『トモダチコレクション』というニンテンドーDSのソフトを買ってみた。ゲーム内の島に自分の好きなキャラクター(主に現実の友達)を住まわせて様子を見る、というゲームなのだが、これが激烈に面白い。まず、嫌いな人をキャラにはしないわけで、自分の島には自分の好きな人しか住んでないのだ。現実の知り合いだけでは頭数が揃わないので、和久井の場合はマイケル・ジャクソンとか嵐のメンバーが住んでいたりする。で、そのマイケルが尻文字クイズをやってくれたりするのである。
和久井が「ぺろーた島」と名付けたその島に住んでいるキャラたちは、勝手に狭い世界の中でケンカしたり結婚したりするらしい。誰が誰と結婚するのか……お気に入りの男性キャラがほかの女(自分の分身も島に住んでいるので)とくっつかないように、「二人の相性はあまりよくないと思う」とか教え込んで、日々小細工をしているのであった。
とまあ、軽く恋愛ゲームも楽しめるのであるが、そもそも色恋って、こんな風に操作できたり、割と簡単な理由がくっついてるものなのだろう。通常、恋愛がこの世の終わりくらいに楽しかったり苦しかったりする少女漫画の中で、『シャルトル公爵の愉しみ』に登場するキャラは、みんなかなり変態だけど、恋愛に関してとてもクールだ。
まず序盤の主人公であるヴィスタリア。若くてキレイな女の子が大好きな「女性」である。彼女が女好きであることで、女の業のようなものからかなり解き放たれている。夫のラウールが愛人を作ろうとしたとき、何にショックを受けたかというと、愛人の女が自分の好みだったからだ。彼女に触れられるなんて、ずるい! と、女にではなくラウールに焼き餅を焼いている。息子のアンリが女ったらしだと聞くと、「かわいい女の子に囲まれていいわねえ」とか言ってうらやましがっている。
夫が離婚を切り出しても、「仕方ないわねえ」とか言って平然としているし、アンリの父親が誰なのか、なんて話になったときも、「お前の母親が私だってことだけは間違いないわよ」などと明るく笑い飛ばしている。ヴィスタリアがアンリを産んだ後、20数年経った後に娘を妊娠した。そのときも「父親は誰だ」的な事件が起こる。
毎回毎回、ヴィスタリアには子どもの父親は誰だ疑惑が起こるのだ。それでも「本来は女好き」なのだから、男に対してシリアスにならない。『NANA』でハチが孕んだとき、正真正銘、ノブかタクミか、どちらの子どもかわからなくて、ハチはメソメソぐずぐず、大変な騒ぎだった。
しかしヴィスタリアは違う。「私はラウールと離婚して、新しい愛人であるイオンと結婚して子どもを育てるわ!」。長男のアンリはラウールにあげるから、それでいいじゃない、というのである。女が子どもを孕んだときに、こうまであっさりできたら、人生楽だろうなあ。
そして人生楽しそうな人が、もうひとり。ハプスブルク家の末裔、絶世の美女レオポルディーネだ。彼女はラウールが好きで、隙あらば結婚しようとしている。どうやったらラウールの気を引くことができるだろうと考えて、彼女は思いつく。「ラウールを、私のセックスの虜にしてしまえばいいのよ!」。若い娘さんは、思い切ったことを考える。
ところがまだ処女だったレオポルディーネは、経験を積まないと、と思い、レッスン相手を探す。それにまんまと乗らされちゃったのが、アンリだ。イケメンで金持ちで女ったらしのアンリは、経験豊富なので好都合。レオポルディーネと幾度となく夜を共にすることになる。
結局、男も女も、一生を沿うことになる相手と巡り会うまでは、誰とやろうがそれは「練習」とも言えるから、特別変わったことじゃないのかもしれない。なんだかんだ言って、アンリとレオポルディーネは結婚することになるわけだし。でも恋愛から始まったのではない二人の関係で、結婚まで行き着いたのは、アンリがレオポルディーネに執着していたからだ。まあ、このあたりは少女漫画らしい女性優遇制度なのかもしれないけど。
恋愛をあっけらかんと楽しむ主人公クラスの女性たち。一方で、どろどろめらめらの恋愛も描かれている。次回はそんなお話を。
<つづく>