アメリカン・エキスプレスは2022年2月24日より、世界で約8,000軒のホテルを展開するマリオット・インターナショナルと提携した「Marriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード」および「Marriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・カード」の発行を開始した。
前者はこれまでも両社の提携によって発行されていた「スターウッド プリファード ゲスト アメリカン・エキスプレス・カード」(通称、SPGアメックス)の進化型カードとなっており、後者はより手軽にマリオット系列のホテルを楽しんでもらうために新規発行されたカードになる。2種類から選べるようになった新カードについて違いを解説する。
家族カードは1枚まで無料
「Marriott Bonvoy」はマリオット・インターナショナルの会員プログラムの名称で、今回新たに誕生したカードを申し込むには、SPGアメックス同様Marriott Bonvoyの会員番号が必要になる。会員登録は無料で、メールアドレスがあれば公式サイトからすぐに入会できる。なお、家族カードはMarriott Bonvoyの会員番号がなくても発行できる。
ここからは便宜上「Marriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード」をプレミアムカード、「Marriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・カード」をスタンダードカードと表記する。
まず年会費についてだが、プレミアムカードは4万9,500円、スタンダードカードは2万3,100円。どちらも家族カードは1枚無料で、2枚目以降は1枚につきプレミアムカードは24,750円、スタンダードカードは11,550円になる。
前述のSPGアメックスは2022年2月24日からプレミアムカードに自動切り替え(カード自体は有効期限到来時に新デザインに切り替え)、および順次新サービス開始となっており、2022年5月11日以降の請求分より順次、年会費はプレミアムカードと同額になる。SPGアメックスは本会員の年会費が3万4,100円、家族会員の年会費が1枚につき1万7,050円だったため、本会員のみでは値上がりとなるが、本会員+家族会員1名で利用した場合は年1,650円の値下がりになる。
参加ホテルではポイント2倍
どちらのカードもショッピング利用額に応じてMarriott Bonvoyのポイントが貯まり、プレミアムカードは100円につき3ポイント、スタンダードカードは100円につき2ポイント。Marriott Bonvoyロイヤルティプログラム参加ホテル(以下、参加ホテル)で利用した場合は、プレミアムカードは100円の利用につき6ポイント、スタンダードカードは100円につき4ポイントが貯まる。ポイントは1回の決済ごとに計算され、1カ月分の合計が毎月1回まとめて付与される。
一部電子マネーへのチャージ、一部寄付団体、NHKへの支払いはポイント対象外。また、一部の公共料金や税金、病院での支払いなどは、プレミアムカードは200円につき3ポイント、スタンダードカードは200円につき2ポイントになる。
ポイント有効期限は最後のポイント獲得または交換から24カ月。ポイントは参加ホテルの宿泊に交換できるほか、250ポイント=1米ドルとして参加ホテル滞在中の飲食代やスパ利用料などにも充当可能。ANAやJALを含む40の航空会社のマイルなどにも交換でき、その多くは3ポイント=1マイルのレートになる。
年400万円利用でプラチナエリート会員に
本カードの会員は、Marriott Bonvoyの会員ステータスでも優遇を受けられる。Marriott Bonvoyには6段階の会員ステータスがあり、通常は宿泊実績によって以下のように決定される。
プレミアムカードの会員は自動的にゴールドエリートになり、年間400万円以上カードを利用すると、プラチナエリートにアップグレードされる。また、15泊分の宿泊実績も毎年付与される。スタンダードの場合は自動的にシルバーエリートになり、年間100万円以上カードを利用するとゴールドエリートにアップグレード。さらに5泊分の宿泊実績も毎年付与される。
年間利用額は毎年1月1日から12月31日までの期間で、家族カードの利用分も含めて集計され、規定額を達成すると1カ月以内にステータスがアップグレードされる。2022年に関しては2月24日から12月31日までが集計期間になる。また、年会費や分割・リボ払い手数料などは集計対象外だが、前述のポイント対象外の利用分は集計対象になる。
会員ステータスがアップグレードすると、参加ホテル宿泊時に空室状況によって客室のアップグレードやレイトチェックアウトのサービスが受けられるなど、さまざまな特典がある。たとえばプラチナエリート会員であれば、客室のアップグレードには一部スイートルームも含まれ、レイトチェックアウトも午後4時まで。ウェルカムギフトとして同伴者1名までの朝食無料サービスも選択でき、ラウンジへのアクセスも可能になる。
