ネットショッピングでクレジットカードを使うのは、セキュリティが不安という人も少なからずいるのではないだろうか。個人情報の流出は大手サイトでもたびたび起きており、結論から言ってしまえば、ネットショッピングでクレジットカード情報を入力している限り、不正利用される可能性がゼロになることはない。ただし、こうしたケースでカードが悪用された場合、当然ながら被害額は補償されるので、過度に心配する必要はないだろう。

それでもカードは再発行となるため、新しいカードが届くまで一時的に使えなかったり、固定費の支払いに使っている場合は登録を変更する必要があったり、なにかと不便を強いられることは間違いない。こうした事態を避けるのに有効なのが、ネット決済用に別番号を発行できるカードを使うことだ。

エポスカード

「エポスカード」には「エポスバーチャルカード」のサービスがあり、本カードとは別にネット決済専用のカード番号が発行できる。バーチャルカードは会員サイトから利用可能額を自由に変更でき、使わないときは0円にしておけば悪用される心配もなし。番号の再発行も1日1回までできるため、定期的に番号を変えておけば、変更前に使ったショップから個人情報が流出しても、不正利用の被害に遭うことはない。

エポスバーチャルカードの照会・中止登録画面

ネットショッピングでの支払いには、すべてバーチャルカードを使っていれば、ショップから本カードの情報が漏れる可能性はゼロ。万が一バーチャルカードが不正利用されても、本カードを再発行する必要はなく、本カード同様の補償も受けられる。ただし、バーチャルカードは月々の公共料金など一部の支払いには利用できないため、こうしたものに対しては本カードを使う必要がある。

このほかにも「エポスカード」には、海外利用の停止・再開設定ができるサービス、カード利用時に即座にメールが届く「カード利用通知サービス」(1,000円未満の支払いなど一部非対応)、会員サイト「エポスNet」にログインがあるとメール通知を受けられるサービスなどが利用可能。クレジットカード利用につきまとう各種の不安を解消するための機能が充実している。

また、別途「エポスVisaプリペイドカード」を発行すれば、本カードからチャージ、またはカード利用で貯まったポイントを交換して、実店舗やネット上のVisa加盟店で支払いに使うことも可能だ。こちらも利用を一時停止・再開できる機能があるため、使わないときはロックしておけば安心。チャージ上限は10万円で、高額商品の購入などには使えないが、バーチャルカードと併用すれば、ほとんど本カードを使わずに日々の支払いをカバーすることができるだろう。

エポスVisaプリペイドカード

「エポスカード」は年会費無料。同様の機能は上位カードの「エポスゴールドカード」、「エポスプラチナカード」、様々な企業と提携したコラボレーションカードでも利用可能だ。

JNB Visaデビット

「JNB Visaデビット」はジャパンネット銀行のキャッシュカード機能付きデビットカードで、本カードとは別にネット決済用のカード番号を4つまで保有できる「JNBカードレスVisaデビット」のサービスが利用できる。カードレス番号は1日5回まで発行でき (新規発行と変更回数の合計)、番号ごとに利用停止・再開の設定をすることも可能。デビットカードのため、利用額は口座から即時引き落とされ、同時にメール通知も届く。

「JNB Visaデビット」のカード番号照会・変更画面

口座残高以上の買物はできないが、1日あたりの利用限度額は1万円単位で最大500万円まで設定可能。公共料金など月々の支払いにも対応しているので、たとえば公共料金の支払い用と普段のネットショッピング用でカード番号を分けておけば、もしネットショッピング用の番号が流出して使えなくなっても、いちいち公共料金用のカード番号を変更しないで済む。いつも買物をするサイトと初めて買物をするサイトで番号を分けるといった使い方もアリだろう。

「JNB Visaデビット」は年会費無料で、利用にはジャパンネット銀行の口座が必要。クレジットカードとは異なり与信審査はなく、15歳以上であれば誰でも申し込める。「ファミマTカード」機能付きで、利用に応じてTポイントが貯まるタイプも発行されている。

JNB Visaデビットカード(ファミマTカード)

最近は利用の一時停止・再開が設定できるプリペイドカードも数多く発行されているが、チャージの手間が必要だったり、気軽に番号を再発行できなかったり、前述の2枚に比べると利便性は見劣りする。また、プリペイドカードの多くはロック機能がある代わりに、不正利用に対して補償を受けられないことが多いので、適切な管理が大切となる。こうした点も踏まえて、ネットショッピングで利用するカードを選んでほしい。

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。