クレジットカードのなかには、年間利用額に応じてボーナスポイントがもらえたり、次年度のポイント還元率がアップしたりするものもある。「年間」の集計期間はカードによって異なるが、1月から12月までを集計期間とするカードであれば、この時期は追い込みをかけたいところ。今回は目標とする年間利用額に、あと一歩足りないときに役立つ方法を紹介したいと思う。
年間利用額を稼ぐといっても、基本的には先々に使う予定のお金を前倒しで払うだけで、いわば支出の前借りだ。その代表的な方法は、消耗品や賞味期限の長い食料品を先取りして買うことだが、これは自宅のスペースなどが関わってくるので、どうしても限界がある。そこで便利なのが、プリペイドカードや電子マネーへのチャージ。特に国際ブランド付きのプリペイドカードは、クレジットカードとほぼ同様に使えるため、多めにチャージしておいても使い道に困ることは少ないだろう。
ただし、国際ブランド付きプリペイドカードのほとんどは、クレジットカードからはチャージできなかったり、特定の会社が発行するクレジットカード以外でのチャージには手数料がかかったりする。また、手数料がかからなくても、年間利用額の計算対象外となる場合もある。そうした制限を比較的避けられるのが「ちょコムeマネー」、「WebMoney Card」、「au WALLET プリペイドカード」の3つだ。
■ちょコムeマネー
「ちょコムeマネー」は約3,000のネットショップで使える電子マネーで、Visa、Mastercard、JCBのクレジットカードであれば、発行会社を問わずチャージが可能。「MasterCardねっと」のサービスと紐付けると、クレジットカード番号が発行され、Mastercard加盟店でも利用できるようになる(カード自体は発行されないのでネット上のみ利用可)。カード番号の有効期限は6カ月だが、チャージした金額自体は最後のちょコムeマネーの増減から3年6カ月間有効だ。
クレジットカードでのチャージは、月30万円まで可能。ただし、クレジットカード情報を初めて登録した場合や、カードを変更した場合は、2カ月間は月1万円までとなるので、早めに準備しておこう。なお、「MasterCardねっと」でカード番号を発行するには、95円の手数料が必要だが、ちょコムポイントの還元で実質無料になるキャンペーンが頻繁に実施されている。
■WebMoney Card
「WebMoney Card」はWebMoneyとMastercardの両方の機能を持つプリペイドカード。クレジットカードからのチャージは、すべてのMastercardから可能で、クレディセゾンやトヨタファイナンスなど一部の会社が発行するVisaやJCBにも対応している。チャージの上限は10万円まで。カードは発行から5年間有効で、更新も可能。なお、WebMoneyとして利用した際は、月間1,000円利用につき5円分が還元される。
■au WALLET プリペイドカード
auユーザーが利用できる「au WALLET プリペイドカード」も、「WebMoney Card」とほぼ同じ。Mastercardブランドであれば発行会社を問わずクレジットカードでのチャージ可能で、クレディセゾンやトヨタファイナンスなど一部の会社が発行するVisaやJCBにも対応している。また、auかんたん決済を使えば、間接的にイオンカードやセディナカードなどのVisaやJCBでもチャージできる。最大の違いは、利用時にWALLET ポイントが貯まること(モバイルSuicaやWebMoneyとしての利用時は対象外)。200円につき1ポイントが貯まり、「ポイントアップ店」で利用した際は、ポイントの上乗せもある。
■Amazonギフト券
このほかにも、各種電子マネー、カフェやファストフード店などが発行するプリペイドカードでも、クレジットカードからチャージできるものはいくつかあるが、使い勝手のよさで重宝するのはAmazonギフト券。サイトでの注文なら、国際ブランドを問わずクレジットカードで購入でき、デジタルタイプは15円から50万円まで1円単位で金額を自由に設定できる。
Amazonギフト券の有効期限は購入から1年。デジタルタイプにはEメールタイプ、チャージタイプ、印刷タイプの3種類があるが、チャージタイプは自分のアカウントにしか使えないので、使い切れる自信がない場合は、他人に譲れるようにEメールタイプか印刷タイプを選んでおくといいだろう。
■100%バック商品
支出の前借りではなく、純粋に利用額を上積みさせられる方法が、ポイントモールで100%バックの商品を買うこと。ポイントモールとは、ネットショッピングなどの際に経由すると、ポイントを貯められるサイトのことだが、ときおり購入額と同等のポイントが還元される商品が販売されることがある。主にサプリや健康食品の初回購入で100%バックとなる場合が多く、実質1円も払わず、しかも商品も手に入れたうえで利用額を増やすことが可能だ。
また、最近は覆面調査やモニター体験をすることで、実際に店で支払った額が100%戻ってくるサービスもある。クレジットカード払いができる店を選んで利用すれば、利用額の上積みができるので、時間に余裕のある人は活用してみるといいだろう。
今回は特定のカードに限定されない方法を中心に紹介したが、これ以外にもカードによっては効率のいい方法が使える場合もある。たとえばビューカードならSuicaへのチャージ、ライフカードならVプリカの購入も、ポイントおよび年間利用額計算の対象だ。手持ちのカードでチャージ・購入できるプリペイド関連のサービスは、一度調べてみるといいだろう。
これらのテクニックは、年間利用額を稼ぐため以外にも、目標とするポイント数にあと少し足りないのに、有効期限が迫っているときなどにも活用できる。ただし、明細に反映される利用日は、実際にカードを利用した日よりも遅れて計上される場合があるので、実践する際は余裕を持って始めよう。
(※クレジットカードの用語などは以下を参照)
『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』
※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>
タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月7日発売の『最強クレジットカードガイド2016 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。
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