Mac OS Xは真のUNIXか? という議論があるかどうかはさておき、公式には一応の結論を得ました。現在UNIXの商標権を持つOpen Groupが、LeopardをUNIXとして正式に承認したからです。これで胸を張ってUNIXを名乗れる……って、べつにコソコソしていたわけではないでしょうが。
さて、今回はベータ版が公開されたばかりの「Remote Desktop Connection Client」(以下、RDC for Mac)について。OS XでWindowsアプリを使うとなると、ついBootCamp(デュアルブート)や仮想化ソフトを考えてしまうが、このRDC for Macでも同等の作業ができる。先日次期バージョンのベータ版がリリースされたので、ショートレビューがてら紹介しようという次第だ。
RDC for Macを使うメリット
RDC for Macは、Windows備え付けの機能「リモートデスクトップ」のクライアントソフト。この機能はサーバ / クライアント方式で実現され、デスクトップを表示される側がサーバ、デスクトップを操作する側がクライアントだ。今回紹介するRDC for Macは、早い話が"ネットワーク経由で飛ばしたWindowsのデスクトップを表示する"ためのアプリケーションなのだ。
このリモートデスクトップ、サーバ機能はすべてのWindowsに搭載されているわけではない。Windows XP ProfessionalやWindows Vista Business / Enterprise / Ultimateなど、高機能なエディションに限られ、XP Home EditionやVista Home Basic / Home Premiumには搭載されない。もちろん、ネットワークで接続されていることが前提だ。
WindowsはBootCampや仮想化ソフトがあるからいいや……と思うかもしれないが、BootCampのように再起動する必要がなく、システムへの負荷は仮想化ソフトより格段に低く、稼働中のWindowsを利用できるのでインストールの手間がない。テキストのカット & ペーストや、OS X側のボリュームをWindows側でマウントするなど、データのやり取りにも使える。すでにWindowsマシンを所有している場合には、新たな出費なしにOS XからWindowsの機能を利用できる。ちょっとWindowsを使いたい、という用途には最適と言っていいだろう。
なかなか使えますよ
今回試用したRDC for Macだが、ユニバーサルバイナリ化されたことで、Intel Macでも軽快な動作が可能になった。デスクトップ共有に使われるプロトコルもバージョンアップされ、安定性とパフォーマンスが向上したという。なお、テスト環境としてサーバにはWindows XP Professional、クライアントには初代MacBook 1.83GHz、ネットワークには100BASE-TXを利用した。
肝心の体感速度は、まずまずといったところ。スタートメニューを表示するとき一瞬"テロッ"とするなど、実機を直接操作しているときほどの俊敏さは期待できないが、表計算や文書作成作業のように高い描画性能を必要としないアプリケーションでは気にならない。Windowsアプリケーションの負荷はサーバ側にかかるため、重い処理を行ってもOS X側に直接影響しないことがポイントともいえる。
OS Xとの親和性はなかなか高い。デフォルトで[Command]+[C] および[V]キーを使ったコピー & ペーストや、トラックパッドを2本の指で操作するスクロールパッドの技も使える。キーアサインがOS Xと異なるのが難点だが、それを除けば、あまり違和感なくWindowsの機能を利用できる。カスタマイズも可能だ。
新しく追加された印刷機能だが、あまりにあっけなく利用できた。デフォルトのプリンタとして、OS X側のデフォルトのプリンタ(非PSプリンタでもOK)が登録されているので、ドライバの用意などなしにに印刷を実行できる。OS XのボリュームをWindows側でマウントする機能も、動作が安定しない旨の警告が出されるが、特に不具合に出会うことなく利用できている。
最後になってしまったが、このRDC for Macベータ版を使うときは、メニューからHelp→Read Meを選択すると表示される文書に目を通してほしい。VistaのAero Glassなどの表示効果に対応しないこと、コピー & ペーストが可能な文字種の制限、OS Xのボリュームをマウントする際の注意点などなど、重要な情報が記載されている。助けになることもあるはずだ。