東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンスです。そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は「ライフル/射撃」! 競技解説は、リオデジャネイロ五輪でライフル射撃の日本選手団のサポートを行った実績のある、理学療法士でアスレティックトレーナーの吉村直心さんです。

  • ライフル/射撃の魅力とは?

ライフル射撃の特徴

五輪の射撃競技は、大きく分けて2つの競技があります。一つはライフル射撃、もう一つはクレー射撃です。ライフル射撃は、文字通りライフル銃やピストルなどの銃を使い、動かない標的を撃つ競技です。クレー射撃は散弾銃を使い、クレーピジョンと呼ばれるお皿のような標的を撃つ競技です。今回はライフル射撃についてご紹介しましょう。

ライフル射撃は動かない標的を撃ちますが、動かない分、精密さを求められる競技で、集中力と持続力が求められます。第1回アテネ五輪からの正式競技で、海外では非常に人気の高いスポーツです。競技の種目は以下の10種目になります。

①10m種目(10m先の標的を狙います)
・エアライフル(男女別)
個人競技。60発撃ちます。10点の大きさは0.5㎜。
・エアライフルミックス(男女ペア)
エアライフルを男女ペアで戦います。撃つ弾数は、最初は男女各30発。この結果で上位8チームが残り男女各20発撃って、上位4名がメダルをかけて戦います。
・エアピストル(男女別)
個人競技。60発を撃ちます。10点の大きさは11.5㎜。
・エアピストルミックス(男女ペア)
エアピストルを男女ペアで戦います。ルールはエアライフルミックスと同じ。

②25m種目(25m先の標的を狙います)
・ラピッドファイアピストル(男子)
5枚の標的を8秒、6秒、4秒の時間内で撃つ競技です。
8秒2回、6秒2回、4秒2回。合計で30発を2日に分け、合計60発で競います。10点の大きさは10㎝。
・スポーツピストル(女子)
精密射撃30発と速射射撃30発の合計60発で競います。10点の大きさは、精密が5㎝、速射が10㎝。

③50m種目(50m先の標的を狙います)
・ライフル3姿勢(男女別)
膝射、伏射、立射の3つの姿勢で各40発の合計120発で競います。試合時間は2時間25分。射撃のマラソンと言われる体力的にも厳しい競技です。

ライフル射撃を観戦するときのポイント

観客に対して、選手が何点を撃ったかが即座にわかるよう、電子標的を使って採点し、スコアボードに即座に点数と選手の現在の順位が分かるように表示します。ですから、自分が応援している選手が、現在どの順位かがすぐわかります。

各種目ともに、個人戦は全員が撃った結果で上位8名(ラピッドファイアピストルは6名)の選手がファイナルマッチに進出します。ライフル射撃の最大の見せ場は、このファイナルマッチと言えます。

個人戦での得点はリセットされ、0からのスタートになります。ここでは定められた弾数を撃った後、点数の低い選手から脱落していきます。5位、4位、3位が決定し、最後は1対1の勝負です。アナウンサーの実況中継や応援団による声援や手拍子といった騒がしい中で行われます。そのような会場の雰囲気の中、集中して自分と向き合う選手の姿は見る人の心を魅了するでしょう。ぜひたくさんの人に、射撃を肌で感じていただきたいです。

東京2020でのチームジャパンの展望

日本は2019年11月にカタールで開催されたアジア選手権で、4つの五輪出場資格をとりました。また、日本は開催国として、すべての種目に参加できる開催国枠を持っていますので、10種目の競技すべてに出場できます。

東京2020候補者の中にはロンドンやリオの五輪を経験したベテランから、若くて伸び盛りの選手までおり、どの選手が出場権を獲得するかわかりません。いずれにせよ東京2020でメダルを狙える選手ばかりですので、大いにご期待いただきたいところです。

会場は、埼玉県朝霞市の朝霞自衛隊の訓練場の中に建設されます。地元の利を生かして活躍してくれるでしょう。

遠山健太からの運動子育てアドバイス

子どもの頃、とくに男の子はヒーローを扱うテレビアニメなどで「銃」という存在を早く知ることになるでしょう。本格的なガンシューティングのエアガン体験ができる屋内施設は日本にもありますが、親心としては銃社会ではない日本でわざわざ体験する必要がないと思うかもしれませんね。縁日でおなじみの射的であれば安心してやらせることもできるはずです。「将来、射撃の選手になりたい!」と思う機会はなかなかないかもしれませんが、精神を集中して的を狙うというのは、激しく動く球技とはまた別の運動要素です。近所でお祭りがあった際にはぜひ射的をやらせてみてください。

競技解説:吉村直心(じきしん)

理学療法士、日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナーの資格を保有。横浜市スポーツ医科学センター、やまぎわ整形外科などを経て2008年にGenki鍼灸整骨院を開院。2012年株式会社Genkiを設立し、「医師と連携して医療ではできないことに挑戦する」という理念の元、京都に6店舗の鍼灸整骨院を展開している。リオデジャネイロ五輪でライフル射撃の日本選手団のサポートを行った実績がある。「Genki鍼灸整骨院」ホームページはこちら