毎年恒例となっているクレジットカード本の制作を今年も終え、3月8日に『最強クレジットカードガイド2017』(角川SSCムック)が発売される予定なので、見どころと裏話を紹介させていただこうと思う。
Apple Pay登場で激変
この1年はクレジットカード自体にはあまり大きな動きはなかったものの、その周辺サービスには大きな変化が相次いだ。その最たるものは、昨秋にApple Payが登場したこと。iPhone 7など対応デバイスでSuicaが使えるようになり、Apple Payに追加したクレジットカードで、QUICPayまたはiD加盟店での支払いができるようになった。
これにより、いままでモバイルSuicaの利用を諦めていたiPhoneユーザーはもちろん、おサイフケータイでモバイルSuicaを使っていた人も、Apple Payに乗り換えることで、紐付けるクレジットカードの選択肢が大幅に増すことになった。これはQUICPay、iDにおいても同様だが、Apple Pay、おサイフケータイ、そして従来のカード型でも、それぞれに異なる特徴があるので、詳しくは誌面を確認してほしい。
なお、3月1日よりApple Pay対応のカード会社が新たに7社追加されたため、誌面では非対応としたジャックス、ライフカード、エポスカードなど、いくつかの会社が発行するカードもApple Payに追加できるようになっている。誌面の内容は2017年2月時点のものとなっているのでご了承いただきたい。
このほかにもスマートフォンと連動した決済には、大きな変化が起きている。そのひとつが昨年3月に登場した「LINE Pay カード」。LINEユーザーのみが利用できるJCBプリペイドカードだが、1%のポイントが貯まれば高還元と呼ばれるクレジットカードの世界において、驚異の常時2%還元を実現。使い方次第では3%還元も可能で、いま最強の名をほしいままにしている1枚だ。
さらにはスマートフォンで決済を行う「Origami Pay」や「楽天ペイ」、カードの利用明細をスマホで管理できるうえにポイントも貯まる「CRECO」など、クレジットカードとスマートフォンを連動させるサービスが存在感を増している。この傾向はますます加速していくと思われるので、乗り遅れないように、いまのうちからチェックしておいてほしい。
ポイント共通化が着々と進行
もうひとつの大きな流れは、ポイント共通化が着々と進行していること。Tポイント、Pontaポイント、楽天スーパーポイント、dポイントの4大共通ポイントについてはもちろんだが、2016年にスタートしたJR東日本の「JRE POINT」、阪急阪神グループの「Sポイント」、イオングループの「WAON POINT」の概要についても解説した。さらに、少しだけだが今年7月にスタートするJR九州の「JRキューポ」についても触れさせていただいた。このほかにも、いま貯めるべき"優良なポイント"について特集しているので、どのポイントを貯めたらいいかわからないという人は、ぜひ参考にしてほしい。
スマートフォンやポイントについての話が先行してしまったが、肝心のクレジットカードもまったく変化がないわけではない。特に近年活況を呈しているゴールドカードやプラチナカードについては、例年よりも多くのページを割いた。ゴールドであれば空港だけでなく、街ナカのラウンジが利用できるもの、プラチナは新たに登場した年会費2万円前後のコスパにすぐれたカードを中心に、マイルもグングン貯まる航空系カードについても厚めに紹介した。
また、巻頭を飾る高還元カードの特集も、一部カードは特性に合わせて年間利用額と還元率の相関グラフを入れるなど、より詳細な説明を試みた。Amazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピングの3大サイトの攻略法を中心に解説したネットショッピングの特集も、基本的な内容こそ昨年と同じだが、掲載するカードは最新の状況を踏まえてアップデートを加えてある。
航空マイルの特集では、前述の「LINE Pay カード」を使った貯め方や、近年続々と登場している地方エアラインのカードも解説。家電量販店、スーパーマーケット、百貨店&ショッピングセンター、旅行、カーライフの各ジャンル別にチョイスしたおトクなカードの紹介は、より実用的な情報になるようにブラッシュアップした。ビジネスカードのページでは、審査落ちの心配がいらないデビットカードをフィーチャーした。
今回も200枚以上のカードを紹介しているが、以下は昨年とまったく同じことを書かせていただく。このシリーズでは、できるだけ多くの選択肢を提供することをテーマとしているが、なぜなら最強のカードとは使う人、使う場所次第で変わるからだ。ネット通販をたくさんする人と、百貨店をよく利用する人では、当然最適なカードは違ってくる。複数のカードを持ち、その場面場面で最も還元率の高いカードで支払うことが理想だが、そこには年会費、年間利用額、ポイントの使い道など、さまざまな要因も絡んでくるため、持つべきカードの組み合わせは人の数だけ正解があるのだ。
それにポイント還元だけが正解というわけでもない。本の中では空港ラウンジが使えるゴールドカード、コンシェルジュデスクが使えるプラチナカード、アニメやタレントとコラボしたカード、野球・サッカー・ゴルフと関連したカードなども紹介している。個人的にはデザインが好きという理由だけでカードを選んでも何ら問題はないと思う。
年度末や年度始めは入会キャンペーンも多い時期。今年はそれに加えて、Apple Pay関連のキャンペーンも豊富に行われている。このタイミングを逃さず、自分のスタイルに合ったカードを見つけてほしい。
(※クレジットカードの用語などは以下を参照)
『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』
※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>
タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。