Mountain Lionが発売から4日で300万ダウンロードを突破だそうですが、それもこれも流通をMac App Storeに一本化したからでしょうね。統計をとることは以前のパッケージ販売に比べればラクでしょうし、正確性も高いはずです。できれば1ヶ月後の数字も知りたいところです。
さて、今回は前回掲載した「iCloudは汎用ストレージとして使えるか?」の続編として、iCloudを通じたMacとiOSデバイスの具体的な連携術を探ってみたい。
Finderを使い直接アクセス
前回、テキストエディットの「開く」ダイアログを使いiCloudを汎用ストレージとして使う技を紹介したが、同じ処理は他のDocuments in the Cloud対応アプリケーションでも可能だ。「開く」ダイアログへドラッグ&ドロップすることはできないが、FinderやTerminalを使いファイルをiCloud Storageのキャッシュ領域(~ / Library / Mobile Documents以下)へ書き込めば、常駐プロセスに検出されしだい、ファイルはiCloudへと転送される。
このキャッシュ領域には、「com~apple~Preview」や「com~apple~TextEdit」のように、デベロッパのドメイン名とアプリケーション名で構成されるフォルダが配置される。その下位にある「Documents」が同期対象一時保管用フォルダで、そこへファイルを直接書き込めば、iCloudへ自動的にアップロードされ、同じApple IDを持つ他のOS X/iOSデバイスと共有できるしくみだ。
だから、テキストエディットであれば、~ / Library / Mobile Documents / com~apple~TextEdit / Documentsのエイリアス(シンボリックリンクも可)をデスクトップあたりに用意しておけば、ドラッグ&ドロップでファイルをiCloudにアップロードできるようになる。プレビューも同じ要領で、~ / Library / Mobile Documents / com~apple~Preview / Documentsのエイリアスを作成すればOKだ。
無理矢理非対応ファイルを読ませると?
テキストエディットやプレビューは、前述した方法で他の(同じApple IDを持つ)Macとファイルを共有できるが、テキストエディットもプレビューもないiOSデバイスとは、この方法が使えない。しかし、KeynoteなどiWorkアプリケーションであれば、OS XとiOSの両方で同じファイルを扱えるはず。
そこで試したのが、適当なファイルの拡張子を「.key」に変更し、Keynote文書に偽装する方法。これがKeynoteで開けなくても、メールに添付して送信できさえすれば、メールに添付する可能性のあるクラウド上の文書保管所として利用できる、という目論見だ。
しかし、結果は×。文書一覧に表示されはしたものの、iOS版Keynoteは開けることが確認できた文書でなければ共有ボタンをタップできないため、メールへの添付などといったアクションを起こしようがないのだ。
最強のアプリは……
このように、OS XとiOSがiCloudを通じてファイル共有するには、どちらのOSにも対応した(共通のIDを持つ)アプリケーションであり、かつ扱うことができるファイル種の制約がない/緩いことが条件となる。だからiOS版が存在しないテキストエディットとプレビューは対象外で、ファイル種の制約が厳しいiWorkも除外される。
その条件を満たす数少ないアプリが「GoodReader for iPhone」だ。OS X版は存在しないが、ことファイル共有に関するかぎり、ライブラリフォルダ以下にある専用キャッシュ領域(~ / Library / Mobile Documents / JFJWWP64QD~com~goodiware~GoodReader / Documents)をFinderで開けば用は足りる。前述したとおり、デスクトップにエイリアスを作成しておけば十分だろう。
GoodReader for iPhoneはPDFビューアという位置づけのアプリだが、各種画像ファイルを表示できるほか、メールへのファイルの添付やZIPアーカイブの解凍など、高機能ファイルビューアとしての役割を備えている。OS XとiOSでシームレスにファイル共有できるApple純正アプリがない現状、Documents in the Cloudの利便性を存分に利用できる数少ないアプリだといえるだろう。