前回から、HPI製の「G-ROBOTS(GR-001)」を取り上げている。早速、組み立ての続きといきたいところであるが、その前に、このロボットで使用されているサーボモーターについて、ちょっと注目してみたい。
サーボのスペック
サーボモーターというのは、ロボットにとっては最も根幹となる構成要素である。
ロボットはサーボモーターのトルク以上の力は出すことができないし、サーボモーターのスピード以上速く動くこともできない。またロボットの総重量の中で、サーボモーターの重量というのはかなりの割合を占める。例えばGR-001の場合では、重量比で約55%、つまり半分以上がサーボの重さだ。ロボットの「動き」を考える上で、サーボがどれだけ重要なのかが分かるだろう。
GR-001では、2種類のサーボモーターが使用されている。ハイトルクタイプの「RS301CR」と、スタンダードタイプの「RS302CD」で、どちらも双葉電子工業製。前者はパワーが必要な下半身(脚部と腰の計11カ所)で、後者は主に上半身(腕部などの計9カ所)で、それぞれ使用されている。両サーボの仕様を比較してみると以下のようになる。
サーボ | RS301CR | RS302CD | KRS-788HV(参考) |
---|---|---|---|
トルク | 7.1kg・cm | 5.0kg・cm | 10.0Kg・cm |
スピード | 0.11sec/60° | 0.16sec/60° | 0.14sec/60° |
可動範囲 | 300° | 180° | |
動作電圧 | 7.4V | 9~12V | |
大きさ | 36×25×20mm | 41×38×20mm | |
重さ | 28g | 21g | 47.5g |
参考までに、以前ご紹介したKHR-2HVで使われている「KRS-788HV」も表に入れた。ハイトルクタイプのRS301CRでもトルクは7.1kg・cmと、2足歩行ロボットのサーボとしてはそれほど大きなトルクではないが、注目すべきはわずか28gという軽さだ。そのためトルク/重量比はかなり高くなっており、スピードも0.11sec/60°と非常に速い。GR-001のキビキビとした動きは、こういったスペックに支えられているのだ。
使いやすさに配慮した設計
前回はさらっと流したが、このサーボモーターは使いやすさにも配慮した設計になっている。まずサーボホーンだが、この外周上には、基準位置となる目印(凹)が掘られている。0°の位置が凹1個、90°の位置が2個、以下、同様に180°が3個、270°が4個となっており、組み立て時には、この数をフレーム側と合わせれば良いだけなので簡単だ。
またこのサーボモーターはすべてキャリブレーション済みとなっており、面倒な初期位置調整は不要だ。サーボホーンは最初から取り付けられており、基本的にこれを外す必要はないが、もしサーボモーターから外してしまっても、サーボホーン中央の切り欠きを合わせることで、簡単に正しい位置に戻すことができる。
もう1つ特徴としては、コマンド式サーボであることが挙げられる。LANのように中継ハブを介して接続していくので、配線をスッキリまとめることができる。また各サーボモーターには予め個別のIDが設定されているので、組み込む場所さえ間違えなければ、サンプルのモーションがそのまま動くはずだ。組み立てる際には、サーボの番号だけは間違えないように確認しよう。
組み立て作業の続き
さて、それでは前回の続きだ。足首部分まで出来ていたので、次はスネの取り付けからということになる。
スネのパーツを取り付ける。ここでも、ワッシャ、POMワッシャ、プラブッシュ、ラバーブッシュを使っており、要領は前回と全く同じだ |
サーボの配線には中継ハブを使う。電気的にはどのコネクタに挿しても良いが、ケーブルの長さの都合があるので、マニュアルの指定通りにする |
と、ここまでの作業ですでに3時間が経過。筆者の場合、工程ごとに撮影しながらということもあり、どうしても2倍くらいは余計に時間がかかってしまうのだが、それでも「完成までに2時間」というのは、結構速いペースのように思える。まぁ時間を競うようなものでもないので、各人のペースで楽しみながら組み立てれば良いのではないだろうか。