最近はプラチナカードなどを中心に、「個人賠償責任保険」の補償を付帯したクレジットカードが増えている。個人賠償責任保険とは、日常生活に起因する偶然の事故で、他人に怪我をさせてしまう、他人の所有物を壊してしまうなどにより、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償が受けられる保険のこと。

しかし現在、個人賠償責任保険を付帯しているクレジットカードは、いずれも年会費が高額だ。たとえば「Orico Card THE PLATINUM」は2万370円、「三井住友トラストVISAプラチナカード」は3万8,500円、アメリカン・エキスプレスの「プラチナ・カード」は14万3,000円。また、「ラグジュアリーカード(Mastercard Gold Card)」に至っては22万円にもなる。

個人賠償責任保険は単体で提供されていることが少なく、自動車保険や都道府県民共済などの追加オプションとして加入することが一般的。これはクレジットカードも同じで、多くのカード会社がトッピング保険などの名称で、月々数百円で個人賠償責任保険を提供している。つまり年会費無料のカードに入会すれば、実質的に個人賠償責任保険だけを付帯させることができるのだ。

前置きが長くなったが、今回は個人賠償責任保険に低額で加入できるクレジットカードを紹介する。

  • 個人賠償責任保険を格安で追加できるクレジットカードは?

■JCBトッピング保険「日常生活賠償プラン」

JCBカード会員を対象としたJCBトッピング保険には、月額150円の「日常生活賠償プラン」があり、最高1億円が補償される。加入できるのは満20~74歳のジェーシービーおよびJCBグループが発行するクレジットカードの会員。一部の提携カード、および国際ブランドがJCBでも発行元が異なるカードは対象外となる。

個人賠償責任に対する1億円の補償は、会員本人だけでなく家族も対象。家族は配偶者、本人または配偶者の同居親族、別居する未婚の子供となる。また、交通傷害による会員本人の死亡・後遺障害時には最高100万円も補償される。

ジェーシービーが発行する年会費無料カードには、18~39歳のみ申し込める「JCB CARD W」やリボ払い専用の「JCB CARD R」などがあり、通常年会費1,375円の「JCB一般カード」も条件を満たせば年会費無料。また、「リクルートカード」、「Peach Card(ベーシック)」、「ベネッセJCBカード」などの提携カードも年会費無料で利用可能だ。

  • 左から「JCB CARD W」「JCB一般カード」

■三菱UFJニコス、ハンディー保険「日常生活賠償プラン」

三菱UFJニコスには、様々なプランが選べるハンディー保険のサービスがあり、「日常生活賠償プラン」は月額150~540円で、最高1億円が補償される。加入できるのは満20~69歳(満75歳まで継続可)で、MUFGカード(JCB、アメリカン・エキスプレスは除く)、DCカード、NICOSカードの会員が対象となる。

「日常生活賠償プラン」には3つのコースがあり、Aコースは月額540円、Bコースは月額350円、Cコースは月額150円。いずれも個人賠償責任は最高1億円が補償されるが、交通傷害による会員本人の死亡・後遺障害時は、Aコースが最高500万円、Bコースが最高300万円、Cコースが最高100万円の補償。また、他人から預かった対象の財物を破損・紛失・盗難された場合に生じた受託品賠償責任についても、Aコースは最高30万円、Bコースは最高10万円が補償される(ともに1事故につき自己負担額5,000円)。

個人賠償責任および受託品賠償責任は、会員本人だけでなく家族も対象。家族は配偶者、本人または配偶者の同居親族、別居する未婚の子供などとなる。

ハンディー保険に加入できる年会費無料のカードとしては、15種類からデザインが選べる「VIASOカード」やリボ払い専用の「DCカード Jizile」が該当。「リクルートカード」や「GDOカード(一般)」などの提携カードも年会費無料だ。

  • 「VIASOカード」はキャラクターなどとのコラボデザインも選べる(写真右は浦和レッズデザイン)

■アメリカン・エキスプレス「個人賠償責任補償」

アメリカン・エキスプレスは年会費無料カードを発行していないが、最高補償額が無制限となる「個人賠償責任補償」を付帯させることができる。年齢制限はなく、アメリカン・エキスプレスが発行するクレジットカードの会員であれば、誰でも加入可能。ただし国際ブランドがアメリカン・エキスプレスでも、発行元がアメリカン・エキスプレスでないカードは対象外となる。

「個人賠償責任補償」には2種類のプランがあり、最高補償額が無制限となるプランは月額190円。最高1億円補償のプランの場合は、月額170円となる。どちらも会員本人だけでなく家族も対象。家族は配偶者、本人または配偶者の同居親族、別居する未婚の子供となる。

アメリカン・エキスプレスの最もスタンダードな「アメリカン・エキスプレス・カード」は年会費1万3,200円。それより安いものには年会費7,700円の「ANA アメリカン・エキスプレス・カード」や、年会費1万1,000円の「アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード」がある。

  • 左から「アメリカン・エキスプレス・カード」、「ANA アメリカン・エキスプレス・カード」

以上、3社の個人賠償責任保険を紹介したが、カード会社によって補償内容は異なり、保険料が安ければいいというわけでもない。また、個人賠償責任保険以外にも、様々な保険が用意されている。まずは自分が保有しているカードのトッピング保険を調べてみることから始めるといいだろう。

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■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。