多くのオリンピアンも利用している「味の素ナショナルトレーニングセンター」(東京都北区)。そこで日夜練習に励む選手たちの胃袋を支えているのが栄養管理食堂「SAKURA Dining」だ。この連載では、同食堂で提供されているメニューなどを、アスリートからスポーツ愛好家まで幅広く活用してもらえるように、「パワーアップ」「貧血対策」などのテーマ別に紹介する。
ビタミンA、Cが豊富なメニューで風邪対策
今回紹介するのは「風邪をひきにくい体を作るレシピ」。同ダイニングに務めるエームサービスの管理栄養士・古川由佳さんは「風邪を防ぐには、食事以前に手洗いやうがいを欠かさないことが前提です。その上でビタミンA、Cを積極的にとることで皮膚粘膜の保護・防御をすることが大事です」と話す。そこで、寒い季節にぴったりのビタミンA、Cが豊富な2品を紹介する。
「キャロットライス」
材料(4人分)
米 2カップ
A(水 2カップ / すりおろしにんじん 40g / ほしぶどう 大さじ1 / バター 7g / コンソメ 1個 / 塩 少々 / こしょう 少々)
パセリ 適量
つくり方
1.米は炊く30分前(時間外)にとぎ、水気をきっておく。
2.米とAを炊飯釜に入れ、炊く。
3.炊き上がった2を器に盛り、刻んだパセリを振る。
「キャロットライスは、にんじん独特の苦味をあまり感じることなく食べられます。味はコンソメベースなのでちょっと洋風で、炊飯器のふたを開けたときにほんのりとバターが香り、食欲をそそります」。
「チキンのバスク風トマト煮込み」
材料(4人分)
とりもも肉 400g / 玉ねぎ 100g / 赤ピーマン 60g / ピーマン 60g / トマト 450g / ベーコン 40g / 塩 小さじ1/2 / こしょう 少々 / 小麦粉 大さじ1 / オリーブオイル 大さじ2 / にんにくのみじんぎり 小さじ1/2 赤ワイン カップ1/2
つくり方
1.とり肉は4等分に切り、塩、こしょうをして小麦粉を薄くまぶす。
2.玉ねぎはくし形に、赤ピーマンとピーマンは一口大サイズにぞれぞれ切る。トマトは皮を湯むきし、1cm角に切る。ベーコンは1cm幅に切る。
3.フライパンにオリーブオイル(大さじ1)を入れて火にかけ、1のとり肉の皮面から焼き、両面に焼き色をつけて取り出す。フライパンの油をふきとる。
4.フライパンにオリーブオイル(大さじ1)を加え、にんにくをいためる。そこに2の玉ねぎ、赤ピーマン、ピーマン、ベーコンの順で入れ、いためる。
5.4に赤ワインを加えてアルコール分をとばし、2のトマトを加えて5分煮込む。そこに3のとり肉を戻し入れ、塩・こしょうで味をととのえてさらに5分煮込む。
「バスクとはスペインの地名のことで、メニューとしては洋風トマト煮込みという感じですね。バランスよく食べることが大事なので、彩り野菜を使うことで見た目をよくするなど、食欲を刺激する工夫をこらすことも大事です」。
栄養プログラム「勝ち飯」とは
同ダイニングは、日本オリンピック委員会と味の素が共同で展開している栄養プログラム「勝ち飯」に基づいた食事を提供している。勝ち飯とは、アスリートの勝てる体作りにつながる食事の仕方や栄養摂取の方法をわかりやすく実践するためのプログラムで、実際にオリンピック選手もそのプログラムに基づいた食事を摂取している。
古川さんは「今回の『風邪をひきにくい体を作るレシピ』はこの2つのレシピ(主食・主菜)に汁物、副菜、乳製品、果物(今が旬の柑橘系がおすすめ)を加えることで勝ち飯として完成します」。
屋外でスポーツをするには、まだまだ寒さの厳しい時期。風邪で体調を崩さないためにも、アスリートやスポーツ愛好家だけではなく、一般の人も古川さんの助言を参考に「風邪に打ち勝つ」メニューを試してみてはいかがだろうか。
監修者プロフィール
古川由佳
スポーツ施設から病院施設にいたるまで、幅広いフードサービスを提供しているエームサービス入社後、ヘルスケア関連事業所で栄養給食管理業務に従事。2008年より味の素ナショナルトレーニングセンター「SAKURA Dining」に配属される。管理栄養士として、幅広いアスリートたちに食事を提供したり、栄養に関する相談にのったりしている。