最近はキャッシュレスにまつわるキャンペーンが各所で頻繁に行われているが、その中でも特に気を吐いているのがNTTドコモが発行する「dカード」。同社は「iD」「d払い」のサービスも手掛けているが、「dカード」を連動させると非常に高い還元を受けられるキャンペーンを連発している。詳しく解説しよう。
「dカード」は年会費永年無料に改善
まず「dカード」の基本情報から紹介したい。
「dカード」はiDやdポイントカードとしての機能も付帯したクレジットカードで、年会費は無料。以前は前年に一度も利用がない場合、2年目以降は年会費が必要だったが、2019年9月16日入会分からは永年無料となった。既存会員の年会費も、2019年11月11日以降に請求予定の分に関しては無料になる。
「dカード」はショッピング利用額に応じてdポイントが貯まり、通常は1回の支払い100円につき1ポイント。「dカード特約店」ではポイントが最大で5倍になるほか、ローソンやノジマでは3%オフ(一部商品・サービスは対象外)の優待も受けられる。
年会費1万1,000円のクレジットカード「dカード GOLD」も発行されており、こちらは「dカード」のサービスに加えて、さらに多くの特典が受けられる。年間利用額に応じて最大で2万1,600円分のクーポンがもらえるほか、各種付帯保険の内容も充実しており、空港ラウンジサービスも利用可能。また、ドコモのケータイおよびドコモ光を利用している場合は、毎月の基本使用料、通話・通信料などの利用料金(税別)に対して、10%のdポイントが還元される優遇もある。
「dカード」という言葉は、「dカード」および「dカード GOLD」の両方を指す場合にも使われることがある。このほかにも同社では、MastercardおよびiD加盟店で利用できるプリペイドカード「dカード プリペイド」、ドコモのおサイフケータイでiDとして利用する「dカード mini」、ポイント専用カードの「dポイントカード」も発行している。「dカード mini」以外はドコモユーザーでなくても利用可能だ。
「dカードお支払割」適用で2020年3月まで5%還元
「dカード」では随時多数のキャンペーンが行われているが、その中でも特筆したいのが2019年10月1日にスタートし、2020年3月31日までの半年間にわたって開催される「dカードお支払割5%還元キャンペーン」。通常の決済で貯まる1%のポイントに加え、キャンペーン特典の4%のポイントが貯まり、合計5%還元となる。
キャンペーン対象者は、ドコモの「dカードお支払割」が適用されている「dカード」および「dカード GOLD」の会員。「dカードお支払割」とは、2019年10月1日以降に、定期契約のない「ギガホ」「ギガライト」「ケータイプラン」のいずれかの料金プランを契約し、支払い方法に「dカード」または「dカード GOLD」を設定すると、月170円が割引となるサービスだ。
「ギガホ」「ギガライト」「ケータイプラン」の料金プランに契約していても、2年契約をしている場合はキャンペーン対象外。2019年9月以前に契約した料金プランを利用している場合も対象外となる。
これらの会員がキャンペーン対象となるには、料金プランの変更が必要だ。ただし、更新月以外にプランを変更すると、解約金が発生したり、月々サポートの適用が終了したりする場合があるので注意してほしい。
キャンペーンは上記の条件を満たしたうえで、「dカード」の公式サイトからエントリーすると適用される。クレジットカードとしてのVisaまたはMastercardでの利用分が特典ポイントの対象となり、iDを使った支払いは特典の対象外。また、ドコモの携帯電話やドコモ光の利用料金、各種電子マネーのチャージ、国民年金保険料などに関しては、通常の決済分も含めてポイント対象外となる。
特典ポイントは6カ月間有効のdポイント(期間・用途限定)となり、毎月1日から末日までの利用分が、翌月末に加算される。毎月2,000ポイントが上限となるため、単純計算で月5万円利用分までが特典の対象となる。
d払い、iD利用時に還元率が7%アップ
もうひとつ紹介したいのが、2019年6月10日から開催(終了時期未定)されている「dポイント スーパー還元プログラム」。ドコモのサービス利用状況に応じて、d払い、iDを利用した際の還元率が最大で7%アップする。
d払いは支払い方法を「クレジットカード払い」「口座払い」「電話料金合算払い」の中から選ぶことができ、現在はいずれの支払い方法でも同プログラムの対象となる。
しかし、2019年11月10日からは、「クレジットカード払い」で「dカード」または「dカード GOLD」以外のクレジットカードを設定すると、同プログラムの対象外となる。iDは「dカード」「dカード GOLD」「dカード mini」を紐付けた支払いのみ同プログラムの対象となる。
同プログラムは上記の条件を満たしたうえで、「dポイントクラブ」の公式サイトからエントリーすると適用される。d払いは街ナカの店での支払い分が同プログラムの対象。ネットでの支払い分は対象外となる。iDもネットでの支払いは、一部対象外の加盟店がある。また、どちらもdポイントを支払いに充当した場合、充当分は同プログラムの対象外となる。
適用される還元率については、以下のサービスの利用状況によって決定される。サービスごとに判定のタイミングは異なり、前月末時点の各サービスの契約、当月のdポイントクラブステージのランクをもって、当月10日から翌月9日までの還元率に反映される。
上記をすべてクリアすれば、還元率は7%アップすることになる。ただし、条件をクリアするためには、利用料金が発生するサービスが多いので、どの程度d払いやiDを利用するか、そのサービスを必要としているかを踏まえたうえで、契約すべきか検討したほうがいいだろう。
なお、dマーケットの対象サービスは、dショッピング、dトラベル、dデリバリーなど幅広いが、サービスごとに適用条件が異なる。すべては紹介しきれないため、公式サイトを確認してほしいが、条件をクリアしやすいものもある。例えばdミュージックならコンテンツの購入で条件クリアとなるが、たいていは1曲250円だ。これで還元率は2%アップするため、d払いまたはiDを1万2,500円利用すれば元が取れる。
特典ポイントは3カ月間有効のdポイント(期間・用途限定)となり、還元率アップ期間開始月の翌々月末日に加算される。例えば10月10日から11月9日までの利用分は、12月31日に加算される。特典ポイントは各集計期間中の利用合計額に対して計算され、獲得ポイント数に上限はない。
d払いは最高で12.5%還元
d払いは街で利用した場合、通常0.5%のポイントが貯まる。支払い方法に「dカード」を設定していた場合は、カード利用分として別途1%のポイントが貯まる。これに「dカードお支払割5%還元キャンペーン」が適用されていれば+4%、「dポイントスーパー還元プログラム」をすべて満たしていれば+7%、合計で還元率は最高12.5%になる計算だ。
「dカード」を紐付けたiDを利用した場合は、通常のカード利用と同様に1%のポイントが貯まる。「dカードお支払割5%還元キャンペーン」は適用されないが、「dポイントスーパー還元プログラム」をすべて満たしていれば+7%となるため、合計で還元率は最高8%。さらにローソンでは3%オフの特典が受けられたり、「dカード特約店」ではポイントが倍増したりする場合もあるので、店によって上手に使い分けるといいだろう。
なお、キャッシュレス・ポイント還元事業の対象店舗で利用した場合は、さらに2%または5%の還元も受けられる。こちらは「dカード」でも、d払いでも、iDでも同様に適用されるが、還元の上限など細かい内容は異なるので、一度チェックしておくといいだろう。
(※クレジットカードの用語などは以下を参照)
『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』
■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。