Leopardが10月に延期されてしまい、こりゃあ困ったなあ、と。新鮮なネタがないことには、こちとら商売あがったりですよ。こうなりゃ、Apple TVをイジり倒すしかない?
さて、今回は「Amiga」について。コンピュータ歴数年の若人にはピンとこないかもしれないが、ウゴウゴルーガを生で見た世代には懐かしい存在のはず。これからPowerPCへの移行が本格化するというこの生ける化石を、OS X用Amigaエミュレータ「E-UAE」とともに語らせていただこう。
Amigaのココがスゴい
筆者がいまだにAmigaを追い続けている理由は、そのシーラカンス的側面にある。Macを含む現在のPC全般は、世間一般に溶け込むとともに"マトモ"になってしまったが、昔日の姿のまま現在を生きるAmigaは怪しさ満点。なんだそりゃ、としかいいようがない事物で満ち満ちている。
古い話では「フロッピーミュージック」。FDにサウンドファイルでも入れるのか、と考えたあなたはAmigaを知らなすぎ。Amigaでは、FDDをガタガタいわせて音楽を奏でることができるのだ。名曲「コンドルは飛んで行く」があらぬ場所から聞こえてくる様は、Amigaユーザの語り草になっている。
節操のない周辺機器も特徴といえる。MacやPCで"増設用FDD"といえば、接続方式は決め打ちされていることがほとんどだが、Amiga用増設FDDドライブ「CatWeasel MK3 / MK4」は懐が広い。接続はPCIバスで……と思いきや、Amiga独自の拡張バスZorro IIにも接続可能、大型デスクトップ機のAmiga A4000ではIDEに、卓上型デスクトップ機Amiga A1200ではクロックポートに、とまさに変幻自在。PCI接続のときには、Amiga用キーボードやジョイスティックを接続でき、さらにはCommodore 64用SIDチップ(音源モジュール)も搭載可能と、増設FDDの域を超越している。対応するFDフォーマットも桁違い、MacやPCは言うに及ばず、Apple IIeやAtari、果てはファミコンまでサポートするという。
今後発売予定の周辺機器にも期待できる。ポーランドのElbox Computerから発売予定のアクセラレータ「Dragon 1200」は、266MHzで動作するColdFire MCF5475を搭載、最大1GBのメモリとAGP×1とPCI×5の拡張バスをA1200に追加する。RadeonなどのAGPグラフィックカードや、SATAカードもサポートされるとのことなので、1992年に発売開始されたA1200のさらなる延命が可能になる。問題があるとすれば、発表から2年以上経過した現在も製品が出荷されないことだ。
OSのほうも混然とした状態で、MorphOSやAROSといったAmiga OS互換機能を備えるOSが、長い混迷状態の間に登場している。本家Amiga OSはといえば、PowerPCネイティブ化されたAmiga OS 4.0を数年かけて開発、昨年末ようやくリリースにこぎ着けたが、今度は動作する(生産中の)ハードウェアがないという始末。先日の新Amiga登場という知らせは、久々の吉報だ。
Intel MacでE-UAEをビルドする
新Amigaでは(おそらく)旧Amigaの資産をエミュレーションという手法で継承するため、エミュレータが不可欠。Amigaエミュレータにはいろいろあるが、現在の開発主体はUAEとWinUAEにほぼ収束されている。
ここに紹介するE-UAEは、コードベースにWinUAEを採用したAmigaエミュレータ。OS XやLinux、Amiga OS 4.0で動作し、Amigaの歴代チップセット(OCS / ECS / AGA)をサポートするなど高い互換性を持つ。Intel Macなど最新の機種で実行する場合、パフォーマンスはAmiga実機を余裕で超えるので、メガデモのような高負荷のアプリケーションもバッチリ。OS Xで動作させる場合には、Quartz Extremeを利用した高速な描画が可能になるというオマケ付きだ。
Intel MacでのE-UAEのインストール方法は以下のとおり。開発環境一式のほかにマルチメディアライブラリ「SDL」必要となるので、あらかじめこちらから入手し、/Library/Frameworksにインストールしておくこと。なお、AmigaのROMイメージ(KICKSTART ROM)はAmiga実機から取得するか、Amiga Foreverに収録されたものを使うしかないので注意してほしい。
$ cd e-uae-0.8.29-WIP4
$ ./configure --with-cocoa-gui --enable-jit \\
--with-sdl-sound --with-sdl --with-sdl-gl \\
--with-sdl-gfx --without-x --disable-x11
$ make
$ sudo make install
$ cp -r src/E-UAE.app /Applications/
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