2025年に大学・大学院等を卒業する学生に向けたインターンシップ情報が徐々に解禁される季節となりました。今年度よりインターンシップで得た情報が採用選考に活かされるという政府の方針に伴い、25年以降に卒業予定の就活生にとってインターンシップは“選考に関わる一つの大きなステップ”と言えるのではないでしょうか。
多くの企業が様々なタイミングや形式でインターンシップを開催する今、就活生が「参加してよかった」と感じるインターンシップとはどのような傾向があるのでしょうか。社員・元社員の「生の声」で企業が探せるクチコミ情報プラットフォーム「OpenWork」上で、社員評価の高い企業をランキング形式で紹介する当連載、今回は25卒予定の就活生に向けて、先輩就活生が評価する「最もよかったインターンシップ」として名が挙がった企業と、その傾向を紹介します。
インターンシップ、何が変わった?
本題に入る前に、インターンシップに関する基本的な考え方の改定ポイントについて簡単に見ていきましょう 今回の主な改定ポイントは以下の2点です。
1.インターンシップなどの学生のキャリア支援に係る取り組みを以下の4つに類型化
- オープン・カンパニー
- キャリア教育
- 汎用的能力・専門活用型インターンシップ
- 高度専門型インターンシップ(試行)
「オープン・カンパニー」「キャリア教育」は、就業体験を必須とせず、「個社・業界の情報提供など」や「教育」が目的で「インターンシップ」とは称さないとされています。 「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」「高度専門型インターンシップ(試行)」 は、就業体験が必須で「自身の能力の見極め」や「評価材料の取得」が目的としており「インターンシップ」と称すものとされています。
2.一定の基準を満たすインターンシップ(汎用的能力・専門活用型インターンシップ)で取得した学生情報を、広報活動・採用選考活動の開始時期以降に限り、それぞれ取得可能
この点に関しては、選考に関わる話として就活生の方々が特に注目するポイントかと思います。
最も良かったインターンシップ先企業ランキング
こうした背景から、学生にとってはもちろん、企業にとってもインターンシップの重要性・注目度は高まっていることが考えられます。そのような中、先輩就活生が「最もよかったインターンシップ」として名が挙がった企業はどちらでしょうか。ランキングを見ていきましょう。
以下のランキングは、22卒、23卒の先輩就活生約2000人が「最もよかったインターンシップ」として投稿があった企業10社を多い順に並べたものです。
最も多くの投稿があったのはニトリ、続く2位はエヌ・ティ・ティ・データ、3位は三井住友海上火災保険という結果になりました。業界に偏りはなく、様々な企業がランクインしています。
高評価企業のインターンシップの傾向は?
ランクイン企業に寄せられたコメントから、高評価企業の傾向を読み解いていきましょう。
まず、インターンシップの「内容」として多く挙がったのは「業務体験型」でした。また、「良かった点」としては「多少厳しくてもフィードバックがある」という声が多い印象を受けました。
ランクイン企業に寄せられた実際のコメントをいくつか紹介します。
株式会社ニトリ
<インターンの内容>
- マーケティングや物流、宣伝など、部署ごとにワークショップがあり、実際の業務をグループで体験できた。
- 事業を企画してフィードバックをもらう形式のインターン
<インターンの良かった点>
- ワークが綿密に作られていて、実際の業務で伴う難しさを体感できる点
- 賞をもらうと社長直々にフィードバックを貰うために東京まで連れて行っていただける。
- いくつかのインターンシップに参加したがダントツでリアリティがあり、難易度が高く苦労はしたが得るものはかなりあった。毎回1人ずつフィードバックを頂くことができたので弱点などを見つけるのにとても役立った。
株式会社エヌ・ティ・ティデータ
<インターンの内容>
- ワークショップ型インターンシップ。新規事業提案をするワークをするインターン。
- 5人1組のグループとなり、架空の顧客を相手に企画立案・プレゼンを行う。
- プロジェクト型実践インターンシップ。現場に出社して仕事に従事した。
<インターンの良かった点>
- 社風が良いことが伝わる。社会人の基礎力が身につく。社員さんと話せる機会が多い。
- 社員の方から、良くも悪くも手厳しいフィードバックを頂けたこと。ただその場を暖かく円滑に進行するというよりも、入社後を見据えたような厳しさであったため勉強になった。
- 多くの現場の社員とフォーマル・インフォーマルに接して、実際に働く日常が鮮明に理解できた点。
- こまめにフィードバックを貰える機会があったのでオンラインでの実施だったが充実した期間を過ごすことができた点。
- 顧客役の社員が厳しく、リアルな営業を体験できた点。 自由度が高くかなりハードワークだったが、いい意味で学生レベルに落としすぎていない内容だった点。
三井住友海上火災保険株式会社
<インターンの内容>
- プレゼンに関する基礎知識を学んだ上で、保険について実際の営業体験をする。最終日にはグループワーク形式で未来の保険を作り、それを社員に発表する。
- メインの損害サポートやリスクコンサルティングの疑似体験を4日間綿密に行った。
- 4日間の開催で、損害サポート、リテール営業、企業営業を体験する。最終日に企画提案。
<インターンの良かった点>
- 22卒の内定者が各グループに1人付いてくれたのでサポートが手厚かった。また、グループワークの頻度が多かった為、仲がかなり深まった。
- 3日間の日程で業務理解が深まったため。また、チームで成果物を作成するため、就活生同士の交流が深まった。
- 本当にリアルな損保社員としての仕事や動きを体験することができ、身になったと感じる。
おわりに
「内定を取るため」や「選考が有利になる」という理由でインターンシップに参加する、という声を耳にする方は多いのではないでしょうか。実際に、今回のインターンシップの改定に伴いそうした動きは進むようにも捉えられます。
もちろん、内定獲得を目的としてインターンシップに参加することは一手ではありますが、今回紹介した先輩就活生の声を参考にすると、インターンシップを通して実際に働く姿を想像できたり、先輩社員からフィードバックを得るといった社風を感じる機会こそ、「よかった」と感じる経験になるはずです。
就職活動は、周りと比べてどうしても焦りやすく、内定獲得“だけ”をゴールとして考えてしまう場面も多いと思います。しかし、本番は実際に入社してからです。
その企業に入社して実際に働くことを想像したり、どのような文化があるのかを知るひとつの手段として、インターンシップを捉えていただけると、より納得した就職活動となると考えます。
なお、OpenWorkでは文中で紹介した「就活レポート」を公開しています。今回紹介した項目以外にも、様々な情報が掲載されていますので、ひとつの情報として、ぜひ参考にしてみてください。