新社会人は、まだまだ少ない給料と、自由になる少ない時間の中で生活を切り盛りする工夫が求められます。食費を節約しつつ、栄養バランスもよい簡単な自炊方法、知りたいですよね。そこで、武蔵野栄養専門学校の管理栄養士 板垣裕氏に尋ねました。

  • 栄養バランスの良い簡単な自炊方法とは?(写真:マイナビニュース)

    栄養バランスの良い簡単な自炊方法とは?

炊き込みごはんで時短&栄養補給

社会人ともなれば、一人前の大人として、実家住まいでも一人暮らしでも自炊スキルは身に付けたいいところ。とはいえ毎日忙しい生活の中、頼りになるのはスーパーなどのお惣菜やパックごはんやコンビニ弁当など。

手軽ではありますが、栄養が偏り飽きてしまうのも事実です。そこで、「炊き込みごはんの作りおき冷凍」をお勧めしたいと思います。

  • 武蔵野栄養専門学校講師 管理栄養士 板垣裕氏

    武蔵野栄養専門学校講師 管理栄養士 板垣裕氏

乾物(海藻類やこんぶ、しいたけ、お麩など)、保存性ある肉加工品パック、魚缶などと和風や洋風顆粒だしなど組み合わせ、炊飯器でいつも通りに炊くだけで完成。

白いご飯だけでは炭水化物(糖質)だけですが、炊き込みご飯なら具材分の栄養素も一度に取れます。また、多めに炊いて、(1)炊き立てで1食分(2)残りを小分けして冷凍しておけば、何食か賄えます。

具材を替えて2~3数種類を常備しておけば、気分に応じて選べてGOOD。

開ければ食べられる「缶詰」でもう一品

夕食は、最低限でも主食、主菜、副菜の3品をそろえるのが理想的。料理数を必要とするのは、体内で必要な栄養素や腸内細菌を整えるためです。人の腸は多くの細菌が住みつき、消化や免疫力向上など、体に対してさまざまな作用をしています。

腸内細菌は1,000種類以上、500~1,000兆個、この菌叢(きんそう)に住むのは善玉菌が約2割、悪玉菌が約1割、日和見菌(ひよりみきん)が約7割細菌ともいわれてます。種類や菌数は人の生活、衛生環境、ストレス、遺伝などにより深く関わっています。

すべての人にとって最良の食べ物はこれとは断言できません。ですが、少なくとも料理2~3品と複数の食材を組み合わせることで、腸の環境の整備にひと役買うというわけです。

食品数を増やすために、漬物や缶詰、冷凍食品を積極的に利用するのも良い方法です。漬物は切るだけで1品追加! 缶詰はそのまま食べるだけでなく、主菜や副菜と混ぜたりすれば、鮮度の保持、時短、栄養バランスが向上や、「生臭くて魚の調理が苦手」という人でも、缶詰ならば抵抗なしに食べられます。魚に含まれるEPAやDHAなど、血液をさらさらにしてくれる成分も見逃せませんよ。

そのほか、お湯を注ぐだけのスープや味噌汁なども活用してみてください。

コンビニサラダの栄養は?

以上のように、時短自炊を紹介してきましたが、出来上がった凍食品や加工食品ばかりでは高塩分・低ビタミン、食物繊維不足などとなりやすく、やはり腸内環境に悪影響の懸念もあります。そこで、先に食べることで満腹度を増してくれてビタミン・ミネラルの補給も行える、野菜や海藻、きのこ類の出番です。

また最も手頃なのが、スーパーやコンビニで購入できるサラダやカット済み野菜。手軽に購入できる時代、シャキッとした食感のサラダを食べて満足する人は多いでしょうが、実は、お惣菜は製造時の加熱調理、時間の経過とともに、ビタミンなどが損失している可能性もあります。

つまり「ビタミン・ミネラルを摂取しているつもりが実は不足していた」なんてことにもなりかねません。また自宅で冷蔵庫に長く入れて置くことも損失になります。やはり、休日など時間のあるときには新鮮な野菜やきのこ類、果物を入手し、魚、肉、卵、大豆製品などとともに、自分で調理することもオススメしたいですね!

取材協力:板垣裕(いたがき・ゆたか)

武蔵野栄養専門学校講師・管理栄養士。武蔵野栄養専門学校は、栄養士として活躍する人材を育てる専門学校。給食管理、栄養学、臨床栄養学などの実習を通じて栄養学を学びます。板垣氏は講師として教えるほか、高齢者施設での栄養管理などを担当。