支払いに利用するだけでポイントが貯まり、最も簡単な節約方法と言われるクレジットカード。現在、日本では1000種類以上のクレジットカードが発行されており、ポイントの貯まり方も多種多様。同じカードでも、利用する人、利用する方法によって、ポイントの貯まり方が異なる場合もあり、いかに自分に合ったものを見つけるかが大切だ。本連載では、これから利用シーンごとにオススメのカードを紹介していくが、まず今回は、カード選びに際して最低限知っておいてほしい基礎知識を説明する。

年会費

多くのカードには年会費が設定されており、年に1回、所定の日に引き落とされる。カードによって年会費は異なるが、1250円が一般的で、無料のものも数多くある。ゴールドカードと呼ばれる上位クラスのカードは1万円が一般的で、その上のプラチナカードは2~5万円程度。なかには10万円を超えるものもある(金額はいずれも税別)。

国際ブランド

クレジットカードは1枚につき1つの国際ブランドが付いており、例えばVisaブランドのカードなら、世界中のVisa加盟店で支払いに利用できる。国際ブランドは前述のVisaのほか、MasterCard、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブの5種類。VisaとMasterCardは加盟店数の多さが特徴で、残りの3社は旅行やエンターテインメント関連のサービスが手厚い。

ポイント付与

支払いにカードを利用すると、金額に応じてポイントが貯まる。1回の利用ごとにポイントが貯まるものもあれば、月の合計利用額に対してポイントが貯まるものもあり、カードによって細かいルールは異なる。また、年会費の支払い、プリペイド型電子マネーへのチャージ、キャッシング利用、分割・リボ払い時の手数料などはポイント対象外となる場合が多い。

このほかにも家族カードやETCカード、支払い方法や支払い日、審査など、細かく説明しだすとキリがないが、まずは上記の3つが基礎中の基礎。次に、カードのおトク度を左右する3つの要素についても覚えておこう。

ボーナスポイント

特定の条件をクリアすると貯まるポイントのこと。例えば、「年間◯円以上利用すると◯ポイント」や「年間◯円以上利用すると次年度のポイントが◯倍」といった金額によって貯まるもの、「入会から◯カ月はポイント◯倍」や「毎年誕生月はポイント◯倍」といった期間によって貯まるもの、「◯◯の店で利用するとポイント◯倍」といった利用先によって貯まるものなど、カードにより様々な条件が設定されている。

優待店/特約店

カード会社が提携する店を利用すると、割引やボーナスポイントなどの優待を受けられる場合がある。こうした店は優待店や特約店と呼ばれ、カードを選ぶうえでの重要な比較材料となる。また、カード会社と企業が提携して発行するカードもあり、系列店などで他カードよりも大きな優待を受けられる。こうしたカードは「提携カード」と呼ばれ、小売系や旅行・交通系の大企業を中心に数多く発行されている。

付帯サービス

カード会員になることで利用できるサービスのことで、代表的なものに旅行傷害保険と買物保険がある(年会費無料カードでは付帯しない場合も多い)。前者は旅行中の事故や病気などに対する保険。後者はカードで購入したものが盗難や破損に遭った際に受けられる保険で、ショッピング保険やショッピングガードなど様々な名称がある。ほかにもロードサービスや空港ラウンジサービスなどが利用できるカードもある。

このように特定の条件でポイントの貯まり方が変わる場合や、数字には表しにくい付帯サービスの存在により、カードを比較することは容易ではない。そのため、カードを選ぶ際は次の3つを意識して、ある程度候補を絞り込むようにしよう。

ポイントの種類

いくらポイントを貯めても、使い道がなければ意味がない。まずはそのポイントがどこで利用できるか、有効期限はいつまでか、1ポイントの価値は円に換算していくらになるのか、この3つをチェックしよう。利用可能先はできるだけ多いほうが好ましく、理想は現金へのキャッシュバック。また、航空券に交換できるマイルも、使い方次第で1ポイントの価値が高くなるため人気。

還元率

獲得したポイント数を円相当に換算し、利用した金額で割った率のことで、カード選びに際して最もわかりやすい指標となる。例えば100円利用につき1円相当のポイントが貯まるカードなら、還元率は1%。標準的なカードの還元率は、一昔前までは0.5%だったが、近年は1~2%に達するカードも増加。ボーナスポイントの獲得次第で還元率が大きく変わるカードも多い。

年間利用額

年間利用額に応じてボーナスポイントが発生したり、年会費が割り引かれるカードも多いため、事前に年間利用額を想定しておくと、実際にカードを使う際の還元率が把握しやすくなる。既にカードを利用している人は、過去の明細を見て計算しておこう。カードを使っていない人も、食費や公共料金などからカード払い可能なものを確かめて、おおまかな年間利用額を計算しておこう。


以上がカードを選ぶ前に最低限知っておきたいことだ。なお、多くのカードで入会キャンペーンが随時行なわれているので、比較の際は必ずチェックしよう。通常利用時の還元率では劣るカードでも、キャンペーンを含めれば利用年数次第で逆転する場合も少なくない。また、申し込みの際は「ポイントサイト」と呼ばれるサービスを経由すると、ポイントサイト独自のポイントがもらえる場合もある。詳しく説明すると長くなってしまうので割愛するが、カードによっては1万円相当以上のポイントがもらえることもあるので、知らない人は検索してみよう。

<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。2015年3月発売の『最強クレジットカードガイド2015~本当にトクするカードの選び方・使い方~=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。