さて、前回用意した外装パーツをいよいよ取り付け……といきたいところだが、今回はいきなりサーボモーターの換装をしてみる。外装まで付けてからではバラすのが面倒なので(それにアスリートカップまで時間もなかったので)、完成前で恐縮だが、この段階で換装を行いたい。ついでに、オプションパーツの取り付けもやってしまおう。

アスリートカップだけなら標準仕様のまま進めるつもりだったのだが、KONDO CUPにも出ることを考えると横歩きのスピードが重要となる。"バンブー横歩き"モーションを作って試しに動かしたところ、ちょっと「これではキツイな~」というレベルだったので、さっさと換装を決めた次第である。

動画
試しに作った横歩きモーション。最適化すれば多少は改善すると思うが、これでオープンクラスは厳しい

サーボの換装は簡単

AT01で採用されているサーボモーターは「KRS-4024S HV」だが、これは決して強力なサーボではない。近藤科学からは上位モデルとして「KRS-4013HV」(ハイスピードタイプ)と「KRS-4014S HV」(ハイトルクタイプ)が発売されており、KONDO CUPのオープンクラスに出ているような人たちが使っているのは大体こちらだ。しかしその分、値段は高い。

仕様の比較
サーボモーター 4024S HV 4013HV 4014S HV
トルク(kg・cm) 10.5 27.0 40.8
スピード(sec/60°) 0.17 0.12 0.19
最大動作角 260° 270°
シリアル通信 ×
重量 52.5g 65.0g
店頭価格 7,140円 16,800円

以前、KHR-2HVの股ロール軸と股ピッチ軸をKRS-2350HVに換装したときは、サーボの大きさもネジ穴の位置も違ったのでちょっと面倒だったが、4000番台のサーボケースは全て共通(43×32×32.5mm)なので、そのまま付け替えることが可能だ。今まで組み立ててきた人なら、同じ手順で簡単に換装できるだろう。

これがハイスピードタイプの「KRS-4013HV」。ケースの大きさやネジ穴の位置などは、標準の4024S HVと全く同じ

ぱっと見て分かる違いはコネクタの数。4013HVはシリアル通信に対応しているので、数珠繋ぎでサーボを接続できる

AT01くらいの重量ならトルクはそれほど必要なく、競技のためにはスピードのほうが欲しいので、今回は4013を購入。6個セットのほうがお得なので、チームメートの分と合わせて買って、そのうち4個を筆者が使うことになった。今回も股ロール軸(CH11と17)と股ピッチ軸(CH12と18)を換装することにする。

あわせて、アームも右側の高強度タイプ「4000B」に換装した

どういう順番でも良いので、とにかくバラしてサーボを入れ替える

トリム調整はサーボ出力軸の個体差を補正するためのものなので、換装したサーボについては再度設定し直す必要がある。同様の手順でやれば良いが、まず4013の原点設定をする前に、換装サーボのCHのトリム調整値を0に戻しておくことを忘れずに(そうしないと原点が正しく出ない)。

ところで、4013はシリアル通信に対応しており、PWM信号よりも細かい制御が可能になるのだが、そうすると以前のモーションとの互換性がとりにくいので、PWM信号のまま利用することにした。ただし、PWMの状態だとリバース設定ができないようなので、CH11はそのときだけシリアル通信にして、設定が終わってからPWMに戻す方法をとった。

右上でチェックを入れたサーボがシリアル通信になる

CH11だけはリバースをオンにする

ジャイロは必須

ついでにジャイロセンサー「KRG-3」も仕込んでおく。ジャイロはAT01ではオプションパーツではあるが、2足歩行をまともにしようと思ったら必須と言っていい。これでどのくらい安定するかということは、以下の動画を見てもらったほうが分かりやすい。

動画
ジャイロなしのとき
ジャイロありのとき
動画
ジャイロなしのとき
ジャイロありのとき

ピッチ軸(前後方向)、ロール軸(左右方向)の検出にそれぞれ必要となるので、ジャイロは計2個使用する点は注意。AT01では、写真のようにバッテリスペースの隙間に格納することができる。

この2箇所に格納する(下がロール軸、上がピッチ軸)。ケーブルは隙間から後部へ出し、ピッチ軸をAD1へ、ロール軸をAD2へ接続した

さらに今回は加速度センサー「RAS-1」も追加した(現在は後継製品の「RAS-2」が販売されている)。これはなくても問題ないが、起き上がり時の向き判定が可能となるので、あれば便利だ(特に競技では、"仰向け起き上がり"と"うつ伏せ起き上がり"を慌てて間違えることも多い)。これは置くスペースがもうなかったので、股ロール軸の4013の上に貼り付けた。

とりあえず加速度センサーはここに貼り付けた。これはAD3に接続する

無線化もしておく

AT01では無線コントロールセットはオプションとなっているが、実用上、無線化も必須と考えていい。一般的には、近藤科学純正の「KRC-1」を使うことになるのだが、今回はちょっと変えて、Hotproceedから発売された「TEC-3」というパーツを使ってみた。これはなんと、RCB-3でプレイステーション 2用の無線コントローラが使えるようになるアダプタなのだが、字数も尽きたので、詳しくはまた次回紹介していきたい。

通信アダプタ「TEC-3」とプレステ2用無線コントローラ

ちなみに、ここまでの経費は以下のとおり。ジャイロと加速度センサーはKHR-2HVで使っていたものを流用したので、厳密に言えば今回買ったものではないが、いずれにしても「嫁に言えるような金額」ではない。今回のコラムもまたしても大赤字である。

主な経費
「RCB-3」アップデート代 3,000円
ロボット用ラウンドカッター(ハサミ) 2,625円
サーボモーター「KRS-4013HV」(4個) 53,200円
サーボアーム「4000B」 2,520円
ジャイロセンサー「KRG-3」(2個) 10,500円
加速度センサー「RAS-1」 2,940円
プレステ2コントローラ「LPGC-60000」 4,120円
通信アダプタ「TEC-3」 10,500円
合計 89,405円