4月からの新生活で、モバイルSuicaを使って交通機関への乗車を考えている人もいるのではないだろうか。現在、モバイルSuicaには、おサイフケータイ機能付きの端末を使う方法と、Apple Pay対応の端末を使う方法の2種類がある。どちらもクレジットカードでチャージや定期券の購入が可能だが、おサイフケータイとApple Payでは使うべきカードが異なってくる。
まず、おサイフケータイでモバイルSuicaを利用する場合、クレジットカードの登録が必須となる。しかし、ビューカードが発行または提携するクレジットカード以外を登録すると、1,030円の年会費が必要になるため、実質的な選択肢は限られる。特にビューカード発行のクレジットカードは、Suicaへのチャージに対して1.5%の高還元(詳しくは後述)を得られるので、これを本命に考えるのが無難だ。
一方、Apple PayでモバイルSuicaを利用する場合は、どのクレジットカードを登録しても年会費無料。クレジットカードからのチャージは、Walletアプリで行う方法とSuicaアプリで行う方法の2種類があり、Walletアプリでは対応カードしか利用できないが、Suicaアプリであれば国内で発行されたすべてのクレジットカードが利用できる。そのため、Apple PayでのモバイルSuica利用を第一の目的とするなら、必ずしもApple Pay対応カードでなくても問題ない。
ただし、ひとつ気を付けたいのは、モバイルSuicaでの利用分に対しては、ポイント対象外としているカードも少なくないこと。ここではモバイルSuica利用がポイント対象、かつ高還元なカードを2回に分けて紹介する。
■ビックカメラSuicaカード
ビューカードが発行するクレジットカードは、モバイルSuica利用を含むJR東日本の「VIEWプラス」対象商品を購入した場合に、ビューサンクスポイントが1,000円につき6ポイント(=15円相当)貯まり、1.5%の高還元を得られることが特徴のひとつ。そのなかでも「ビックカメラSuicaカード」は初年度年会費無料で、年1回以上利用すると次年度の年会費515円も無料となる。
通常利用時は2種類のポイントが同時に貯まるカードで、毎月のショッピング利用合計額に対し、ビューサンクスポイントが1,000円につき2ポイント(=5円相当) 、ビックポイントが200円につき1ポイント(=1円相当)。合計で1%還元となる。JR東日本利用時はビューサンクスポイントのみが貯まり、前述した「VIEWプラス」対象商品購入時は1.5%還元。ビックカメラおよびコジマで利用した際は、ビックポイントのみが貯まり、現金払い時と同じポイント率になる。ビューサンクスポイントはSuicaへのチャージに利用できるほか、ビックポイントへの交換、各種商品券やクーポン券、Suicaのペンギングッズや鉄道グッズなどにも交換可能だ。
国際ブランドはVisaとJCBから選べるが、VisaはApple Payのオンライン決済には非対応のため、Apple PayのモバイルSuicaにチャージする際は、Suicaアプリから行うことになる。ちなみに両方のブランドを持つこともできる(別々に申し込みが必要)。
なお、Suicaのオートチャージ機能が利用できるのは、ビューカードが発行または提携するカードのみ。また、ビューカード発行のカードは「Web明細ポイントサービス」に登録して明細書の郵送を止めると、毎月Web明細の発行があるたびに20ポイント(50円相当)のビューサンクスポイントが貯まるため、これだけでも年間最大600円相当を貯めることができる。
■REX CARD Lite
ジャックスが発行する「REX CARD Lite」は、カカクコムと提携したカードで、年会費無料。毎月のショッピング利用合計額に対し、2,000円につき25ポイントが貯まる。ポイントはカード利用代金に充当できる「Jデポ」と交換でき、2,500ポイント=2,500円分となるため、還元率は1.25%となる。
国際ブランドはVisaのみの発行で、Apple PayのモバイルSuicaにチャージする際は、Suicaアプリの利用が必須。モバイルSuica利用時の還元率はビューカードには及ばないが、基本1.25%の還元率は、年会費完全無料のカードのなかでは最高レベルだ。なお、楽天Edyやnanacoへのチャージはポイント付与対象外だが、Apple PayのQUICPayを使った支払いはポイント付与対象となる。
■リクルートカード
「リクルートカード」は年会費無料。毎月のショッピング利用合計額に対し、1.2%のリクルートポイントが貯まる。リクルートポイントは1ポイント単位でPontaポイントに即時交換ができ、提携店での利用やJALのマイルなどへの交換が可能。アプリ「ショプリエ」を使えば、約70ブランドの商品券やポイントにも交換できる。
国際ブランドはMastercard、Visa、JCBの3種類から選べるが、VisaはApple Payのオンライン決済に非対応で、JCBはApple Pay自体に非対応。どちらもSuicaアプリを使えば、Apple PayのモバイルSuicaにはチャージできるが、Apple Payを最大限に活用するならMastercardを選んだほうがいいだろう。なお、MastercardとVisaは楽天Edyとnanacoへのチャージもポイント付与対象で、Apple PayのQUICPayも利用可能。JCBもnanacoへのチャージはポイント付与対象で、専用カードまたはおサイフケータイでQUICPayも利用できる。
今回は年会費無料または実質無料の3枚を紹介したが、年間利用額によっては、さらに高還元を得られるカードもある。詳しくは次回の記事で紹介する。
(※クレジットカードの用語などは以下を参照)
『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』
※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>
タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。