土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の電車に乗り「のいち駅」へ到着。この駅のキャラクターは、ピエロみたいな格好をしていて、名前は「のいちどんまん」と言うそうだ。ここから車で行ける距離に香美市立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアムがあるらしいが、歩いては行けないので諦める。あと、弥生人が住んでいたという鍾乳洞の「龍河洞」というのもあるらしい。こちらも遠そうなので同じく諦める。
のいち駅から28番札所法界山 大日寺(ほうかいざん だいにちじ)までは約2km。車道は平坦な道でラクチンだ。28番札所に向かう途中に「龍馬歴史館」があった。なぜか世界クラシックカー博物館も同じ敷地内にある。「龍馬歴史館」が気になり、入ると入館料1,050円もした。館内では、180体の蝋人形によって、坂本龍馬の生涯シーンを26場面に分けて再現されていたのだが、蝋人形があまり似ておらず思わず笑ってしまった。「龍馬歴史館」を出て道を歩いていて遠くの山に中世ヨーロッパの古城のような物が見える。なんだろう? と思ってあとで調べてみたら「シャトー三宝・四万十の風」というかつては四万十川の魚や植物を紹介するミュージアムだったらしいが、平成15(2003)年に閉館したそうだ。
途中で、27番札所「神峯寺」の下り道で声をかけたおじさん2人組と出会う。私が27番札所まで「もう少しですよ」と言ったけど、遠かったと文句を言われたおじさんたちだ。おじさんたちは各々でお遍路の旅にきたけれど、今は一緒に巡っているそう。私はおじさんたちとおしゃべりしながら28番札所「大日寺」を目指す。しばらく歩くと大日寺への入り口に着いた。
階段を上ると山門があった。大日寺の山門には仁王様はいなかった。山門をくぐり階段をまた上る。大日寺は天平年間(729~748)に、行基が開いたお寺。後に弘法大師がやってきて再興した。そのときに大師は、楠に爪で薬師如来を刻んだといわれている。大師が彫った楠は明治時代に倒れてしまい、その木が倒れた場所を奥之院としてその倒れた楠を「爪彫り薬師」として安置した。奥之院は、本堂から少し離れたところにある。「爪彫り薬師」は、首から上の目、鼻、口、耳などの病気に霊験があるそうだ。御利益があって病気治った人は、なぜか穴の開いた石を奉納する。「爪彫り薬師」のお堂の下を見ると、足の裏をこする軽石などたくさん奉納されていた。
奥之院の脇に大師の「御加持水」といわれる水が出ている。一見井戸のように見えたが岩から湧いているそうだ。この水は、枯れることがないといわれ、「土佐の名水四十選」に選ばれている。本尊の大日如来は、国の重要文化財に指定されているそうだが、秘仏で拝観出来ない。残念。
参拝後、おじさんたちは駅の近くのホテルに泊まるというのでそこで別れる。私は、28番札所「大日寺」近くの民宿・喫茶「きらく」に予約したのだ。きらくは、大日寺の参道の目の前の道路沿いにあった。お部屋は、喫茶店の2階だった。2階にはお風呂もあり、洗濯機と乾燥機も備え付けられている。共同に使える冷蔵庫があって麦茶がいつでも飲めるようになっていた。食事1階の喫茶店で食べた。量もあってわりとおいしかった。朝食は喫茶店というだけあって、コーヒー付きなのもよかった。
昨日のおじさんたちはレンタカーかで次の札所へ向かうと行っていたが、私は歩いて向かうことにした。29番札所「国分寺」まで約12km。2時間30分くらいかかりそうだ。まあ、晴れているし、山道ではなさそうなのでよかった。電車やバスで楽をしていたので、久々の歩きで少し不安な気持ちになりつつ次の札所を目指した。