友人が出張に行くというので、彼女が飼っているトイプードルを預かったことがある。もともと犬好きなこともあって、もうメロメロ。返したあとはいっちょ前にペットロス気味になるほど……。

ペット、特に犬の癒し効果は絶大だ。いまさらだが理由を挙げてみると、まずは生き物に触れる心地よさがある。ナマ暖かくて、柔らかい。それから、自分だけを見つめてくれる一途さ。これには私も結構やられちゃったが、家にいれば私のあとをついて回り、外出から帰れば、一目散に迎えに来てくれる。一途で偽りのない瞳……ペットを飼うと、男がいらなくなるというわけだなこりゃ。

男をペットとして飼うことにした話が『きみはペット』なら、ロボット(フィギュア)だったらどうだということにしたのが『絶対彼氏。フィギュアなDARLING』だ。どちらも共通点は、男が自分にのみひたすら一途であること。きみぺは女性向け、『絶対彼氏。』は高校生向けの漫画であるため、これは年代を超越した女の願望であることがわかる。

しかし正直、『絶対彼氏。』のほうは、どうにも私が対象年齢から大幅にずれてしまっているようで、ところどころ笑わせてはくれるのだが、展開の緩さ、描き込みの甘さ、テンポの稚拙さがどうにも気になってしまって、感情移入できなかった。まあ主人公が高校生って時点で、もー私にしてみたら白亜紀な感じがするので、無理はないのだが。

ドラマの『絶対彼氏』のほうは、登場人物の名前以外はほぼリニューアル状態。しかし、漫画で少々無理のあった設定が上手にカバーされており、作り方が上手い。

少女漫画を読んで育った女たちは、大人になって実は男がそんな女に都合よくデキのいい生き物ではないことがわかると、女性向け漫画の王子様物語を「理想の彼氏像」ではなく「癒しの夢物語」として読むようになる。まだまだ未来に希望がいっぱいの高校生よりも、仕事、恋愛、将来……ありとあらゆることにストレスを感じる20代、30代の女たちにこそ、癒しの物語は必要だ。それを堂々意識して作ったのが、ドラマなのだろう。漫画では高校生の主人公リイコは、ドラマでは派遣社員、幼なじみのソウシは会社の御曹司であり室長。明らかにこのドラマは対象年齢が引き上げられている。正直、ドラマはメチャクチャ面白い。

そもそもが「彼氏になるためのフィギュア」であるから、このナイトという名のフィギュア、「僕の彼女」「僕は彼氏」をよく口にする。ドラマではこれがことさらに強調されていて、ナイト役のもこみちはそれこそ10秒に1回かというくらいこのセリフを連呼する。ヲトメ萌えをよく理解しているドラマである、つくづく。

よく、サークルとか社内とかで付き合ってると、男から「内緒にしてて」なんて言われることがある。もちろん、女も「ほかにチャンスがあるかもしれないから、潰したくない」と思っている場合はOKなんだけど、真面目に考えているのに「内緒にしようよ、面倒くさいじゃん?」とか言われると、かなりへこむ。面倒くさいのは、ほかに女が釣れなくなるお前だろうという疑念が沸くのだ。

一方、「僕の彼女です」と公言するということは、外に対して「俺には決まった恋人がいる」と断言してるわけで、誠実さの表れのように思える。「俺たち付き合ってるんです」よりもなんだか嬉しいのは、「彼女」という言葉のほうが占有感、愛情、特別感がある気がするからですかね。ちなみに「俺たち、付き合ってるんでしょ?」よりも「俺はカナコの彼氏でしょ?」のほうが萌えます。はあはあ。

てなことを、せっかく毎週合コンやってる男子たちに教えてあげたのに、一向に実践しようという気配がない。どうやら、ヲトメ萌えなセリフというのは、かなり男子的には寒いらしいのだ。女に置き換えると、さとう珠緒の「プンプン!」と同じだとか……。まじっすか! びっくりしたところで、また来週。
<つづく>