iPod touch」が発表されました! 日本では発売の見込みすら立たないiPhoneにやきもきしていた身には、十二分に魅力的なデバイスであります。未確認ですが、Safariを収録していることからも、OS Xベースのシステムを搭載している可能性は大。ひょっとすると、iPhoneのように"勝手アプリ"が出てくるかも……入手次第、なんらかの形で詳細をお伝えします。

さて、今回は「Cover Flow」について。iTunesおよびiPhoneに採用のユーザインタフェースで、"ジャケット写真をパラパラめくる"表示効果はいまさら説明する必要もないはず。しかし、すでにApple TVや.MacのWebギャラリー(回転トレイ)に採用され、LeopardのFinderでもCover Flow対応が確定していることをあわせると、一過性のものではなくApple製品共通のインタフェースに変化しつつあると考えたほうがよさそう。というわけで、来るべき"Cover Flow時代"に備えるべく、手始めにiTunesライブラリの整理について検討してみたい。

Cover Flowを整理する

iTunesライブラリに蓄えられるCover Flow用画像データについて語る前に、Cover Flowという技術について整理してみたい。

Apple買収以前のCover Flow(v1.2RC)。iTunesとは別のアプリケーションとして動作する

Cover Flowの来歴だが、純粋なApple生まれの技術ではなく、Steel SkiesなるWebサイトを運営する外部開発者から買収したもの。フリーウェアとして公開されていた買収以前のCover Flowは、iTunesから自動的にアートワークを読み込むまでは現在と共通だが、iTunesとは別のアプリケーションとして動作し、iTunes Storeからアートワークを自動ダウンロードする機能や、フルスクリーンで表示する機能は実装されていなかった。あくまで推測だが、買収後はAppleの手によりスクラッチに近い状態から書き起こされていると考えるのが妥当だろう。

それを裏付ける証拠ともいえるものが、今秋リリース予定の「Leopard」に収録されているFinder。こちらのギャラリーからもわかるように、Cover Flowの機能がFinderに融合されている。Cover Flowの機能はLeopardの新しいフレームワーク「Core Animation」に収録されるので、今後Cover Flowのコモディティ化が進むことは間違いなさそうだ。

アートワークとうまく付き合う

OS Xで使えるCover Flowの機能は、現在のところiTunesに限定される。iTunes Storeから自動的にアートワークがダウンロードされるなど、シームレスなiTunesとの統合が実現されているため、設定が必要になる場面は少ない。

とはいえ、世界中のiTunes Storeで取り扱いがない楽曲、同名異曲 / 似たタイトルの楽曲を含むアルバムでは、手動でアートワークをダウンロードしなければならないことも。自動ダウンロードされたアートワークと手動で設定したアートワークでは、保存場所が異なるなど挙動にも違いがある(詳しくは当コラム第197回をご参照)。アートワークあってこそのCover Flowであることを考えると、両方式の違いは重要だ。

このように曲を選択した状態でスクリプトを実行するだけで、アートワークを一括して埋め込むことができる

あえてどちらを選ぶかと尋ねられれば、個人的には手動設定をお勧めしたい。自動ダウンロードでアートワークを取得した場合は、画像ファイル(*.itc)は同じアルバムで共有されるため、ディスクスペースを節約できるが、ネットワーク上で共有したサウンドライブラリを聴くときには表示されないという欠点があるからだ。

そこで利用したいのが、フリーで公開されているApple Script「Embed Artwork」。アートワークを自動ダウンロード済みの楽曲を選択し(複数選択可)、Script→Embed Artworkを選択するだけでOK。画像が楽曲ファイル1つ1つに埋め込まれるぶんライブラリ全体のファイルサイズは増すものの、自動ダウンロード機能の便利さを享受しつつサウンドライブラリ共有時にもアートワークを鑑賞できる。一度お試しあれ。