過労自殺しかけた経験を描いた書籍「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない理由」の著者である汐街コナさんが、会社から身を守るための処世術などを紹介する漫画連載「会社につぶされないために」。今回のテーマは「学習性無力感3」です。
本当の目的から目をそらさないように
前回および前々回に引き続き、学習性無力感のお話です。「報われそうな努力を選ぶ」にはまず、「何のために努力をしているのか」という「目的」をまっすぐ見なければならないと思います。
例えば私の場合、目的はまず「作品が掲載される」というものだったのですが、その奥にはもう一つ、「面白い作品を描く」という本当の目的があったと思います。しかし当時、本当にその目的に真摯に向き合っていたのかと自問すると、ちょっと自信がありません。
「担当編集さんが『良い』と言ってくれてるから」とか「今まで時間をかけてきたから良くなってるはずなんだ」とか言い訳をしながら、心のどこかで、本当は面白くないとわかっていた案に執着していたように思います。「今作ってるものが面白くない」という事実に向き合う覚悟や、時間をかけてきたものを捨てる勇気がなかったのです。
つまり、目的から外れた道であることが本当はわかっていたのに、目的から目をそらして、楽なわき道でぐるぐる歩き回っていただけなのです。
このときに「面白い作品を描く」という目的に真摯に向き合っていたなら、そういったわき道に迷い込み、無駄に精神力を浪費することはなかったのではとも思います。
本当の目的を達成する道は、最も大変な道であるケースも多いです。自分に対する言い訳を自覚し、かなり厳しく自分をジャッジしないと進めないこともあります。
難しいことで、私も今もできていないと思います。でも、結局それが自分のためになるのだと思います。