「パソコン、スマホの使いすぎ」は、目や肩、腰痛などの薬品のテレビコマーシャルなどに登場し、テレビの健康関連番組でも病気などの原因として頻繁に登場する。たしかに電車に乗ってもほとんどの人がスマートフォンを見ているし、かかりつけの目医者も診察時に毎回「スマホを見過ぎないように」という。
そんななか、コンピューターへの依存を減らす「デジタル・デトックス」というキーワードを頻繁に見かけるようになった。AndroidはVer.10から"Digital Wellbeing"が搭載され、利用時間を制限することなどが可能になっている。コンピューターがユーザーの健康まで心配してくれるとは、「素晴らしい」時代になったものだ。昔のコンピューターは「How many files?」とファイル数を聞いてくるだけで、健康の心配などしてくれなかった。
筆者は、一日中仕事でPCを利用しているため、完全なるデジタルデトックスは困難だが、仕事にならないので「SNS」と「オンラインゲーム」には近づかないようにしている。自営業なので、SNSを一日中見ていても、ゲームに没頭していても誰も怒る人はいない。それゆえ、自分で管理しないと、どうしようもないからだ。
通知を対策する
サービスとして誘惑が多いのはSNSだ。発言に応答があれば通知、知り合いが発言すれば通知とさまざまな通知があり、ついつい見てしまいがちだ。PCの場合、SNSの利用を抑えることができれば、デジタルデトックスは、ほとんど成功といってもいい。通知を行わないオンラインゲームなどは、後述する方法でサイトを開けないようにしておく。
最初に必要なのは、スマートフォンの対策だ。スマートフォンに通知があると、何が起こったのか気になり、ついついSNSなどのページを開きがち。PC利用中は、スマートフォンをサイレントモードにするなどして通知がわからないようにすべきだ。充電場所をPCから離すというのも1つの方法だが、機種によっては、「Digital Wellbeing」の設定で、スマートフォンの液晶面を下にして置くとサイレントモードになるものがある。サイレントモードは、オンにするのは簡単なのだが、そのまま忘れてしまうことが多い。この点、伏せてオンにできる機種は戻し忘れがない。
Windowsの通知は、「集中モード」(写真02)のオンオフで通知全体を制御、アプリごとに通知のオンオフという2段階の設定になる。集中モードは、スケジュールで自動的にオンオフが可能なので、仕事の時間帯に自動的に集中モードにして、通知を表示させないようにしておく。
Webサイトを開けないようにする
ブラウザは、インターネット検索や各種のサービスを使うのに必須なので、SNSを見たくないからといっても、ブラウザ自体を利用不可能にしてしまことはできない。なので何らかの方法でSNSなどの特定のサービスを使いにくい状態にしておく必要がある。すぐに思いつく方法として、パスワードの自動入力をしない、2段階認証を常に有効にするなどがあるが、これらはSNS利用の「障壁」としてはあまり役にたたない。SNSなどのログイン処理は前回終了時にログアウトしたときだけしか行われないからだ。
なので、コンピューター自身の力を借り、特定のサイトへのアクセスを禁止するブラウザの拡張やアドインを使うことにする。筆者のように意志の弱い人は世界中に多数いるらしく、こうしたソフトウェアが複数、ブラウザの拡張機能として作られている。これらのアプリは、ドメインを登録すると、そのページをブラウザで開くことができなくなる。
ChromeやEdgeのWebストアで「Block」や「Site」をキーワードにして検索するといくつか候補が出てくる。筆者は"Site Blocker"(写真03)というベタな名前のChrome拡張を、EdgeとChromeに入れている。
Site blocker
https://chrome.google.com/webstore/detail/site-blocker/offfjidagceabmodhpcngpemnnlojnhn
しかし、業務上、どうしてもTwitterの発言などを参照しなければならないこともある。しかし、Site Blockerは、機能を一時的に解除することはできず、設定を変更しなければアクセスができない。なので、FireFoxをインストールして、必要に応じて起動して使う。もちろん、簡単に起動しないようにスタートメニューなどにタイル登録もしていない。なお、FireFoxにもChromeなどと同様に特定サイトを開かないようにする拡張機能があるが、こちらには何もいれていない。
デジタルデトックスの「デトックス(Detox)」には、「解毒」という訳すことが多いが、英語の意味としては、薬物やアルコールなどの依存症治療という意味もある。キアリー(ドラクエの解毒魔法)一発で回復ということではなく、長期間の治療が必要になるというだ。実際、筆者もほとんどSNSを見ない時期もあれば、何かのきっかけで頻繁にアクセスしてしまうことがある。デジタルデトックスには、少し時間がかかるようだ。