東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンスです。そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は「サッカー(女子)」! 競技解説は、サッカーの競技歴を持ち、現在は幼児体育指導員として活動する佐藤智佳さんです。
女子サッカーの特徴
サッカーはイングランドが起源と言われているスポーツですが、ボールのようなものを足で扱う遊びは多くの国に存在していたそうです。この連載の第37回サッカー(男子)の記事にあるような細かなルールが作られる前には、手でボールを運ぶのも、相手のすねを蹴ってボールを奪うのもよいというルールもあったそうです。
現代サッカーでは、基本的にフィールドに出る選手はゴールキーパー含め1チーム11人以下で7人未満になった場合ほとんどは中止。2チームで点を取り合います。試合中の多くの時間は足を使い、攻めではボールを運ぶ「ドリブル」、味方へボールを渡す「パス」などを組み合わせ、点を取ります。一方で守りでは、直接相手へぶつかる「チャージ」、相手のパスの途中で奪う「パスカット」などでボールを奪い、点を取られるのを防ぎます。 狙ったところへ蹴る、速く飛んできたボールを止める、相手のパスを誘導して奪うなど、サッカーは足でボールを扱う技術と、ボールがないときに動く技術が試合中に目まぐるしく移り変わるスポーツです。「なでしこジャパン」という愛称で呼ばれるサッカー日本女子代表は、現世界ランク11位で過去には3位という高順位を残しています。
女子サッカーを観戦するときのポイント
ニュースや動画サイトでサッカーを見ると、多くは華麗なドリブルや豪快なシュートなどがクローズアップされているのではないでしょうか。実際に試合を見るときに気にしてほしいのは、選手の「止める」「蹴る」の二つです。
まず「止める」に関しては、現在の選手の「止める」技術は素晴らしいです。私もサッカー経験者ですが、何も考えずにひたすら走ってボールを追いかけまわしていた頃の自分に指導したくなるほどのレベルの高さ! 転がってきたボール、遠くから飛んできたボールが当たり前のように数歩で届く位置に止まります。もちろん、そのときの場面にもよりますが、それを簡単そうにやってのけます。けれど、実際はそう簡単ではないのです。自分に置き換えてみると全然できません。皆さんも実際に試してみてほしいです。
次に「蹴る」ことですが、その蹴り方は、全身を連動させてボールへ力を伝える形がとれています。男子サッカーは豪快で力強いキックですが、女子はコンパクトで強いキックが特徴です。全身の力を連動させた美しいフォームで、遠くへボールを蹴る動作がお手本のように繰り出されます。
東京2020でのチームジャパンの展望
東京2020の日本代表女子チームの監督は高倉麻子監督です。日本女子サッカーで初のクラブチームと言われている「FCジンナン」に所属、アトランタ五輪に出場し、2000年にはアメリカのクラブチームでプレー。1981年から2004年の23年もの間選手として活躍しました。その後、監督として、20歳以下のサッカー女子日本代表選手たちを束ねてきました。
なでしこジャパンは、過去の世界を舞台にした大会では、2011年第6回WC(ワールドカップ)優勝、2015年第7回WC準優勝という成績を残してきました。体格では他国に劣ることの多いなでしこジャパンですが、特徴的な速いパスと細かな動きで、世界を相手にどう戦うのか。
今までの日本女子サッカーを引っ張ってきた高倉監督と、今の女子サッカー界を引っ張る選手で作り上げた「新生なでしこジャパン」! またあの興奮と感動を体験できることがとても楽しみですね!
遠山健太からの運動子育てアドバイス
先日、近くのサッカークラブの練習を見学させてもらったときに、女子選手の人数がかなり多かったのには衝撃を受けました。私は一時期、千葉県の公立小学校に通っていたのですが、そのサッカーチームに男子が100名近くいたのに対して女子はゼロでした。のちに高校時代、台湾のアメリカンスクールのサッカー部在籍時には、女子サッカーの台湾代表と試合を行った経験もあります。国内外問わず女子サッカーの人気が高まってきているのを感じています。今では、男女関係なくサッカーを経験できる場所が増えているのはとても良いことだと思います。小さいころサッカーを経験していると、その後、中学高校へと進学する際に、球技のチームスポーツであればスムーズに競技転向できます。昔とだいぶ女子サッカーをする環境は変わってきていますので、もし、お子さんがやりたいと言ったら、ぜひ体験からスタートしてみてはいかがでしょうか。