三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)にビタミンとミネラルを足して五大栄養素。これらをバランスよく、さまざまな食材からどう摂取するのか? そして「何をどれだけ」「いつ食べるのか」という視点も重要となります。
忙しいビジネスパーソンが知っておくべき、朝・昼・夜の理想的な食生活について、武蔵野栄養専門学校の管理栄養士 板垣裕氏にお話をうかがいました。
朝食こそしっかり取ろう
毎日の生活で、規則正しく十分な睡眠がとれていれば、体内にある栄養分が代謝により徐々に減り、朝には食欲が出てきます。この状況で朝食抜きやコーヒー1杯だけだと、1日の活動に必要な栄養素が不足してしまいます。
午前中の仕事意欲の減退や、からだを調節しているホルモン、酵素などの働きが悪くなります。
そのため朝食は、和食を組み合わせたごはんやパンなどの主食と、肉、魚、豆腐、卵などのたんぱく質を含む主菜などメインのおかずに、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、2~3種類以上の野菜を組み合わせたサラダなどの料理が理想的です。
夜食は脂肪、糖質、塩分の多い食事は、糖尿病、高血圧などの生活習慣病に影響をもたらします。
また、今注目されているホルモンの1つとして、「インスリン様成長因子(IGF-1)」があり、正常に分泌されることで、生体の発達・成長・成熟、物質代謝の調節、老化の抑制をおこなってますが、食生活の乱れにより減少してしまいます。
つまり、「朝はお腹が空かないから食べない」、「朝食以外で1日の必要カロリーや栄養は摂取できているはず」という考えはやめ、見えないところで人間の体に働くホルモンを意識した生活を送るとよいでしょう。
昼食は食べすぎに要注意
昼食時間も午後の仕事にも重要です。栄養の偏りを出来るだけ減らし、野菜摂取も心がけましょう。
「糖質や油脂の多い料理」の食べ過ぎです。安価な食べ放題やごはんおかわり自由などを売りにする店も増え、ついつい食べ過ぎてしまいがち。今後の社会では、自分の健康管理を十分に考える必要がありますね。
気になる夜食・飲み会や晩酌
「夜遅くの食事は就寝の2時間前までに」と言われますが、その通りにいかないことも多いはず。
でも、夜食だけでなく晩酌も含め「せめて1時間以上前には切り上げる」のが理想です。睡眠時も脂肪・糖質の多い食べ物が胃腸に入っていると、消化や体に大きな負担となり、余分なエネルギーは体脂肪となり、肥満のリスクや生活習慣病の一因にもなります。
飲み会や晩酌を楽しみにしている人は多く、お酒を飲んだ後、ラーメンを食べたくなるのも人の常。これは、アルコールにより満腹を感じる能力が低下しているためですが、さてどうしましょう? 答えは、「炭水化物より先に野菜を取ること」。ラーメンの前に野菜を食べ、麺もなるべく少量にしましょう。
栄養は3食に分散させて
1日に必要な栄養量は年齢、性別や活動量などにより決まりますが、それを1度の食事で多くを摂るのでなく、朝・昼・晩の3食に分けてとる必要があります。
人体に最も重要なのは、筋肉や皮膚、内臓、血液の元となるタンパク質。マグロやカツオなどの魚類、鶏や豚肉、卵や大豆、乳類などに入っています。
具体的な食事の例としては、「朝食に卵やハムなどを1~2つ加える」、「ランチに麺を食べるなら、肉や大豆製品の入ったメニューにする」など組み合わせが有効です。最近はやりの「サラダチキン」や「サバ缶」なども手軽に良質のたんぱく質を取ることができます。
取材協力:板垣裕(いたがき・ゆたか)
武蔵野栄養専門学校講師・管理栄養士。武蔵野栄養専門学校は、栄養士として活躍する人材を育てる専門学校。給食管理、栄養学、臨床栄養学などの実習を通じて栄養学を学びます。板垣氏は講師として教えるほか、高齢者施設での栄養管理などを担当。