この世でもう二度と作られることのない、名もなき料理を生み出してしまうことがよくあります。

どんな経緯でかというと、野菜炒めでもカレーでも煮物でもいいんですけど、夕飯におかずを作って、食べ切れずにタッパーに入れ、冷蔵庫にしまっておく。それを翌日に食べればいいんだけど、翌日は翌日でまた別のものが食べたくて、別のおかずを作る。すると3日くらいでそういうタッパーが冷蔵庫にたまってゆく。するとですね、もう、どうにでもなれ! って気持ちになって、それらを全部合わせて鍋で煮込み、さらにその時々のフィーリングで味をつけ、結果、名もなき料理としかいいようのないものが誕生してしまうという。

で、たいていはそういう料理って、まずくはないんだけど、どこか薄ぼんやりとした、まとまりのない味になるんですよね。ところが先日そんな経緯で作った料理が、思いのほか美味しかったんですよ。そこで後日、あらためて再現してみたところ、やっぱりちゃんと美味しい。これ、生み出しちゃったんじゃないの? 絶品創作料理を。というわけで、今回はそのレシピをご紹介します。

完全に思いつきで

タイ料理に、トムヤムクンってありますよね。酸っぱくて辛い。今回の味のベースはそちらになるんですが。

  • ときおり偶然に誕生する、もう2度と作られることのない、名もなき料理…そんな経緯から誕生した今回の一品、味のベースはトムヤムクンです

    トムヤムクンスープ

あれ、輸入食材店や大きめのスーパーにペースト状の素が売っていて、お湯に溶くだけでちゃんとスープになって、家庭でも簡単に作れるんですよね。トムヤムクン大好きなんで、我が家でも常備しています。

で、今回の「トムヤム豆乳ヨーグルトカレー」が誕生した流れはというと、冷蔵庫に、前日作って残っていた回鍋肉があったんです。さらに、「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」っていう、ちょっと聞き慣れない方もいるかもしれないんですが、大豆が原料の無糖ヨーグルトも残っていたんです。これ、最近ハマってるんですが、甘く味つけして食べることもできれば、醤油&薬味とか、塩&オリーブオイルとかで、おつまみ的に食べることもできて、しかも超体にいいというすぐれもの。それらをもう、そろそろ食べちゃったほうがいいなと思って、なにも考えずに鍋に入れて煮込んでしまったんです。その時に目についたのがトムヤムペースト。なんとなく雰囲気で、トムヤムペーストで味を整えてみた。そしたらそれが、意外なほどに美味しかったというわけで。

今回のレシピはそれをもうちょっとお手軽に再現したもの。では作っていきましょう。

まずは適当な材料で、肉野菜炒めを作ります。今日は、豚こま、にんじん、ピーマン、玉ねぎで。

  • ただ炒めるだけ

で、いろいろと試してみたんですが、トムヤムペーストとヨーグルトだけだと、さすがに最終的な味があっさりしすぎてしまいます。この時点で甘じょっぱさを加えておいてあげたほうが、仕上がりにまとまりが出る。というわけで、濃すぎないくらいの味になるよう、めんつゆを加えて味を整えておきましょう。

続いてヨーグルト。先ほどは「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」と言いましたが、もう少し手に入りやすい、無糖の豆乳ヨーグルトを使います。

  • こういうの

それを野菜炒めに、好きなだけ投入。

  • こう

で、ぐつぐつぐつと煮込みつつ、トムヤムペーストを味を見つつ投入。すいません、今回、全部目分量ということでいいですかね? みなさんそれぞれに、お好みの味になるくらいの分量を加えてもらうということで。

  • トムヤムペーストで味つけ

すると、おお、やっぱり! なんだかぜんぜん知らない料理ではあるんだけど、世界中のどこかにはありそうな、美味しそうな見た目になってくれましたよ。

  • ほら!

  • お皿によそうとさらに!

さらに今回は、レシピの連載ということで生意気にも、パクチーなんぞを添えてみましょう。もちろんよく冷えたビールも用意して。

  • 完成! 「トムヤム豆乳ヨーグルトカレー」

はたしてこの名もなき料理をなんと呼ぶか。自分でもわからないし、カレーというジャンルの料理であるかどうかもわからないんですが、まぁニュアンスで。トムヤム風味の、豆乳ヨーグルトが入った、カレーっぽいものという感じでこう名づけさせてもらいました。 これがですね、トムヤムの酸っぱ辛さと、ヨーグルトの酸味がよくマッチし、それでいて、トムヤムクンスープの尖ったような刺激がヨーグルトのおかげでまろやかになり、なんとも言えない美味しさなんです。夏にぴったりの味わい!

  • ごはんと合わせてもばっちりでした

ちなみに検証として、もっと手に入りやすい、豆乳じゃない、無糖の普通のヨーグルトでも作ってみたところ、加熱したら乳成分と水分が分離してしまって、しゃばしゃばな仕上がりになってしまいました。

  • ただのスープに

それはそれで悪くなかったんだけど、やっぱり豆乳ヨーグルトを使ったまろやかな食感のほうがより美味しいかな。

作りかた(ひとりぶん)

【材料】

・お好みの肉(今回は豚こま。鶏肉とかも良さそう)
・お好みの野菜(今回はにんじん、ピーマン、玉ねぎ。なすとかも良さそう)
・無糖の豆乳ヨーグルト(適量)
・トムヤムペースト(適量)
・めんつゆ(適量)
・パクチー(お好みで)

【作りかた】

1.好きな具材で肉野菜炒めを作り、めんつゆで濃すぎないくらいに味をつける
2.豆乳ヨーグルトを加えて煮込む
3.味を見ながらトムヤムペーストを加える
4.しばらく煮込んでとろみがいい感じになったら、器に盛りつけてパクチーを添える