また、参加ホテルでは前述したカード利用分とは別に、1米ドルにつき10ポイント(一部ホテルは5ポイント)が貯まるが、会員ステータスに応じて宿泊時の利用でボーナスポイントが付与される。たとえばプラチナエリート会員はボーナスポイントが50%になるため、1米ドルにつき15ポイント。1米ドル=100円時に10万円をプレミアムカードで支払った場合は、カード利用分が6,000ポイント+プラチナエリート・ボーナスポイント分が1万5,000ポイントなので、合計2万1,000ポイントが貯まる。
年150万円利用で無料宿泊特典を獲得
そして本カードの目玉のひとつが無料宿泊特典。年間150万円以上カードを利用し、年会費を支払うと、プレミアムカードの場合は1泊5万ポイント以内、スタンダードカードでは1泊3万5,000ポイント以内のホテルおよび宿泊プランに泊まれる無料宿泊特典が獲得できる。近日中には最大1万5,000ポイントまで保有するポイントを追加することもできるようになる予定(詳細および開始日は後日発表)で、その場合はプレミアムカードでは1泊6万5,000ポイント、スタンダードカードでは1泊5万ポイントまでのホテルおよび宿泊プランを選択できることになる。
年間利用額の集計期間はカード入会日もしくは切替日から1年。ポイント対象外の利用や家族カード利用分も集計対象になる。なお、SPGアメックスから自動切り替えとなった会員に関しては、2023年4月23日までは、年間利用額にかかわらず、年会費の支払いだけで無料宿泊特典を獲得できる。
このほかにも本カードの会員は、「ザ・リッツ・カールトン」と「セントレジス」での2連泊以上の宿泊で、100米ドル分のプロパティクレジット付きのプランが予約できる。プロパティクレジットは滞在中にレストランやスパなどの館内施設で利用可能。チェックアウト時に本カードで支払いをすると、対象料金からプロパティクレジット分が差し引かれる。
プレミアムカードはスマートフォン保険も付帯
参加ホテル以外でのサービスも充実しており、どちらのカードも国内28空港およびハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港のラウンジが同伴者1名まで無料で利用可能。海外からの帰国時に、スーツケースひとつまでを対象空港から自宅に無料で配送してくれる手荷物無料宅配サービスも利用できる。対象空港はプレミアムカードの場合は羽田・成田・中部・関西空港で、スタンダードカードでは羽田を除く3空港になる。
海外旅行傷害保険は、対象の旅行代金をカードで支払うと、プレミアムカードでは最高1億円(旅行代金の決済がない場合は最高5,000万円)、スタンダードカードは最高3,000万円を補償。国内旅行傷害保険は、対象の旅行代金をカードで支払うと、プレミアムカードでは最高5,000万円、スタンダードカードでは最高2,000万円が補償される。
カードで購入した商品が、不慮の事故によって破損したり、盗難に遭ったりした場合に補償されるショッピング・プロテクションは、プレミアムカードでは年間最高500万円、スタンダードカードでは年間最高200万円が補償される。
ほかにもプレミアムカードでは、幅広い保険サービスを付帯。リターン・プロテクションでは、カードで購入した商品の返品を購入店が受け付けない場合に、1商品につき最高3万円、年間最高15万円まで補償。キャンセル・プロテクションは、旅行やイベントなどの予約を家族の病気や怪我、社命出張などを理由にキャンセルし、キャンセル料が発生した場合に、年間最高10万円までを補償。スマートフォン・プロテクションは、購入後2年以内のスマートフォンが、不慮の事故によって破損(スクリーンの画面割れを含む)、水濡れ、盗難などの被害に遭った場合に、直近3カ月連続で対象スマートフォンの通信料を本カードで払っていると、年間最高3万円が補償される (家族カードは対象外)。
すべてのサービスを挙げるとキリがなくなってしまうため、このあたりで止めておくが、2種のカードの主なサービスを比較すると下表のようになる。
どちらのカードもメリットを活かすなら、最低でも無料宿泊特典が獲得できる年150万円以上は利用したいところ。ちなみに150万円をすべて参加ホテル以外で利用した場合は、プレミアムカードなら4万5,000ポイント、スタンダードカードなら3万ポイントが貯まる計算になる。
ポイントで宿泊する場合、ホテルのブランドや客室の種類、利用する時期によって必要ポイント数は大きく異なり、1泊1万ポイント前後で泊まれることもあれば、10万ポイント以上必要なプランもある。Marriott Bonvoyの公式サイトで「ポイント/サーティフィケートを使う」にチェックを入れて検索すると、だいたいの相場感がわかるので、あらかじめ利用したいホテルに目星をつけてからカードの種類を選ぶといいだろう。