買ったばかりのスマートフォンを盗まれてしまった、画面が割れてしまったという不運を経験したことはないだろうか。そうした場合でも、そのスマートフォンをクレジットカードで購入していれば、補償を受けられる可能性がある。

クレジットカードのなかにはショッピング保険を付帯したものがあり、所定の条件内であれば、カードで購入した物品の破損や盗難に対して補償が受けられる。ただし、ほとんどのショッピング保険は、携帯電話、タブレット、ノートPCなどは補償対象外と規約に書かれているので注意が必要だ。今回はスマートフォンがショッピング保険の補償対象になるクレジットカードを紹介する。

  • スマホが「ショッピング保険」の補償対象になるクレジットカード

25歳以下なら年会費無料カードもあるクレディセゾン

クレディセゾンは多数のクレジットカードを発行しているが、そのなかでも「ショッピング安心保険」を付帯したカードは、スマホの破損や盗難も補償対象になっている。補償内容はカードによって異なり、たとえば「セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード」(年会費1万1,000円/初年度無料)の場合は、購入から120日以内の破損や盗難に対して年間最大200万円を補償。「ゴールドカードセゾン」(年会費1万1,000円/初年度無料)は、購入から90日以内、年間最大300万円を補償。どちらも損害額が1万円未満の場合は対象外となる。

  • 左から「セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード」、「ゴールドカードセゾン」

スマートフォンの機種代金を月々の通信料と一緒に分割払いしている場合でも、機種代金の総額が補償上限になる。たとえば7万2,000円の端末を24回分割(1回3,000円)で購入した場合、1回目の支払いをカードで決済していれば、7万2,000円が最大補償額となる。

ただし、分割払いのうち、当該カード以外での支払いがあった場合は、その分は補償対象外になる。たとえば2回目の支払いだけ当該カード以外の方法で決済した場合では、最大補償額は6万9,000円。保険申請時には購入時の金額や支払い方法がわかる書面が必要になる。なお、修理可能な場合は修理費用内での補償となる。

また、カードと紐付けたApple Pay、iD、QUICPay、各種QR/バーコード決済などを使って支払った場合でも、「カードを利用して購入したことが立証可能」であれば、原則として補償対象になる。一方でQR/バーコード決済などでも、事前にチャージして支払う決済サービスを利用して購入した場合は補償対象外となる。

ショッピング安心保険を付帯したカードは、いずれも年会費は有料だが、「セゾンブルー・アメリカン・エキスプレス・カード」は25歳までは年会費無料で利用可能。26歳以上は初年度無料で、2年目以降は年会費3,300円となる。同カードのショッピング安心保険は、最高補償額が100万円で、1品につき1万円の自己負担額が必要だ。

  • 「セゾンブルー・アメリカン・エキスプレス・カード」

ダイナースクラブは全カードが年間最大500万円まで補償

「ダイナースクラブカード」は提携カードやプレミアムカードを含め、ラインアップされているすべてのカードに「ショッピング・リカバリー」を付帯。購入から90日以内の破損や盗難に対して年間最大500万円(1品につき1万円の自己負担額が必要)の補償を受けられ、スマホも補償対象になっている。

  • 「ダイナースクラブカード」

スマートフォンの機種代金を月々の通信料と一緒に分割払いしている場合でも、機種代金の総額が補償対象になる。たとえば7万2,000円の端末を24回分割(1回3,000円)で購入した場合、被害に遭った時点までの支払いが、すべて当該カードで行われていれば、自己負担額を引いた6万2,000円が最大補償額となる。ただし、修理可能な場合は修理費用内での補償。保険申請時には購入時の金額や支払い方法がわかる書面が必要になり、たとえば1回分を当該カード以外で支払っていた場合は、5万9,000円が最大補償額となる。

また、カードと紐付けたApple PayやMastercardブランドの「コンパニオンカード」を使って支払った場合でも、原則として補償対象になる。ただし、事前にチャージして支払う決済サービスを利用して購入した場合は補償対象外となる。

スタンダードな「ダイナースクラブカード」の年会費は2万4,200円。ANAやJALなどの航空会社、BMW、ホテルニューオータニなどと提携したカードも発行されている。

  • 左から「ANAダイナースカード」、「ニューオータニクラブ ダイナースカード」

アメックスは「スマートフォン・プロテクション」付帯カードも発行

アメリカン・エキスプレスが発行しているクレジットカードは、すべて「ショッピング・プロテクション」を付帯しており、スマホの破損や盗難も補償対象になっている。補償内容はカードによって異なり、たとえばスタンダードな「アメリカン・エキスプレス・カード」(年会費1万3,200円)の場合は、購入から90日以内の破損や盗難に対して年間最大500万円を補償。「ANA アメリカン・エキスプレス・カード」(年会費7,700円)は、購入から90日以内、年間最大200万円を補償。いずれも1品につき1万円の自己負担額が必要になる。

  • 左から「アメリカン・エキスプレス・カード」、「ANA アメリカン・エキスプレス・カード」

スマートフォンの機種代金を月々の通信料と一緒に分割払いしている場合でも、機種代金の総額が補償対象。たとえば7万2,000円の端末を24回分割(1回3,000円)で購入した場合、1回目以降の支払いをすべてカードで決済していれば、自己負担額を引いた6万2,000円が最大補償額となる。ただし、修理可能な場合は修理費用内での補償となり、途中で当該カード以外での支払いに切り替えた場合は補償対象外。

また、カードと紐付けたApple PayやQUICPayを使って支払った場合でも、カード利用明細に端末の購入店舗やそれに類するものが明記されていれば、原則として補償対象になる。一方で各種QR/バーコード決済および事前にチャージして支払う決済サービスを利用して購入した場合は補償対象外となる。

なお、「ANA アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」(年会費3万4,100円)では、購入から2年以内のスマートフォンが破損した場合、年間最大3万円の修理代金が補償される「スマートフォン・プロテクション」のサービスも付帯している。

こちらは事故発生時点で、対象スマートフォンの直近3回の通信料を当該カードで支払っていることが適用条件。1事故につき1万円の自己負担額が必要になるため、たとえば修理代金が3万円の場合は2万円を補償。修理代金が4万円以上であれば3万円の補償になる。

  • 「ANA アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」

以上、3社のクレジットカードを紹介したが、ショッピング保険が適用されるのは、あくまで偶然の事故によって損害を被った場合。保険申請時には資料の提出も必要となり、使用に支障がないといった損害の程度や、単なる置き忘れといった事故の原因によっては補償が受けられないこともある。

ちなみにイオンカードが発行するクレジットカードも、スマホがショッピング保険の対象になるが、画面割れの場合は操作できる状態であれば補償対象外になる。自分が持っているカードが補償対象かどうか調べたい人は、保険規約の対象外物品を確認するか、カード会社のインフォメーションデスクに問い合わせてみるといいだろう。

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■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。