以前、女の本音をつづるというようなコラムを書いていたことがある。筆者の担当が「働く30代の女の本音」だったので、初っぱなからとあるドラマの解説をした。『きみはペット』である。

このドラマの放映時、筆者はスペインにいたのだが、日本在住30代の女友達から、次々と「きみぺがおもしろいのー」「松潤ほしいのー」というアツいメールがぞろぞろと届いたものだ。当時は何のことだか分からなかったが、帰国してから再放送を見て納得した。

そこで当時のコラムに、なぜこれほどまでに『きみはペット』が女の胸を刺したのか、詳しく説明したのだ。そうしたらなんと読者から、「もっと外に出て現実を見たほうがいい」「山田詠美を読め」などという意見が届いた。

「女の本音」を読むコラムで、ナゼ男から文句を言われなければならないのか、外に出ろなどといいつつ山田詠美を読めという文化的行為を進められる不可解さ。つーかナゼ読んでない前提なのか。いろいろ疑問はあったが、ひとつ分かったのは、「知的好奇心を持って作品に触れること」「解説する」ことを「心から大好き」としか捕らえられない人がいるということだ。

……つうことは、こんなコラムを書いてる私は、もうどうしようもなく少女漫画の好きな、メルヘンな世界に住む三十路処女だと思われてるってことだな……バツイチなんですけど……ふふふ。

とまあ、前述の話があったため、非常に思い入れがあるドラマ『きみはペット』。とうとうこの原作を読んでみた……嗚呼、なぜ私は、今までこの漫画を読まずに生きることができたのか。めっちゃ面白いんですけど! 全巻大人買いの、子供読み。大傑作でございました。

ドラマのほうは個人的にはベタベタに甘すぎで、疲れている時以外は少々入り込みにくいんだけど、漫画のほうは軽すぎず重すぎず、テンポとセンスがよくて笑えて、現実もあれば夢もあって癒される。非常にバランスの取れたお話でした。

いや~、まず男の子をペットとして飼う、というのがよい。何がよいって、セックスのない同居ほどよいものはない。男って、すぐ「誘われた」とか「こういうシチュエーションになったら仕方ない」とかあれこれ言い訳して、そっちに持ち込むじゃないですか。女は男が思っているほど劣情がないので、正直うっとうしいことが多いのだ。

それがないのに、でこチューやハグハグはあるんだから、夢の理想郷ですわ。しかも家に帰れば、自分だけを見つめてくれて、一途で(大抵の男は、一途な振りすらしないし)、弱った時は元気づけてくれて(大抵の男は無神経で気が利かないし)、素直で(大抵の男は変なプライドがあって素直じゃないし)、以前も述べたが、劣情をガマンしてくれている(大抵の男はガマンしてくれないし)、もう最高のペットなんである。

そして重要なのは、ペットにしているモモ。無職でバンドで大成するという大きな夢を持っているダメ男……ではなく、世界的に期待されているダンサーであるってのがよい。それが、モモがペットに甘んじている理由となっているところも、割と無理がない。

ただしこれは、少女漫画ではなく、大人の女性向け漫画です。よって若い女子には受け入れられないかもしれない。という解説は、次回以降に。
<つづく>