東京2020オリンピック競技大会では、史上最多となる33競技339種目の開催が予定されている。本連載では、イラストを交えながら各競技の見どころとルールをご紹介。今回は「テニス」にフォーカスする。

これまでの競技はこちら

  • 時速200キロ以上のサーブからはじまる駆け引き - 「テニス」

テニスは1人対1人、または2人対2人で、ラケットを使ってネット越しにボールを打ち合い、得点を競うスポーツ。オリンピックにおけるテニス競技には、男子、女子それぞれにシングルス(1対1)と、ダブルス(2対2)があり、さらにロンドン2012大会からは男女ペアで行うミックスダブルスが加わっている。負けたら敗退する「トーナメント方式」で行われ、一発勝負だ。準決勝敗退者だけは、あとに3位決定戦がある。

第1回のアテネ1896大会から正式競技だったテニス。しかしテニス界ではその後プロが参加するトーナメントが台頭したため、アマチュアリズムを重視していたオリンピックから長い間外されていた。再びオリンピックにプロ選手の参加が認められるようになり、ソウル1988大会から復活した。

シングルスの出場枠は「64」で、原則として世界ランキングの上位から順に、かつ国別対抗戦で十分な代表経験がある選手に出場権が与えられる。また、1国からの出場上限数は6人(シングルスは4人)となっている。

裏をかくなど「駆け引き」が見もの、メンタルがゲームの流れを変えることも

試合開始前のトスで決まった一方のプレイヤーがサーバー、他方がレシーバーとなり、ゲームごとに交替する。スコアは、0ポイントがラブ (love、O)、1ポイントがフィフティーン (15)、2ポイントがサーティー (30)、3ポイントがフォーティー (40) と数える。4ポイント先取すると、1ゲーム獲得できる。3ポイントで並んだ場合はデュースとなり、以降2ポイント差がつくまでゲームは続く。先に6ゲームを先取した方が1セットを獲得する。ゲームカウントが5対5になったときは、先に7ゲームを先取した方が1セットを獲得し、6対6になったときは、タイブレークが採用される。

テニスではサーブを打つ側が有利とされているため、サーブ権を持つゲーム(サービスゲーム)を獲得することを「キープ」と言う。一方、相手がサーブを打つゲームは自分には不利なため、このゲームを獲得することを「ブレーク」と言う。自分のサービスゲームを確実にキープしながら、相手のサービスゲームをどれだけブレークできるかが勝利の鍵。競っている試合では、ゲームを1つでもブレークすると、大きなアドバンテージとなる。

サーブやボレーを得意とする選手、ストロークのうまい選手など選手の個性を知って観戦すると楽しみが増す。ラリーが続いた時、どちらが先に攻撃を仕掛けるかも見ものだ。ライン際を狙ったショットやネット近くのドロップショット、左右の揺さぶり、回転やスピードを変えるなど仕掛ける技に注目したい。相手の裏をかくプレーが決まったときは大歓声が起こる。

テニスはメンタルが重要なスポーツ。とりわけ孤独な闘いであるシングルスでは、緊張や焦り、ネガティブな気持ちをどうコントロールするかが大切となる。選手のメンタルが影響し、試合の流れが大きく変わることもある。負けている試合でもうまく流れをつかんで逆転へと結びつけていける選手もいれば、プレッシャーやミスが原因で自分らしいプレーができなくなり自滅してしまう選手もいる。メンタルの戦いという視点は、テニス観戦の醍醐味の一つだ。

テニスのコートには土でできたクレーコート、天然芝のグラスコート、アスファルトを基礎としたハードコートなどがある。バウンドが低いグラスコートを得意とする選手もいれば、バウンド後の球速が遅いクレーコートを得意とする選手もいる。各選手のコートとの相性を知っておくと、より面白く見られる。オリンピックで使用するのはハードコートである。

イラスト:けん

出典:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会