熊本での震災を受けて、多くのカード会社がクレジットカードやポイントでの寄附を受け付けているが、日々のクレジット利用額の一部が自動的に熊本に寄附されるカードも震災前から発行されている。
以下に紹介する「くまモン」がデザインされた3枚は、いずれも自己負担なく継続的に支援でき、なおかつポイントも貯まるので、普段はクレジット払いをしないという人にも積極的に使ってほしいカードだ。
VIASOカード(くまモンデザイン)
三菱UFJニコスが発行する「VIASOカード(くまモンデザイン)」は、国内でのショッピング利用代金の0.2%が、ふるさと納税の「ふるさとくまもと応援寄附金」として、年に1回まとめて同社から熊本県に寄附される。つまり、年間100万円利用したなら、2,000円を寄附したことになる。なお、震災を受けて2016年4月1日から2017年3月31日までの利用分については、寄附率が2倍の0.4%となることが発表されている。
これとは別にポイントも貯まり、国内外でのショッピング利用に対して、1決済100円につき0.5ポイント。対象の携帯電話、インターネットプロバイダ、ETCカードの利用分はポイント2倍となる。入会月を基準に年間で1,000ポイント以上貯めると、1ポイント=1円として、カード代金引き落とし口座にキャッシュバック (1,000ポイント未満の場合は失効)。特に交換手続きをすることなく、自動で現金還元を受けられる点でも人気のカードとなっている。
カード年会費は無料。ETCカードも年会費無料だが、発行時に1,080円の手数料が必要となる。海外旅行時は、事前に所定の旅行代金をカードで支払っていれば、最高2,000万円補償の旅行傷害保険も適用される。なお、2016年9月末日までに入会し、3カ月後の末日までに15万円以上ショッピング利用すると、もれなく5,000ポイントがプレゼントされるキャンペーンも実施中。前述の条件を満たしたうえで、リボ払いサービス「楽Pay」に登録すれば、さらに1,000ポイントのプレゼントもある。
くまもとCARD
ジャックスが発行する「くまもとCARD」は、国内外でのショッピング利用代金の0.15%が、ふるさと納税の「ふるさとくまもと応援寄附金」として、年に1回まとめて熊本県に寄附される。
これとは別に、国内外でのショッピング利用に対して、月合計200円につき1ポイントも貯まる。毎年1月から12月の年間利用額に応じて、次年度のポイント付与率がアップする制度もあり、年20万円以上利用なら次年度1.4倍、50万円以上なら1.5倍、100万円以上なら1.7倍、150万円以上なら1.8倍、200万円以上なら1.9倍、300万円以上なら2倍。ポイントはクレジット利用代金に充当できる「Jデポ」への交換なら1,000ポイント=1,050円、同カードで支払った対象の携帯電話利用料に充当できる「Jデポモバイル」への交換なら1,000ポイント=1,100円相当。つまり、前年に300万円以上利用して、ポイントを「Jデポモバイル」に交換した場合は、還元率は1.1%となる。また、ポイントは各種商品券や提携他社のポイントなどへも交換可能だ。
カード年会費は1,350円だが、初年度無料。年間5万円以上利用すれば次年度も無料。ETCカードも発行・年会費とも無料で利用できる。また、最高2,000万円補償の海外旅行傷害保険を自動付帯。国内旅行も事前に所定の旅行代金をカードで支払っていれば、最高1,000万円補償の旅行傷害保険が適用される。
くまモンのカード(VISA)
三井住友カードが発行する「くまモンのカード(VISA)」は、カード利用による同社の収益の一部が、ふるさと納税の「ふるさとくまもと応援寄附金」として、年に1回まとめて熊本県に寄附される。また、震災を受けて2016年5月1日から2017年3月31日までは、国内外でのショッピング利用代金の0.1%が、熊本県を通して被災者への支援に使われることも発表されている。
これとは別に、国内外でのショッピング利用に対して、月合計1,000円につき1ポイントも貯まる。毎年2月から翌年1月を1年度とし、前年および当年の利用額に応じてボーナスポイントが貯まる制度もあり、ポイント還元率は最大で1.3倍。ポイントは電子マネーや各種商品券、提携他社のポイントなどに交換できるほか、くまモングッズへの交換、熊本県の公益財団法人への寄附に使うことも可能。対象となるのは阿蘇グリーンストック、熊本県観光連盟、熊本善意銀行の3団体で、いずれも1口200ポイント=600円となる。
カード年会費は1,350円で、初年度は無料。年1回でも利用があれば、次年度も無料となる。ETCカードは年会費540円で、こちらも初年度無料、年1回のETC利用で次年度も無料。2016年10月末日までは、入会後2カ月以内に2万円以上ショッピング利用すると、くまモンのグッズがプレゼントされるキャンペーンなども行われている。
以上3枚のカードを紹介したが、これらのカード利用代金の一部として寄附された金額は、カード会社が代表して寄附する形となるため、税控除の対象にはならず、お礼の品などももらうことができない。また、寄附の証明書や金額なども特に公表されない。ただし、熊本県総務部税務課に問い合わせたところ、ジャックスと三井住友カードは過去に確実に寄附を受けており、三菱UFJニコスは新しく発行されたカードのため、まだ確認は済んでないが協定書は結んでいるとのこと。また、「ふるさとくまもと応援寄附金」は教育または文化の振興、産業振興、地域活性化、環境の保全・再生、子育て支援、安全で安心な県民生活の確保などに使われるが、今後震災復興に関連する事業に使われる割合は間違いなく増えるという回答ももらった。
お礼の品や税控除などを求めるなら、直接ふるさと納税をしたほうが確実だが、これらのカードを使う意義は、あくまで日常の買い物で特別な負担なく、自動的かつ継続的に支援できること。寄附はしたいけど、ついつい忘れてしまうという人は、検討してみてはいかがだろうか?
公式サイトは以下の通り。
(※クレジットカードの用語などは以下を参照)
『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』
※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>
タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月7日発売の『最強クレジットカードガイド2016 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。