東京で暮らしながら移住準備をすること3カ月。感謝すべきは、最後の1カ月が毎日送別会だったこと。前々職の人たち、前職の人たち、友人たち……お世話になった方々が開いてくれ、とてもうれしかった。
通常の転職とは違い、遠く離れた島へ行くという認識がどこかお互いにあったのだと思う。そして大概、まず「なぜ沖縄なの? 」と聞かれる。転職活動に1年以上かかった私にとって、既に沖縄は身近な場所だったが、突如移住を知った人たちにとってはかなり驚くニュースだったようだ。なので、時間の許す限り一人ひとりに、沖縄で実現したいことを語った。連日の宴で、移住前には身体がお酒を受け付けない状態になっていたが、彼らとは沖縄に移り住んでからも縁は続くし、色々と助けてもらう場面は多いだろう。そういう意味でも、移住までの1カ月間はとても貴重な時間だった。しかしながら、「アフリカに行くほど遠く感じる」と極端なまでの発言をした両親とは、時間をあまり取れなかった。
移住する日の朝、通常出勤するような感じで家を出たのをよく覚えている。冬の冷たい風が吹いているが、太陽が顔を出す穏やかな日だった。
東京を離れる感傷に浸る暇はなく、沖縄に到着するやいなや生活の準備が始まった。那覇空港から新居まで直行し、不動産屋さんと待ち合わせ。そこで鍵を受け取り、ガス会社の係員を待ってガスを開栓。電気、ガス、水道が使えることを確認したら、頼んでいた車を取りに中古車屋さんへ。その足で、電子レンジ、冷蔵庫、ガスコンロ、洗濯機、掃除機などの家電を購入。「あ、今夜寝るための布団もない……」と気づき、慣れない車を運転しながら閉店ぎりぎりで家具屋さんにも滑り込んだ。移住前はしばらく実家暮らしだったため、改めて独り暮らしの大変さを実感した。