この連載では、1年の汚れを落とす「大掃除のコツ」を、お掃除のプロであるマスターライフオーガナイザー 木村由依さんに教えてもらいます。最終回は「換気扇掃除」。頑固な油汚れに手が出ないという方も、このコラムからヒントが見つかるはずです。


昨日ご紹介した窓・ガラスサッシ掃除のコツ、いかがでしたか? 窓ガラスには油分を含んだ汚れが付着しているので、「アルカリ系」の洗剤が適しています。汚れをしっかり落とすことで、その後の水拭き、カラ拭き拭きの効果が引き立ちます。丸洗いできない場所では、多めの水分で拭き取るのがポイントです。

さて、コラムの最終回は「換気扇」です。換気扇といえば、油汚れがコッテリで「見るのが怖い~」「開けるのが怖い~」「触るのが怖い~」と、とにかく恐れられる場所でもあります。けれども換気扇のお掃除は、正しい方法を知れば思ったよりも簡単に済ませられますよ。   

怖~い油汚れには、入念な作戦が欠かせません

(1)掃除前の準備 - 換気扇の構造をチェック
油汚れが手ごわいからといって、いきなり掃除に取り掛かるのはNGです。このコラムの1回目でお伝えした「思考の整理」を思い出してください。手ごわい相手だからこそ、入念に作戦を立てることが必要なのです。

各家庭によって、換気扇の構造には多少の違いがあります。まずは入居時に頂いた取り扱い説明書を開いて構造を理解しましょう。

ある程度の構造と外し方の手順が分かったところで分解をするのですが、その際に環境を整えておくことも重要です。ガス台周りや調理台、シンクなど、掃除に不要なものはあらかじめダイニングテーブルなどに移動させておくと換気扇掃除がスムーズに進みます。

また、ガス台の上に古いタオルなどを敷き、その上から45リットルのゴミ袋などをビニールシート代わりに養生します。こうすることで、外した油まみれのパーツもそのままガス台の上に置くことができます。

画像では、ビニール袋の下に半分にカットしたバスタオルを敷いています。タオルが程よいクッションとなり、とても作業しやすくなりますよ。

ビニール袋とタオルでガス台の養生をしておきましょう。掃除が終わったら汚れたビニール袋を捨てるだけでOK

(2)汚れの種類を考え、洗剤を選ぶ
今回は「ある程度汚れがたまった状態」を想定してお伝えすることにしましょう。たまった手ごわい油汚れには、ナチュラルクリーニング洗浄剤(重曹など)より、合成洗剤をおすすめします。アルカリ性と表示されていればある程度の洗浄力が見込めます。

洗剤を塗布するときは、ハケで塗り広げる方法や容器に入れてつけ置く方法などがあります。また、フィルターのような平らなものは、洗剤を塗布し、上からラップでパックしてあげるとより洗剤がとどまりやすいです。

隅に洗剤を塗る時はハケが便利

つけ置きで汚れはより落ちやすくなります

(3)油の性質を考慮する
油は温めると柔らかく緩み、冷えると固まるという性質があります。この点を考慮した手順で掃除をしてみましょう。

まずは固まった油汚れをヘラでかき出します。そのあとで、洗剤を塗布した方が効果的です。

つけ置きできる場合は、洗剤を熱めのお湯で希釈するとお湯の温度と洗剤の相乗効果でより油汚れを取りやすくすることができますよ。

油汚れを落とすときは、スポンジよりブラシでかき出した方が取れやすいです。油の性質を理解して、油汚れが落ちやすい状態を作りましょう。   

油の性質を利用すると、掃除はうんと楽になります

(4)イメージトレーニングで掃除をやりやすく
最期にちょっと、思考のシミュレーション、イメージトレーニングをしてみましょう。

カレーを食べ終わった後の鍋をイメージしてみてください。空になった鍋を数日放置してしまったら、カレーが干からびてこびりついてしまいます。

それを洗うときは、鍋にお湯を張ってふやかします。汚れが柔らかくなったら、ゴムべらでこそぎ取ってもいいですし、タワシで細かな汚れもかき出しながら洗い流しますね。おおよその汚れを取った後、ようやく洗剤で洗い油分を取り除きませんか?

日ごろ無意識に行っているこの手順を換気扇掃除にも当てはめてみてください。まずはある程度の油汚れを取り除いてから、洗剤を使う。何となく、手順がイメージできたのではないでしょうか。

 

換気扇の掃除は決して怖くありません!

終わりに - お掃除のコツを振り返り

全6回でお伝えしてきた「大掃除のコツ!」、お役に立ちましたでしょうか?

掃除というものは基本を知り、それができるようになると、「今までの苦労は何だったのだろう?」と思うほど汚れを落とせることが楽しく感じたりもするものです。掃除嫌いの方のほとんどは、掃除自体がキライなのではなく、掃除をするときのストレスがイヤなのです。そのストレス改善法を学ぶとお掃除は「キライ」から「楽しい」に変わるようです。

いずれの掃除も「準備」と「段取り」が鍵です。汚れの種類を見極めて、その汚れに合った洗剤と道具が選べるようになると、掃除のストレスは格段に変わります。是非このようなことを意識しながら、今後のお掃除に手ごたえを感じていただけたらと思います。

大掃除をしてキレイになると同時に多くの人が意識するのが、「掃除をしやすい環境づくり」です。物が多いと掃除がしづらい、日ごろから掃除をしやすくておきたい、という気持ちが芽生えます。その理由は、「掃除がしづらい=片付いていない」ということを再認識するからです。

キレイに掃除したことをきっかけにやる気スイッチがオンになり、物の量や置き場所について見直してみるのは自然の流れでいいですね。是非これを機会にお掃除オーガナイズ(仕組みつくりと最適化)にチャレンジしてみてください。


木村由依(きむら よしえ)
クリスタルミューズ代表、日本ライフオーガナイザー協会所属 マスターライフオーガナイザー。お掃除オーガナイザーとして、ハウスクリーニング、オーガナイズ(片付け)、講師の3サービスを実施中。お客様に「心地よい暮らし」を得ていただくためのお手伝いをしています。「もっと早く学んでおきたかった!」と評判の講座や個人レッスンは、一生もののスキルです。一緒にお掃除の基礎を学んでみませんか?
Blog「木村由依のクリスタルな日々」HP「女性のためのハウスクリーニング クリスタルミューズ」