職場や取引先で見かける「残念なおじさん」。彼らはなぜ、若者から見て"残念"と思われる言動をとってしまうのでしょうか。
マイナビニュースでは、仕事を持つ20~30代のマイナビニュース会員500名を対象に「中高年男性が残念だと思う瞬間」について調査。この連載では漫画にてさまざまなタイプのおじさん像を紹介した上で、『<40男>はなぜ嫌われるのか』の著者で男性学の第一人者・田中俊之氏にその背景を解説してもらいます。
今回は「若作りおじさん」です。
アンケートでは、残念だと思う瞬間について、若手社員から以下のようなコメントが寄せられました。
・「無理やり若者っぽい服装をしている」(男性/26歳/兵庫県/化粧品・医薬品)
・「若い人より自分はまだまだイケるという謎の自信」(女性/26歳/神奈川県/百貨店)
・「無理をして若者言葉を使っているとき」(男性/33歳/大阪府/広告・出版・印刷)
・「やたら『ヤバイ!』を連発していた50過ぎのおじさん上司」(女性/34歳/宮城県/不動産)
・「年齢にそぐわない若作りしすぎた格好と同じようなしゃべり方」(男性/34歳/栃木県/リース・レンタル)
・「年齢に似つかわしくない服装をしている人を見て、こっちが恥ずかしくなったことがある」(男性/36歳/神奈川県/物流・倉庫)
・「LINEスタンプたくさん使ってくる」(女性/27歳/山形県/サービス)
田中氏は、これらの寄せられた回答のように、若作りをするおじさんに対して以下のようにコメントしてくれました。
同級生と比較して勘違いするのはNG
同窓会に出席して、確信を持つおじさんがいます。
「あいつはすっかり変わったけど、俺はまだまだ若い」
このように心の中でつぶやくのです。確かに40歳前後になれば、髪の毛が薄くなったり太ってしまったりと、若い頃からは想像もつかない外見になってしまうこともあります。髪の毛が無事で、それなりに体型を維持しているおじさんが、老けて見える同級生を見下す気持ちになるのはわからなくもありません。
しかし、「若い/老けている」の基準は、あくまで同級生の中での評価にすぎないものです。「40歳なのに30歳に見える」と言う話ではありません。その証拠に、同窓会の写真を見れば、極端に年齢が離れている人物が混ざっているような違和感はないはずです。間違いなく、「一つのグループ」としてバランスが保たれています。
にもかかわらず、若さに自信のあるおじさんは、自分が実年齢よりも10歳ぐらい若く見えるかのように勘違いをしているので、「年齢にふさわしくない若作り」と部下から思われてしまうのです。
ただ、ファッションについては、誰かに見せるためのものではなく、自己満足の側面があります。セクハラやパワハラのように、他人に迷惑をかけているわけではないのですから、そっとしておいてあげてもいいかもしれないですね。
解説: 田中俊之
大正大学 心理社会学部 人間科学科 准教授。
社会学・男性学を主な研究分野とし、男性がゆえの生きづらさについてメディア等で発信している。単著に『男性学の新展開』『<40男>はなぜ嫌われるか』『男がつらいよ』『男が働かない、いいじゃないか!』、共著に『不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか』などがある。
漫画: 山本ゆうか
フリーランスのイラストレーター・漫画家として活動するワーキングマザー。
ウェブを中心に雑誌、書籍、広告の仕事で活躍している。情報処理学会会誌『IT日和』、チエネッタ『お隣さんの○○事情』イラスト担当中。