9月も終わろうとしていますが、注文したiPod touchはいまだ届かず…… Apple Storeからは、出荷予定日となる9月28日までに海外工場から出荷させていただくこととなりました、というメールが届きましたが、少々肩すかしを食った気分です。ともあれ、来月はLeopardもリリースされるでしょうし、目白押しの1カ月になりそうですね。

さて、今回は「PDF編集 / 加工ツール」について。以前も同じテーマを取り上げたことがあったが、1年という時間を経て状況も変化した。それでは早速、Preview.appではもの足りないという諸兄のために、OS X用PDF編集/加工ツールを紹介してみよう。

付箋の貼り付けもOKな「Skim」

最初に紹介する「Skim」は、Adobe Acrobat類似の機能を備えたPDF編集ソフト。テキストに取消線や下線を引く、余白に付箋(ノート)を貼り付ける、箱や円を描くなど、PDF文書校正ツールとして十分に活用できる。BSDライセンス準拠のオープンソースソフトウェアであり、無償で利用できることも利点の1つだ。

付箋やテキストボックスを加えたり、テキストにマーカーや下線を引くこともOK

ただし、いくつかの制限がある。実装にはPDFの仕様を超えた部分があるようで、文書に付箋や下線を追記しても、Skim以外のPDFビューアでは表示されない。Adobe Reader / Acrobat、Previewで開くと、追記前のまっさらなPDFとして表示されてしまうのだ。フリーウェアとはいえ、PDFをやり取りする相手方にもSkimの使用を強いるという点では不便といわざるを得ない。

なお、追記を行ったPDFを非Skimユーザへ渡す場合には、[PDF With Embedded Notes]フォーマットでエクスポートするという手がある。付箋は展開されずただの図形と化してしまうため使用できないが、Text Noteや各種図形は表示できる。この点さえ納得できれば、利用価値は高いはずだ。

他のPDFビューアで閲覧するときには、[PDF With Embedded Notes]を指定して保存すること

PDFを管理するなら「BibDesk」

PDFが一定の数を超えると、その管理に戸惑うようになるはず。どこに目的の記事があるのか、調べることが難しくなるのだ。OS XにはSpotlightという強い味方もあるが、こと日本語文字列の全文検索に関しては高精度とは言い難い。

そこで利用したいのが、フリーウェアの「BibDesk」。本来はBibTeX(TeX / LaTeXとともに使う文献目録作成ツール)に対応した文献管理ソフトウェアで、Web of Scienceなどの学術文献データベースから文献を探すなどの学術利用を前提にデザインされているが、PDF管理ツールとしても利用できる。

このようにドシドシ追加していけばOK

PDF管理ツールとしての基本的な使い方だが、PDFをBibDeskのウインドウへドラッグ & ドロップして登録、ツールバーの検索バーへキーワードを入力すればOK。デフォルトでは「Any Field」が設定されているため、PDFの「文書のプロパティ」に表示される情報が検索対象となるが、「File Content」を選択すれば、全文検索が可能となる。Spotlightの検索機能とは異なり、キーワードに一致する度合いが棒グラフとして表示(ヘルプビューアで検索したときの「ランク」と同じ)されるため、ある程度の曖昧検索も許される。もちろん日本語もOKだ。

キーワードに一致した度合いが棒グラフとして表示される

ところで、文献情報をBibTeXフォーマットとして書き出せるアプリケーションは、BibDeskのほかにも「iPapers」や「pKizzy」などがある。大半がフリーウェアとして配布されているので、自分の目的にあうものを選ぶといいだろう。

ただ閲覧するなら「PDFView」

ここに紹介する「PDFView」は、編集機能もなければ管理機能もないシンプルな造りだが、なかなかどうして、便利に使えるのだ。

PDFViewでは、PDFを画面いっぱいに表示することがデフォルトだ。フルスクリーンもウインドウ表示も可能だが、起動即大画面で引出しなど余分な要素は表示されない。起動も高速、小気味いい操作性が身上のPDFビューアなのだ。

LaTeXのプレビューアとしての用途も考えられており、環境設定パネルの[書類を自動再読み込み]をチェックすれば、dvipdfmxでDVI→PDFに変換したときも、PDFを開き直す必要がない。既存PDFビューアのモタつき加減には我慢ならぬ、というユーザにはぜひお勧めしたいソフトだ。

"TeXニシャン"御用達のPDFプレビューア? 「PDFView」