの状態によっては、優先度が高いはずのホットキーが受け付けられず、アプリケーション側でキーボードショートカットが処理されることもあるため、基本的には、お互いに重複しないように割り当てを行う必要がある。
残るのは、利用頻度が低い、多数の修飾キーを併用するキーボードショートカットだけだ。Ctrl+Shift+Alt+1のようなものだ。しかし、ここまで来ると今度は押すのが面倒だ。
なので、文字入力用のフルキーボードと併用する別のキーボードを用意することにした。こうしたデバイスには、ゲーム用などとして販売されているキーパッドやプログラマブルテンキーなどがあるが、大きくて場所を取る。このため、キーボードまわりがゴチャゴチャしてしまい、落ち着かない感じがする。そこで、キー数が10個程度の「小さなキー」を導入してみた。
結論からいうと、結果は悪くない。フルキーボードがちょっと延長された感じで、そこに特定のキーボードショートカットを実行できる専用キーが増えた感じになる。筆者は、テンキー部のないコンパクトキーボードが好みなので、そもそも外部テンキーのように大きなキーをそばには置きたくなっかった。
最初に買ったのは3x3のキーだが、ちょっとキー数が少なかった。筆者はInput Directorで、キーボードとマウスを複数のPCで共有している。ユーザーが指定したキーボードショートカットでPCを直接切り替えることができる。ほかと衝突しないように「Ctrl+Shift+ALt+1~0」をPCに割り当ててある。しかし、キーの数は9個で1つ足りない。機能としては、キー割り当てを切り替えることもできるのだが、そのためには1つキーを使う必要があり、直接切り替えることができるPCが8台に減ってしまう。
なので、6キーが2段になっている12キーのものを購入した。10台分のPCに割り当てたキーと、このキーの割り当て変更キー2つを定義した。10台のPCを直接切り替えることができる。キートップはまっさらだったが、数字のシールを貼って区別しやすくした。なお、筆者の購入した製品は、キートップを横向きにも装着可能だったので、縦に置いて使うことにした。フルキーボードの左となりで、手を伸ばしやすい位置にある。IBM PCの86キーでファンクションキーがあった位置だ。
3x3のものは、覚えにくいWindowsのキーボードショートカット(Win+Shift+Sなど)や実行ファイルのショートカットキー(写真02)実行ファイルのファイルショートカットで設定できる起動用のホットキー)を割り当てる。こうすると、任意のアプリケーションをキーボードから1発で起動できるようになる。
今回のタイトルの元ネタは、星新一の「妄想銀行」に収録されていた「鍵」である。1970年台前半、星新一の作品が文庫本になったことで、当時の筆者のような子供でも入手が可能になった。小遣いをはたいて、新潮文庫の星新一作品の大半を購入したのは中学生の頃。いまでも時々読み直すことがある。