暮らし系YouTuberとして活躍する奥平眞司さんの部屋はいつもスッキリ。デザイン専門学校時代に会得した「引き算の美学」から、つねに余計なモノを見直し、自分の納得のいくモノだけを置いているからだ。
ココロを癒やし、栄養を与えてくれる快適な部屋を維持するため、奥平さんはどんな風に片付けと収納に取り組んでいるのだろうか。毎日の掃除からキッチン、クローゼットを整理整頓するコツをつづってもらった。
モノがモノを呼ばないよう、あるべき場所に収納
心地いい暮らしのために、つねに清潔かつ整理された空間を保つよう心がけています。ただ、1人暮らしの部屋はコンパクトなワンルームだから、掃除はそれほど手間ではありません。「毎日かならずこれをやる」と決めているルーティンもなく、仕事の合間に目についたところをさっと掃除する程度。僕はこれを「10分家事」と呼んでいます。動画の編集作業は基本、座りっぱなしのデスクワークですから、床拭きなどで身体を動かすのは良い運動になるし、気分転換にも役立っています。
床を拭くのはフロア用の掃除道具と吸着タイプのほこり取り。この2つが収納にも便利なマストアイテムです。掃除機は「音がうるさい」「埃が室内に舞う」「収納場所に困る」という3点が難で手放しました。毎日ちょこちょこと掃除していると、掃除機がなくても困ることはまったくありません。たまに勢いがつけば、ベッドをどかして普段手の届かないところを磨くことも。それだけで年末の大掃除も必要ありません。
片付けのコツは新しいモノを買ったらすぐ、決まった場所にしまうことです。購入という「入口」が肝心だからです。「とりあえず」とその辺に置くと、不思議なことにどんどんモノで溢れてしまいます。実家のダイニングテーブルがまさにそうで、読みさしの新聞にメガネと「これはモノがモノを呼ぶ心理だ」とひそかに分析していました(笑)。僕の場合、ワークデスクをある種の“堤防”として、「絶対にここには何も置かない」と決めています。
キッチンは見せる収納。クローゼットには余裕を
掃除が楽なのは、ふだんからすっきりと整理整頓しているからです。その上でキッチンについては「見せる収納」を意識しています。よく使う調理道具は台所の背面の棚に置き、さっと取れるように。引き出しだと奥にしまった道具の出番が減りがちで、せっかく買ったのに「お蔵入り」になってしまうからです。棚にある道具はデザインも意識して選び抜いた、愛着のあるモノばかり。インテリアの一部でもあり、ランダムに並べたものを目でも楽しんでいます。
クローゼットは、スペースにかなり余裕を持たせるよう心がけています。ハンガーに洋服がギチギチだと、パッと見て何があるかわかりません。またそんな状態が僕自身、感覚的にも不快で、胸がザワザワしてしまいます(笑)。厳選してよく着るものだけ残し、特に普段使いのアウターは室内のハンガーラックに。夏物はTシャツをメインに数枚ほど購入し、ひと夏ごとに買い換えています。
仕事の契約書や領収書などのペーパー類は、普段、テーブル代わりに使用するトタン製の収納ボックスに入れています。定位置が決まっていると探し回ることもありません。本も同じで、本棚は1つだけ。ほとんどは読み終えるとリサイクルショップ行きです。防災用品はキャンプ道具と同じバッグに入れ、キャンプにも持ち歩いています。
“不用品ボックス”で暮らしを整理
よく使うモノや、大切なモノだけを身の周りに置く。これは決してゆずれない僕のポリシーです。また暮らしぶりや心境の変化によって必要なモノも変わるので、月に二度ほど、「モノを見直す日」を設けています。「捨ててもいいな」「これあまり使っていないな」と感じたモノは、不用品専用のボックスにどんどん放り込んでいきます。
ただし、そのまますぐに捨てるのではなく、少し時間を置くようにしています。捨てたとたんに入り用になるのは物事あるあるですから、本当に要らないモノかどうか、ワンクッション置いて見きわめています。手放す時期の目安はボックスが一杯にならない程度。月に一度は空にするので、割とハイペースですね。
幼い頃のアルバムなど、思い出の品はクローゼットの上の押し入れの中ですが、ここは正直、モヤモヤする部分です。「お蔵入り」の状態が納得いかないので、本棚に置くか、見せる収納をしようか、いずれにしろ〝暮らしの風景〟として活用したいと考え中です。隅々まで納得のいく整頓はなかなか難しいですね。収納にしても正解はありません。でもだからこそ、理想の部屋づくりへの追求が飽き足らないのかもしれません。