東京でバリバリ働いていたキャリアOLが沖縄への移住を決断。その理由は? 移住後の感想は?? この連載では、沖縄へ単身で移住をした著者の"想い"をつづっていく。
沖縄の海に潜り始めて3年が経つ頃、現地で暮らす人たちとも顔馴染みになり、少しずつ知人や友人ができていた。2~3カ月に一度の頻度で訪れていたのだから、それもごく自然なことなのかもしれない。そして、沖縄を訪れたときにはいつの間にか「めんそ~れ(いらっしゃいませ)」ではなく、「おかえりなさ~い」と迎えられるようになり、それがとても嬉しかった。気が付けば、沖縄は自分が生きるもう一つの場所になっていた。
勤務先での異変に戸惑い
ちょうどその頃、勤務先で大きな異変があった。昨日まで競合だった会社と合併するのだという。私がいた会社は優秀な従業員が多く、文化や風土も好きだったが、合併するとなると単純計算で従業員は倍以上。ワールドワイドで従業員4万人を超えることを想像したら、巨大企業の行く末に戸惑った。
私は人材に携わる仕事をしてきており、10年近くが経っていた。そんな中で、「一人ひとりとできるだけ深く向き合って仕事をしたい」と思い始めていた頃だったので、合併話が浮上したときには、「もう一度、原点に戻ろう」という想いが自分の中で芽生え始めた。
そのとき勤めていた会社は転職で入社しており、新卒で入った会社は人材コンサルティングのベンチャー企業だった。ベンチャー企業独特の厳しさはあったが、自分の思いをすぐに形にし、実現していける楽しさがあった。合併話が具体化していく中で、頻繁に当時のことを思い返すようにもなっていた。
そんな漠然とした気持ちを抱えながら、求人市場を見始めた。普通なら……転職先は自分の住まいから通勤可能な範囲で探すと思うが、このとき私は沖縄に注目した。積極的に転職を考えていたわけではなかったので、まずは大好きな沖縄で、自分が求め、求められる場所があるのかを確かめてみようと思った。
しかし、その話をして家族や友人たちには相当驚かれた。「遊びに行くのと暮らすのは全く別物」だと。なので、転職は慎重に検討しようと思った。自分がこの地に求められ、自分もここで頑張りたいと強く思える場所が見つかれば、そのときには思い切って移住しよう。でもそうでなければ、縁がないのだとあきらめよう、と。そこには、意外に慎重な自分がいた。