今年も残すところ2ヵ月、そろそろ師走の声も……となると気になるのが年末商戦。当然、Appleも新製品を出してくるものと予想されます。巷間いろいろ噂されていますが、真偽はまもなく明らかにされるはずです。続報をお待ちください。
さて、今回は「Preview」について。OS標準の画像ビューアとして認識しているユーザが多いと思われるが、アップデートを重ねるごとにPDF関連機能も強化されている。Snow Leopardでどこが強化されたのか、主要な変更点を見てみよう。
「Preview」を使う理由
OS X標準装備のアプリ (拡張子「.app」のもの) で利用頻度ランキングを測るとしたら、上位2位はFinderとDockで確定だとして、3位はユーザの趣味趣向そしてMacの用途により異なるはず。筆者の場合、読者の皆さんはTerminalを予想するところだろうが、残念、そうではない。
確かにTerminalの利用頻度は高いが、Carbon Emacs上でM-x shell
して用を足すことも多く、正直4位といったところ。WebブラウザはSafariとFirefoxを併用しているし、Mail.appもiPhoneの「メール」があるので、必要なとき起動する程度だ。
そう、筆者の利用頻度ランキング3位は「Preview」。PDFの閲覧こそAdobe Readerを併用するが、この仕事に欠かせないスクリーンショット (png) の加工、JPEGやTIFF、EPSなどといった画像フォーマットを一通りサポートするPreviewは、なくてはならない存在といえる。Mail.appとともに、NeXT時代からのよき同僚なのだ。
実はメジャーバージョンアップ
Snow LeopardのPreviewは、バージョン5.0。Leopardのものはv4.2であるため、歴としたメジャーバージョンアップといえる。
その理由は、後述する新機能もさりながら、設計の大幅な見直しが理由の1つ。otoolコマンドを利用し、実行ファイル部分がダイナミックリンクしているライブラリを調べたところ、QTKitベースへの変更 (これはQuickTime Xの利用に必要) や、vecLibの利用による処理性能向上が図られていることがうかがえた。
ところで、LeopardのPreview (v4.2) をSnow Leopardで起動しようとすると、アラートが表示され起動に失敗する。これはInfo.plistに記述されているバンドル形式のバージョンチェックによるもので、CFBundleVersionの値を501に変更すればチェックはスルーできるが、QuickLookUI.frameworkのリンクに失敗するためどのみちクラッシュしてしまう。v4.2のプレビューを敢えてSnow Leopardで使いたいというユーザは少数と思われるが、念のため。
「Preview」のココが変わった
注釈機能の強化
最大の変更点は、「注釈機能」だろう。ツールバー上の「注釈」ボタンをクリックすると、画面下部のステータスエリアに注釈ツールが表示され、矢印や楕円、矩形などの図形を書き込めるようになる。注釈ツール自体は以前から存在するが、選択できる線種の数が増え、色も指定しやすくなった。テキストボックスも、任意のフォントを好みの大きさで入力できる。
ポイントは、保存するまで書き込んだ注釈がレイヤーとして扱われること。編集中は、表示位置や文章の内容など、自由に手直しできるのだ。PNGやJPEGなどの図形イメージとして保存すると、再び開いたとき注釈機能で追加したオブジェクトは再編集不可となっているが、写真にコメントを書き込むときなどに便利に使えそうだ。
PDFはさらに便利。矢印も楕円も矩形も、テキスト情報を書き込んでおける「メモ」も、再編集が可能なのだ。早い話が、PDFで受け取った校正用文書 (いわゆる「ゲラ」) にアカ入れする作業を、Adobe Acrobatを使わずに、OS備え付けのアプリで実行できるようになる。以前は再編集できなかっただけに、長足の進歩といえるだろう。
カラー調整機能
ついに、Previewにもヒストグラム機能が搭載された。メニューバーから[ツール]→[カラーを調整...]を選択すると、iPhotoのカラー調整パネルを簡略化したようなパネルが現れ、色を調整できるのだ。実際、iPhotoにはあるノイズ除去や解像度などのスライダは省略されているが、写真のちょっとしたお色直しをするには十分。もちろん保存もできるので、レタッチソフトを使うほどではないレタッチに活用できそうだ。
コンタクトシート
意外に便利なのが「コンタクトシート」。複数のファイルを開いているとき、ウインドウ右下にある「コンタクトシート」ボタンをクリックすると、すべてのファイルをサムネイルで確認できるのだ。Previewが対応しているフォーマットであれば混在OK、たとえばPNGとJPEGとPDFが混在したコンタクトシートも表示できる。ウインドウにドラッグ&ドロップすれば追加できるなど、柔軟な使い方も可能なうれしい新機能だ。