竹林寺 登り口

30番札所から歩いて約1時間で、本日宿泊予定の厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア高知」に到着した。荷物を預け、31番札所「五台山 竹林寺(ごだいざん ちくりんじ)」を目指す。30番札所まで、車で送ってくれたおじさんの言う通り、五台山は山の上に2本の大きなアンテナが目印になっているので、わかりやすい。途中までその目印に向かい歩いていると、途中で住宅街の細い道にはいり込んだと思ったらそこに「竹林寺 登り口」の看板があった。ここから竹林寺まで登っていくようだ。

ケモノ道のような遍路道を登りきると、牧野植物園の中にたどり着いた。牧野植物園は、高知県出身の植物学者・牧野富太郎博士の業績をたたえるために昭和33(1958)年につくられた植物園だ。看板を見ると、お遍路さんは特別に入園料を払わずに牧野植物園の中を通り、竹林寺に行ってもいいようだ。たぶん近道なのだろう。牧野植物園内の花を横目にずんずん進み、南門から出てすぐ目の前の竹林寺へ。南門を出て道を渡ると山門まで階段があり、山門を抜けても階段が続く。境内は広くて緑が多くて立派だ。

(左)竹林寺山門前の階段
(上)竹林寺山門

この寺の縁起は、聖武天皇が文殊菩薩の聖地・中国五台山で文殊菩薩に会う夢を見て、国内で五台山に似た山を探し出すように行基に言ったことに始まる。それで行基がこの地を選び、神亀元年(724年)に開創したといわれている。

本堂は、本尊の文殊菩薩が安置されているので「文殊堂」とも呼ばれている。残念ながら本尊の文殊菩薩は、50年に1度の御開帳なので普段は拝観する事は出来ない。次回の開帳は、2014年。2014年に拝観しないと、次は来世でしか会えないかもしれない。

竹林寺「本堂」

竹林寺「大師堂」

一言地蔵

境内には、高さ32メートル余りの朱塗された五重塔がある。この寺にはかつて三重塔があったのだが、昭和32(1957)年の台風により倒壊し、今の五重塔は昭和55(1980)年に再建されたものだ。五重塔の斜め向かいにあるお地蔵様は、「一言地蔵」といい一つだけ願いを叶えてくれるそうだ。

竹林寺は宝物館に、重要文化財に指定されているすばらしい仏像が17体も安置されており、入館料400円を払えば拝観できる。本尊の文殊菩薩が乗っていた獅子の台座をはさみ善財童子や最勝老人らの四侍者像も展示されている。行基の作と言われている古い仏像だ。こんなにたくさん重要文化財に指定されている仏像に出会えるとはうれしい限りである。

境内の庭園は、禅の高僧の夢窓国師(むそうこくし)によるものといわれ、池泉式鑑賞式の庭園としても有名で緑が美しい。

竹林寺にたくさんの石仏がある。文殊菩薩の化身と崇められた鹿の像や毛糸の帽子をかぶった石像から、大きな招き猫や、猫塚まであった。大きな招き猫は、「福運招き猫」と看板が出ていて、なんでも昔、高知の愛猫家の北村家に飼われていた猫のお腹に北村家の「北」の文字が顕れ、福運が続いたということでここに安置されているそうだ。ご丁寧にその猫と顕れた北の文字の写真も飾られていた。

(左)福運招き猫
(上)毛糸の帽子をかぶった石仏

いろいろ盛りだくさんの竹林寺を満喫し、また牧野植物園を通り、ホテルに向かった。