今年のお正月、妻の実家に帰省した際に食べた、評判らしきお取り寄せの「ぶりしゃぶ」が、ちょっと衝撃的な美味しさだったんです。
まぁそれは、愛媛県の宇和島市のブランド「戸島ぶり」がたっぷりと入った、なかなかの高級品。美味しいのも当然だったわけですが、パッケージされていた食材の組み合わせがまた良かったんですよ。まずは、ぶり。それから、たっぷり刻みねぎ。そして平打ちのうどん。最後に、上品かつ味濃いめのだし。で、たれにつけるのではなく、ぶりをだしにさっとくぐらせてねぎと一緒にそのまま食べるんですが、これが絶品。
今回は、スーパーのお手頃なぶりを使って、少しでもあの味を再現できないかなと試行錯誤してみたレシピ。結果、日々の晩酌ならばこれでじゅうぶんすぎる! というものができたので、ぜひご紹介させてください。
ポイントさえおさえておけば幸せ確定
まず重要なポイントは、主役であるぶりの目利きと、下処理と、裏技食材。以前にも自宅でぶりしゃぶを作ってみたことがあるんですが、その時はちょっと生魚っぽいくさみが気になってしまい、以来あまりやらなくなってしまったんです。が、今回あらためて、美味しいぶりしゃぶの作り方の基本を調べてみました。そしてわかった情報が以下。
ぶりには「背身(せみ)」と「腹身(はらみ)」があり、ぶりしゃぶにするならば脂ののった腹身が向いているのだそう。見分け方としては、切り身にしたときに三角ではなく四角っぽい形で、皮をむいたあとが白っぽい銀色になっているのがそれ。
身がつやつやときれいで、見るからに脂がのっていそうで、血合いの部分の赤色が鮮やかなものを選ぶのが良いでしょう。
続いて下処理なのですが、身にまんべんなく酒と塩をふりかけ、1時間ほど置いて出てきた水分をふきとると、ぐっとくさみが抑えられるらしいです。心配な方やめんどうくさがりでない方は、ぜひやってみてください。ただ、僕はそのどちらでもなく、できればショートカットしたいタイプ。そこで登場する裏技食材が「緑茶」!
なんでも、しゃぶしゃぶをする鍋に緑茶のティーバックを入れると(もしくは直接ペットボトルの緑茶でしゃぶしゃぶするなんて方法も)、食材のくさみがとれ、しかも旨味まで加わってしまうらしいんです。本当かな? と思いつつやってみたら本当だったので、自信を持っておすすめ。
続いてのポイントは、野菜! ついあれこれと加えたくなってしまいますが、マストなのは刻みねぎ。っていうか、潔くそれだけのほうが、このレシピにおけるぶりしゃぶの醍醐味をより味わえるかもしれません。第2の主役と言っても過言ではないので、とにかく大量に用意しましょう。
そうしたら鍋にお湯をわかし、あれば酒も適量加えてアルコールを飛ばし、市販の白だしで味をつけます。白だしはお好みのものでよく、パッケージの記載を目安に、うどんやそばのかけつゆくらいの濃度に調整してください。しゃぶしゃぶしたぶりはそのまま食べるので、気持ち濃いめくらいでもいいでしょう。
ここで登場するのが、緑茶!
これを、小鍋なら1、大鍋ならば2つほど、だしに直接入れてしまいます。そんなことしたらお茶味になっちゃわない? と思うかもしれませんが、やってみたところ、まったく気にならないし、むしろお茶自体にも旨味があり、その相乗効果で美味しくなります。考えてみれば、お茶漬けも茶そばも、大定番のメニューですもんね。
しばらく煮出したらティーバックは取り出してしまい、いよいよしゃぶしゃぶタイム。
鍋にねぎを投入してさっと火を通し、火加減を沸騰寸前くらいにまで弱めます。これまた、ぶりしゃぶのポイントのひとつ。
あとはこの鍋に1枚ずつぶりをくぐらせ、ねぎとともに味わうのみ。基本的に生で食べられる食材なので、表面が白くなったくらいでさっと取り出して食べましょう。時間をかけすぎると、どんどん煮魚になってしまうので。
そしたらま〜、これが! ねぎとだしで食べるというスタイル、お茶を加えるという裏技のおかげで、以前に自己流で作ったのとは別次元の美味しさなんです! 本当に、いくらでも食べられる。スーパーで数百円で買えるぶりとねぎだけで、こんな贅沢感が味わえるとは。
さらに、名残惜しくもぶりを食べきってしまっても、まだまだお楽しみは続きます。
ぶりは脂の多い魚。しゃぶしゃぶが終わっただしには、その脂と旨味がたっぷり。お好みでおじやにしたり、魚介だしラーメン風に味わうのも間違いなく美味しいと思いますが、今回はお取り寄せセットのスタイルにならって、平打ちのうどんでシメ。
作りかた
【材料】
・ぶり(刺身用):好きなだけ
・長ねぎ:好きなだけ
・酒:好きなだけ
・ティーバック:鍋の大きさに応じ1〜2
・白だし:かけつゆの濃度になる量
※すべての分量は目安です。お好みで調整してください。
【作りかた】
1.鍋に水と酒適量を注ぎ、火にかける。
2.緑茶のティーバックを加え、しばらく煮立たせる。
3.刻んだねぎを加え、火加減を沸騰寸前くらいまで弱める。
4.ぶりを1枚ずつだしにくぐらせ、表面が白くなったくらいで取り出し、だし、ねぎとともに食べる
5.シメはお好みで