ソフトバンクモバイルがiPhoneを取り扱うというニュースを耳にして、皆さんはどうお考えになりましたか? 私は、正直悩ましいですね。現在利用しているキャリアの割引プランが、最大の悩みどころでしょうか。まあ、どこもダメ、悩むシカ、という状況を脱したことは喜ぶべきなのでしょうが。

さて、今回は第277回に続き「デフラグ」について。Coriolis Systemsが開発 / 販売するデフラグツール「iDefrag」を利用し、Leopardの時代でもデフラグが有効かどうか検証してみよう。

唯一? のデフラグソフト「iDefrag」

現在OS X向けに販売されているデフラグソフトは、筆者が把握しているかぎりでは、Coriolis Systemsが開発する「iDefrag」のみ。Windows向けには、UltraDefragなどのオープンソースソフトウェアもあるようだが、HFS PlusをサポートするOS X版は存在しないようだ。

ちなみに、ネットジャパンから「iDefrag 2.0」という日本語ローカライズ版が販売されているが、こちらはLeopard未サポートと強調されている。開発元のCoriolis Systemのほうでは、なぜかバージョンは1.6.5と日本版より古いが、Webの紹介ページにはLeopardフルサポートと明記してあったため、こちらのオンラインショップからダウンロード購入した。ちなみに、価格は17.5ポンド (途中で居住地を日本に変更したところ、なぜか英ポンドでの決済に)。邦貨に換算すると約3,700円、それほど高価な買い物ではないように思う。

利用した「iDefrag 1.6.5」。日本語にも対応、ネットジャパン版との機能差はない模様

いざテスト開始

iDefragのインタフェースは、ツールバーとサイドバー、ウインドウの大半を占めるディスクレイアウト画面で構成される。サイドバーで対象のボリュームを選択し、ツールバーで最適化の方法を決めてから開始ボタンをクリックしてデフラグ実行、という流れが基本的なパターンだ。

テスト環境には、MacBook Pro 2.33GHz / RAM 2GB / 120GB HDD (うち約100GBをOS Xで使用) を選択した。システムは最新のOS X 10.5.3、対象のボリュームはジャーナル有効のHFS Plus、ディスク消費率は35%だ。なお、Webブラウジングやメール、執筆など"軽い"作業が中心のマシンであり、サイズの大きいムービーや画像ファイルは多くない。同スペックのマシンでも、購入後の使い方次第で断片化の傾向が異なることは、念のため確認しておきたい。

起動ボリュームは「クイック (オンライン)」しか選択できない

デフラグは、システム領域を含むボリューム (/dev/disk0s2) に対して行った。起動に使われるボリュームは、実行できるデフラグの処理が「クイック (オンライン)」に限定されるものの、外付けHDDにシステムをコピーしてそこから再起動といった手間がかからないため、取り組みやすいからだ。なお、iDefrag 1.6.5に用意されている最適化方法は5種類(表1)。この「クイック」で効果がなければ、他の方法を試す余地がでてくる。

表1: iDefrag 1.6.5の最適化方法

コンパクト すべてのファイルをボリューム先頭へ移す(デフラグは行わない)
メタデータ ボリュームメタデータおよびホットファイルクラスタリングシステムを最適化する
クイック アンマウントせず、通常のファイルのみ再配置を行う
カスタム 選択したクラスセットに従いファイルの再配置を行う
すべて最適化 「メタデータ」と「カスタム」を併用して最適化を行う

デフラグの効果は?

「クイック」を選択してデフラグを開始、そして待つこと3時間42分。大量のファイルコピーを伴うため、これだけの時間がかかることはやむをえない。

デフラグ実行前後の変化だが、実行前の断片化率がファイルは0.1% / 0.1%、データフォークが0.1% / 0.2%、リソースフォークが0.7% / 1.4%だったところが、実行後にはすべて0.0%となった。この結果からすると、デフラグ不要論は概ね正しく、おそらくはパフォーマンスに大きく影響しない0.1%程度の断片化率を気にするかどうか、ということになる。一方、メタデータなどで構成される「カタログ」 (HFS Plusのファイル管理に参照される) の断片化率は42.1%と高率で、こちらは影響なしとは考えにくい。

通常のファイルのみ再配置する「クイック」の実行前(左)と実行後(右)

iDefragを試す動機となったMacBook Proの起動速度低下だが、デフラグ実行前のブートに要した時間 -- ATOK 2007やOffice 2008 for Mac付属の「MyDay」といったログイン後に自動実行されるアプリケーションが起動し終えるまでの時間 -- は2分28秒56、デフラグ実行後には2分14秒34と若干改善された。しかし、MacBook Proを使い始めた頃に比べ遅いことは明らかで、これでは「効果あり」とは断言しにくい。

というわけで、生煮え気味の結論になるが、せっかく時間をかけてデフラグするなら異なるシステムディスクから起動し、メタデータなども再配置の対象とする「すべて最適化」を選択したほうがよさそう。こちらの結果については、近いうちにご報告したいと思う。